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『アサシンズプライド』監督がアニメにするにあたって考えたこと【連載Vol.9】

【連載】TVアニメ『アサシンズプライド』監督がアニメにするにあたって考えたこととは/インタビュー

9話には名シーンが満載!切なくなるラストシーンに注目

――9話のお話になりますが、このエピソードはとても面白くて、メリダとクーファの関係性の中で、メリダはクーファがヴァンパイアだと知っても記憶を消されず、それとは対象的にロゼはクーファに記憶を消されてしまう。もちろん根本的な事情が違いますけど、それが対比のようになっていて、良かったなと思います。

相浦:6話まででメリダが力だけではなく心も成長して高貴になってきているというところで、9話ではクーファの問題に対してメリダが大人になって、クーファとの立場が逆転するんですよね。

メリダちゃんはかわいいだけではないところの魅力もあるので、クーファが落ち込んでいるときに助けてあげられるくらいの力をつけたというのを、前半部分で見せたいなと思ったんです。

そんな中でのラスト、ロゼとクーファのシーンでは、ちょっぴり切ない感じを入れ込んでおきたいというのはありました。それでも、これで終わりですよというものにはしたくなくて、あえてメリダとは対象的に描かせてもらいました。


――ロゼとのやり取りは、良いですよね。

相浦:ロゼッティがクーファのことを思い出したとつぶやいているとき、クーファって本来それに反応するような人ではないんです。でも一度反応して、それをじっくり聞いてあげて、今後もこの子を守っていくことを覚悟するんです。

メリダがクーファに対してやったように、クーファもロゼを見守ることを決意するというところで、メリダもクーファも大人になっていってるというのを描きたかったんです。

――演技もすごく良かったですよね?

相浦:薮内満里奈さんには新人ながら頑張ってもらいました(笑)。でも薮内さんの演技は素直なので、素直な分、シチュエーションにすごく合っていたと思うんです。

演技演技しているより、素直に「あなたと一緒に生きたい」とか、最後のシーンでは「この街にいる間の記憶が、なんか曖昧なのよね……」って言うところもロゼらしいなと思って、すごく良かったですね。それを受けたクーファも、息遣いだけなんですけど、うまかったなぁって。そのおかげでエンディングにもうまく入ることができました。

――1話のEDの入りも素晴らしかったですが、ここもでしたね。

相浦:本編に食い込んでくるところなので、入りはすごくこだわりました。メリダちゃんが、ちょっとテンション高めにクーファに抱きついているところと、楠木さんの歌うエンディングの切ない感じとのギャップにジーンときちゃうというか。

ロゼのエピソードは、『アサシンズプライド』の中では3話分使っていたので構成としては長いんですけど、結果的に、これはクーファの覚悟の話数なんだというところに行き着いたので、ロゼッティやメリダといったクーファの周りにいる子たちが、クーファの周りで幸せそうにしているのを優しく見ているというのが、うまく描けていたかなと思っています。

――他には、ナクアとの戦いもありましたね。

相浦:ロゼッティとクーファが共闘するというところは絵も頑張っていただきたくて、少し無理を言いました。もうひとつ言うと、7話での伏線を回収するのがすごく難しかったんです。7話でクーファがメリダをデートに誘って、重力がない空間に行ったんですけど、そこにナクアをおびき寄せて、ナクアが空中浮遊しているから攻撃が当たるという話だったんです。

でもそれを流れの中で説明していたら2本分くらいかかると思ったので、そこはあえて説明せず、できるだけ感情的に戦ってもらうことにしました。ひとつひとつ丁寧に芝居をしてしまうと、視聴者も冷静になって見てしまうと思ったので、お互いが感情的にぶつかり合って、熱い戦いだったね!で終わろうと思ったんです。

だから9話って、実は単体では考えられなくて、7話のシャンガルタに入るときに雷が避雷針に落ちているんだよとか、細々とした伏線をここまでに入れていたことが、9話のこだわりなのかもしれません。

――先程話にも出てきましたが、ここだけではなく、いろいろなところに伏線を散りばめられていますよね。

相浦:端折っていることは否めないですし、それは前提としてなんですけど、アニメを深く考察して、原作を読んでいるかのような感想を書いている方もいらっしゃるので、そういう情報はちゃんと入れられているのかなと思ってます。

――カットしているぶん、行間を読み解くことも面白いのかなと思いました。

相浦:僕の演出上、ある一定のシーンですごく尺を使う傾向があって、ひと言言うだけで、すっごい尺を持ってかれるんです。だから9話のロゼッティをクーファが眠らせるシーンとかは、わりとたっぷりめに尺を取ってやりました。

そういうことって、なかなかできないことも多い中で、『アサシンズプライド』はやらせてもらえるアニメだったのかなと。それで言葉数が少なくなってしまったところは、雰囲気で感じてほしいなと思います。

――空気感はすごく出ていますよね。例えば1話のエリーゼとメリダが話すところも、たっぷり尺を使っていました。

相浦:あれは僕がみんなを押し切って「これでいいんです!」と言ったんですけど(笑)。「息を止めて苦しくなって、水から出るくらいのタイミングにしたい」とお願いしたんです。

普通の間だと長かったねで終わるけど、苦しいと思うところまでいくと、エリーゼとかメリダの気持ちに近い間の作りになると思ったから、めちゃくちゃ尺を使ってしまって……。だから1話はあと20分くらい欲しかったです(笑)。


――5話で、メリダがエリーゼに覆いかぶさって泣くところも、わりと時間はかけていましたね?

