芹澤 優さん「私のファンは最高だ!」Yu Serizawa 1st Live Tour 2019 ~ViVid♡(アイ)コンタクト!~ライブレポート
「逃げてばっかりの人生だったけど、この仕事から逃げないのは、みんなに向き合いたいから!これからも応援、よろしくお願いします!」
"声優アイドル"芹澤 優さんは2018年12月1日(土)に開催された「Yu Serizawa 24th Birthday Live~Serikollection~」のステージでその胸中を明かした。
あれから1年。平成最後の写真集「すきぴ」の発売や自身初となるソロでのライブツアー。2ndシングル「デビきゅー」のリリースなど#セリコソロとしての活動も本格化してきた。
先日の取材中にも彼女から「今年は実ってますよね!今まで地道にやってきたことが花開いてきたというか」という言葉が出たように、これまでの積み重ねが声優として、声優アイドルとしての活動を後ろ支えする大きな力へと変化しつつある。
"声優アイドル"のてっぺんを取る。オンリーワンの世代に生きてきた芹澤さんは敢えてトップを意識し続ける。そんな彼女にとって記念すべき日がやってきた。2019年12月22日、「Yu Serizawa 1st Live Tour 2019 ~ViVid?(アイ)コンタクト!~」の千秋楽がZepp Divercityで開催された。
今回のライブについて、僕は2つのテーマがあると感じていた。まずは、芹澤さん初となるライブツアーをどのような形で完走するのかということ。
次に2018年12月1日(土)に開催された「Yu Serizawa 24th Birthday Live~Serikollection~」で魅せた可愛らしさと美しさ、そして熱さをどのようなアプローチで超えてくるのかということだ。
さぁ、ライブ本編について書いていこう。芹澤 優さん、人生で一度きりのファーストライブツアー千秋楽の幕開けだ。
新しいアイドル見せる
「Yu Serizawa 1st Live Tour 2019 ~ViVid♡(アイ)コンタクト!~」は9月14日(土)に仙台で幕を開けた。「i☆Ris 7th Anniversary Live ~七福万来~」や「プリパラ&キラッとプリ☆チャン」のAutumn、Winterライブ。多くのステージをこなしながらも、コンディションをキープしつつ、常に精度の高いパフォーマンスを魅せてきた。
2019年、ソロとしては集大成となるライブでは、どんな仕掛けを持ってくるのか。そんな期待に胸を膨らませつつ、プレス席に腰を下ろした。
会場が暗転しバンドメンバーが姿を現すと、会場全体から師走の寒さを吹き飛ばすような熱いコールが飛び交う。
そして、ピンクのリボンが眩しいプルーのワンピースに身を包んだ芹澤 優さんが登場した。
オープニングナンバーはテレビアニメ「プリパラ」から「ぷりっとぱ?ふぇくと」。
「新しいアイドル見せる」
と一緒に彼女の夢を高らかに宣言し、「神×太陽×サマーパーティ」になだれ込む。
「はじまりました!ViVid?(アイ)コンタクト!ファイナル!声出してけ~!」
ステージを左右に移動しながら会場を盛り上げまくる芹澤さん。「ハウ?トゥ!パーティー☆」までアップテンポな楽曲を連発。文字通りノンストップで駆け抜ける彼女はファンとのコールアンドレスポンスを重ねることで、会場の一体感を強めていく。
そう。芹澤さんの楽曲は非常にライブを意識されたアレンジに仕上がっているものが多い。合いの手がバチッとハマるからこそ、彼女自身も乗ってくるし、会場も更に沸く。
ライブを前提にした楽曲、ものによってはCD版と全く印象が異なるものまである。クリエイター、演奏者のサウンド作りに注目してみるのもアリかもしれない。
「2次元でも3次元でも可愛い芹澤 優です!」最強のエンターテイナーはスタートからフルスロットルだ。
ハイハイハイハハイテンション
#セリコソロといえば定番となってきたギターを構え会場へ振り付けをレクチャーする芹澤さん。
4曲目の「ハイハイハイハハイテンション」は芹澤さん自身が作詞した楽曲。取材中はあれだけ発表するのが恥ずかしいと語っていたがステージで披露する姿は完璧以上そのもの。
