『ゾンビランドサガ』フランシュシュ The Bestを通して普遍性を貫いた楽曲たち――このアルバムがTVアニメ第2期への架け橋に/インタビュー後編
アルバム収録曲のお気に入りを古屋さんは自身担当外の曲からセレクト
――収録曲の中でお気に入りの曲を教えてください。
古屋:あえて自分が作詞した曲を除いて考えると、「FLAGをはためかせろ!」がすごく好きで。
アニメ本編と切り離して考えられませんけど、最終回で「ヨミガエレ」の後、みんな晴れやかな表情でこの曲を歌って、お客さんも盛り上がって、「生きているって素晴らしいんだよ」と笑顔で伝えてくれるのはいいですよね。
あと「目覚めRETURNER」……。
佐藤:どのRETURNER(笑)?
古屋:歌詞がちゃんと聴こえるほうがいいから4話のかな(笑)。ゾンビの歌ではあるけど、僕らはゾンビ主観では書いていないんです。ゾンビが歌っているから泣けるというリアクションも多いんですけど、こちらが狙ったものではなくて。
そう考えると終盤のサビの「目覚めていいんだ」という歌詞は、今の世の中で委縮したり、自粛を強いられる若い人がたくさんいて。
「目覚めていいんだよ」と呼び掛けてほしいのではなく、自分で言ってほしいなと思う、素晴らしい歌だなと。若者を応援する、ゾンビが(笑)。
山下さんのお気に入りはED曲「光へ」
――山下さんのお気に入りは?
山下:僕は手前みそですが、そうそうたる楽曲が並んでいる中で「光へ」がどう聴こえるんだろうというのに興味があって。
古屋:また自分では測れない症が(笑)。
山下:アルバムを通して聴いたら想像できるのかもしれないけど。アニメでは本編からクールダウンする印象の曲だったと思うけど、アルバム収録の1曲として聴いた時、自分にどう響くのかなと。
――「光へ」は序盤のEDで聴いた時と終盤で聴いた時で響き方や感じ方が違うと思います。
山下:そうか。なるほど。
佐藤:自信を持って、胸を張っていいんだよ(笑)。
古屋:歌詞が引き上げているから(笑)。
山下:それはわかっているから(笑)。
佐藤:「光へ」って良いタイトルだよね。
古屋:オーダーに「卒業とそこはかとない昇天感を匂わせながら」と付いていて。未来への希望と天に召されるイメージとダブルミーニングじゃん! と思いついた時、ニヤニヤしちゃった。
山下:学校の卒業式で歌ってくれないかな。今年歌ってくれた学校はなかったんですか?
宣伝担当:いないようですね。
山下:来年は歌ってくれたらいいな。そして体育館で歌ってくれている動画を見たい。
佐藤:佐賀県に協力してもらったら。
宣伝担当:考えてみます。できますとは約束してできませんけど(笑)。
佐藤さんにとっては全曲でフランシュシュという1つの交響曲
――卒業ソングの定番曲になったらいいですね。
佐藤:でもいいコンビだったよね。
古屋:メロディを聴いて、「ここでこういう風にするんだよ」と山下君が振ってきているのがわかった。
山下:いつもそうですもんね。歌詞を見た時に感想がてらに電話することがよくあって。まったくしない時もあるけど。
古屋:何も言われないということは汲み取れたのかなと。山下君はいいヤツなので、自分が関わっていない曲でも連絡してくれて。
山下:「徒花ネクロマンシー」の完成版を聴いて、歌詞を見た時に「ああ、天才だな」と。それだけ伝えましたよね。
――お二人のコンビの曲は「光へ」も「To my Dearest」も泣かせる曲ですし、名曲メーカーですね。佐藤さんのお気に入り曲は?
佐藤:僕は箱推しなので(笑)、どの曲が好きとか言えません。全曲全力でしたから。全部で1曲なので、形になったのがこのアルバムなので。
山下:壮大なクラシックの組曲ができたみたいな。
佐藤:だから今回、新曲が入っても「これ、新曲?」と気付かないくらい、なじんでいると思うんですよ。