相浦:そうですね。あそこは演出家の方に、「そんなに尺を使っていいんですか?」と聞かれたんですけど、大丈夫ですと(笑)。1話での関係性に合わせて、分断することと囲むことというのは絵作りでもこだわっていたので、1話では柱で2人を分けていたんです。

でも5話ではその壁をメリダが越えてくる。そういうカットを1カットでも入れてほしいと演出さんに伝えたりしたので、そういうところを考察するのは楽しいかもしれません。

――では最後に、10話の見どころを教えてください。

相浦:エリーゼがメリダのサポート役になって、メリダはメリダでエリーゼを引っ張るみたいな関係性が、今までの2人と違っていて良かったのかなと思います。あと、ミュールとサラシャが助けに来るところは一瞬で終わりますけど見どころです。いいところを持っていくので。

〔文・塚越淳一〕

 

TVアニメ『アサシンズプライド』作品情報

放送・配信情報

10月10日(木)より放送開始!

TOKYO MX:毎週木曜24:00~
サンテレビ:毎週木曜24:30~
BS日テレ:毎週木曜25:00~
AT-X:毎週木曜23:30~
※リピート放送:毎週(土)15:30/毎週(日)8:00/毎週(水)7:30
※週1話ずつ4回放送

U-NEXTで独占配信 10月10日よりスタート予定

ストーリー

マナという能力を持つ貴族が、人類を守る責務を負う世界。

能力者の養成校に通う貴族でありながら、マナを持たない特異な少女メリダ=アンジェル。彼女の才能を見出すため、家庭教師としてクーファ=ヴァンピールが派遣される。『彼女に才なき場合、暗殺する』という任務を背負い――。

能力が全ての社会、報われぬ努力を続けるメリダに、クーファは残酷な決断を下そうとするのだが……。

「オレに命を預けてみませんか」

暗殺者でもなく教師でもない暗殺教師の矜持(プライド)にかけて、少女の価値を世界に示せ!

スタッフ

原作:天城ケイ(ファンタジア文庫)
原作イラスト:ニノモトニノ
監督:相浦和也
構成:赤尾でこ
キャラクターデザイン・総作画監督:吉川真帆
美術監督:松本実希子(スタジオ風雅)
色彩設計:小山知子(Fine Colors)
撮影監督:宮坂凌平(レアトリック)
CG監督:柴田渉(EMT2)
編集:瀧川三智(リアル・ティ)
音響監督:本山哲
音響制作:HALF H・P STUDIO
制作:EMTスクエアード

キャスト

クーファ=ヴァンピール:小野友樹
メリダ=アンジェル:楠木ともり
エリーゼ=アンジェル:石川由依
ロゼッティ=プリケット:薮内満里奈
ネルヴァ=マルティーリョ:佐倉綾音
ミュール=ラ・モール:内田真礼
サラシャ=シクザール:和氣あずみ
ほか

音楽情報

<OP主題歌>


Share the light / Run Girls, Run!
作詞 : 只野菜摘
作曲・編曲 : 田中秀和(MONACA)

<ED主題歌>


/ メリダ=アンジェル(楠木ともり)
作詞 : 只野菜摘
作曲・編曲 : 高橋邦幸(MONACA)

<サウンドトラック>

アサシンズプライド オリジナルサウンドトラック

アーティスト:MONACA
価格:3,000円+税
発売日:2020年1月29日(水)
アーティスト:MONACA
収録内容:作品を彩る劇中BGMを約40曲収録予定
 

Blu-ray情報

アサシンズプライド Vol.1 商品情報

発売日:2019年12月20日(金)
価格:14,000円+税
形態:Blu-ray Disc
収録内容:第1話~第4話 + 特典映像

【初回仕様】
◆原作イラスト:ニノモトニノ描き下ろしジャケット
【初回封入特典】
◆原作者:天城ケイ書き下ろし小説
◆特製ブックレット

 

アサシンズプライド Vol.2 商品情報

発売日:2020年2月28日(金)
価格:14,000円+税
形態:Blu-ray Disc
収録内容:第5話~第8話 + 特典映像

【初回仕様】
◆原作イラスト:ニノモトニノ描き下ろしジャケット
【初回封入特典】
◆原作者:天城ケイ書き下ろし小説
◆特製ブックレット

 

アサシンズプライド Vol.3 商品情報

発売日:2020年3月27日(金)
価格:14,000円+税
形態:Blu-ray Disc
収録内容:第9話~第12話 + 特典映像

【初回仕様】
◆原作イラスト:ニノモトニノ描き下ろしジャケット
【初回封入特典】
◆原作者:天城ケイ書き下ろし小説
◆特製ブックレット

公式サイト
公式Twitter(@assassins_anime)

(C)️2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員会
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