『ゾンビランドサガ』フランシュシュ The Best収録の新曲「佐賀事変」歌詞のテーマは「女の情念」、楽曲スタッフ陣が語る制作秘話/インタビュー前編
2018年10月から放送が始まり、さくらをはじめとする7人のゾンビになった少女たちが佐賀を舞台にアイドルグループ、フランシュシュを結成し、奮闘する姿をコミカルかつ、感動ドラマとして描いた『ゾンビランドサガ』。
「ゾンビ」+「アイドル」+「佐賀」という3つのテーマをミックスし、スピード感あふれるギャグ&感動ストーリーで大ヒット!
そして先日、待望のTVアニメ続篇と舞台化、更にフランシュシュのセカンドライブも発表されるなど勢いは止まりません! そんな中でフランシュシュのこれまでの楽曲に加え、新曲も収録されたアルバム『ゾンビランドサガ フランシュシュ The Best』が2019年11月27日に発売されます。
アルバム発売を祝して、アニメイトタイムズでお届けしてきたキャストやスタッフによる連続インタビュー企画が特別編として復活!
『ゾンビランドサガ』に欠かせない素晴らしい楽曲を制作しているスコップミュージックの佐藤宏次さん(音楽プロデューサー)、山下洋介さん(作曲&編曲担当)、古屋 真さん(作詞担当)による座談会を前後編の2回に渡ってお送りします。
前編となる今回は楽曲制作の秘話やアルバムの新曲の1つ、「佐賀事変」について語っていただきました!
<連載バックナンバー>
□【SAGA:00】宮野真守×本渡 楓
□【SAGA:01】宮野真守×本渡 楓
□【SAGA:02】境 宗久×深川可純×大塚 学×竹中信広
□【SAGA:03】境 宗久×三石琴乃×高戸靖広
□【SAGA:04】本渡 楓×田野アサミ×種田梨沙×河瀬茉希×衣川里佳×田中美海
□【SAGA:05】有浦定幸×近野顕次×田中美海×竹中信広
□【SAGA:06】本渡楓×河瀬茉希×田中美海
□【SAGA:07】田野アサミ×種田梨沙×衣川里佳
□【SAGA:08】本渡楓×河瀬茉希×田中美海
□【SAGA:09】田野アサミ×種田梨沙×衣川里佳
□【SAGA:10】佐藤宏次×本渡楓×河瀬茉希
□【SAGA:11】本渡 楓×田野アサミ×種田梨沙×河瀬茉希×衣川里佳×田中美海
□【SAGA:12】本渡 楓×田野アサミ×種田梨沙×河瀬茉希×衣川里佳×田中美海
佐藤さんは1日3局でチェック。古屋さんは重度のマニアに!?
――『ゾンビランドサガ』はご覧になっていましたか?
古屋 真さん(以下、古屋):割とオタク化してます。
山下洋介さん(以下、山下):何回見ました?
古屋:2~3周は見ましたね。
山下:僕は1周で意識的にやめたんです。
古屋:まず1話から最終回まで見て、11・12話、11・12話、3・4・5・6・7・8話と見て、また1話からと。
佐藤宏次さん(以下、佐藤):すごいね(笑)。僕は制作に関わっていたので線画やラフから見ていたし、オンエアもまずAbemaTVで最速で見て、次はTOKYO MX、最後はBS11で……ちょうど30分ずつズレていたので。
そしてAbemaTVやツイッターなどのコメントを見てエゴサしながら楽しんでました。毎週あっという間の1時間半でした(笑)。
――ご覧になった感想をお聞かせください。
古屋:佐藤から電話がかかってきて「ゾンビ好き?」って聞かれて、「好きだけど」と答えたら「じゃあ、いいよね」と言われて。そこで「ゾンビがアイドルをやって、舞台が佐賀で……」と説明されたけど、まったく意味がわからなくて(笑)。
アイドルアニメというよりゾンビものなのかなと思っていたら、ふたを開けたらこれ以上ないくらいのアイドル成長譚で。
意外だったけどストレートな話で、ここは笑うところ、泣くところとわかりやすかったけど、まんまと笑ったし、泣いたし。引き込まれるアニメでした。
佐藤:古屋君は、かなり重めのオタクになってたよね(笑)。
山下:最初に台本をいただいた時、ちょっと見てみたら家で読めるテンションにはならないなと思って、夜中にパーキングエリアへ行って車中で読み始めて、読み終わったら朝になっていて。
おもしろかったけど、映像化した時のイメージがまったく湧かなくて。だから深く考えるのはやめて、音楽を作ることに専念しようと。
実際にオンエアを見たら、僕は古屋さんとは逆で、「ここで曲がハマるんだ!?」とか、意外なところで笑わされたり、泣かされたりして、常に予想の裏に来た印象があります。意表を突かれた回数を数えたらキリがないような。
話題になった1話のさくらの最速シーンは先行試写会での反応にドキドキ!?
――1話のオンエアの時、アニメ史上、ヒロインが最速で死んだのでは? と話題になりましたよね。
佐藤:開始1分くらいで即死でしたからね(笑)。
山下:あのシーンはむしろエピソード0じゃない?
宣伝担当:実はあのシーンは先行上映会ではウケてなくて。境監督や(Cygeamesの)竹中プロデューサーは1つの笑いポイントと考えていたんですけど……。
佐藤:TVオンエアされてからは出オチって言われてましたよね(笑)。
宣伝担当:でも先行上映会では誰も笑ってなくて、2人共「ヤバい」と。
古屋:その気持ちもちょっとわかる気がする。「ハハーン、こういうウケ狙いに来たか」とか「ネタのインパクトだけで勝てるわけじゃないからね?」と斜に構えたり、斜めに見る人もいるだろうし、僕もどちらかといえばそっち側の人種なので(笑)。
「これからの出来次第だぞ、君たち」みたいな(笑)。それにゾンビ好きからするとむしろよくある光景なので、心穏やかに観覧する気持ちもわかります。
佐藤:上映会で一番、盛り上がったのはラップのところですよね。それまでは割と平行飛行で「大丈夫かな?」とドキドキしていたけど。
宣伝担当:1話だけだとさすがに伝わらないかなと思って、2話まで見ていただきました。
佐藤:1話だけ見たら「ぽか~ん」状態だよね。
山下:自分はいったい、何を見せられているんだろう? って(笑)。
最終回はキャスト&スタッフみんなでリアル放送を観賞
――最終回を見終わった時はどう思われましたか?
佐藤:関わってから終わるまで約1年、あっという間でしたね。もっと続ければいいのにとも思いました。
山下:最終回を見たシチュエーションが特殊だったから。
佐藤:打ち上げ兼上映会みたいな。打ち上げの2次会で、監督やキャストの人たちとみんなで見たんですよね。
山下:2次会がちょうど放送の時間だったので、みんなでテレビで。
佐藤:そんな状況だから泣くに泣けないし。
宣伝担当:(キャラクターデザインの)深川さんは泣いてましたよ。でも熱い気持ちになりましたよね。
佐藤:みんなで作ったなと。
――最終的にはクール最高、2018年最高のアニメという声も出るほど、大好評&大成功でした。
佐藤:よかったです。始める頃は「どうなるんだろう?」と思っていたので。直前までみんな、あわあわしてて。事前に完全なゾンビホラーとしてプロモーションをしていたから、アイドル要素、コメディ要素は出せないし。
でも話はおもしろいんだけどなって。実際、上映会でも監督も竹中さんも不安そうな顔に。
宣伝担当:情報を統制するのは竹中さんの案だったのですが、途中で不安になってましたね。