「最高のツアーファイナルはじまってるけど、まだ終わりたくない!」
その胸中を高らかに叫んだ。会場全体に「生きてるって感じ」が伝わったタイミングで「マジカル☆ラブ」へ。
アップテンポな楽曲は勿論だが、彼女のカリスマ性は王道的なアイドルソングで発揮される。
クルッとターンして「行くよ♪」と発するだけで、頬が赤くなり、胸が熱くなってくるよう。ブルーとイエローのサイリウムに染まった会場で踊り歌う彼女の姿は本当に可憐で美しい。
と、「i☆Ris」の「わくドキしたいっ!」へ一呼吸でつなげてきた。疾走感のあるアレンジの楽曲をバックに、ステージを縦横無尽に駆け回る。
"神バンド"が超絶技巧を見せつけるインストゥルメンタルが終わると再び芹澤さんが登場。そのまま「Out Of Control!」がスタートした。
ブルーのワンピースから一転。ブラックのスカートとピンクのレザージャケットが印象的だ。
これまでの楽曲から一転。ロックな芹澤 優をこれでもか!というほどに表現してきた。激しく、情熱的なパフォーマンス。「後半戦!まだまだセリコが足りてないんじゃない?セリコから目を離さないでよ?」
一瞬に感じるほどのスピードでライブは進んでいく。
「...私だけ見てて?」のイントロが鳴り響くと会場からも「おっ?」という声援が飛び出してくる。
そして、「PRINCESS POLICY」。あくまでも個人的な意見だが、芹澤さんにはこうした少し平成初期のテイストが残る楽曲がよく映える。
平成後期を経て令和はユニットの時代とも言える。だが、昭和や平成初期は圧倒的な存在感を持つソロアイドル(アーティスト)の時代だった。そんな時代を過ごしてきた僕から見れば、芹澤さんの華とステージでの表現力、カリスマ性はあの頃の憧れを想い出してしまうのだ。
「Only "Yu"…でしょ?」まさにその通りである。
今夜も月がきれい
MCを経てバラードコーナーへ突入。「今回のツアーでバラードを披露したところ好評だったことが嬉しかった」とファンへ本音を伝えところで名曲「今夜も月がきれい」へ。
ステージ左手に月が出現。「誰の顔をうかべてくれてもいい」と一言置いて歌いはじめたのだが、その圧巻のステージを見た人は、きっと芹澤さんの事だけしか考えられないだろう。
暗転した会場でスポットライト(月明かり)を浴びながら、切ない声で一つ一つの音を奏でていく。
昨年のレポートにも書いたが、今年もこのフレーズが浮かんだので、敢えてそのまま書き残しておきたい。
小説家・夏目漱石は「 I love you」を「月がきれい」と意訳した。ともすれば、『今夜も月がきれい』の意味は、「Everyday I Love "Yu"」なのではないだろうか。
続いてアカペラから「Imaginary」がスタート。ステージの階段に腰をかけて歌うバラードの似合う歌姫。
レポートのためのメモを思わず閉じてしまうくらい、完全に耳と目が釘付けになった。芹澤さんの作りだす世界に浸っていることが心地よい時間だった。
ロックでセクシーなセリコを披露
ここで記念すべき2ndシングル「デビきゅー」を披露。"セリコお姉さん"が会場の"お友だち"と一緒にパフォーマンス。
バンドバージョンの「デビきゅー」はCD版とは違った中毒性が生まれていた。ギターのカッティングが非常に耳馴染みがいい。さらに熱くなってきた会場をグルッと確認すると「No regulation」がはじまった。
間奏でジャケットを脱ぎ捨てノースリーブ姿へ。会場からも「おぉぉ!」と大歓声が巻き起こる。まさに、「ロックでセクシーはセリコ」というフラグを完全に回収する一撃だ。
「ここからラストスパート!寂しいし、終わりたくないけど、出し切ったら受け止めてくれる!?絶対後悔させないラストスパートにしましょう『COMETIC SILHOUETTE』」。
青から赤へ。会場を灯す光が切り替わったのがもう一つギアを上げる合図だったかのように、更に沸くZepp Divercity。終盤に差し掛かろうというのに、更に激しく情熱的なパフォーマンスを魅せる芹澤 優さん。
間髪入れずに「TRIal HEART ?恋の違反チケット?」がスタートする。前日の「プリパラ ライブ」でも会場を圧倒した楽曲を再び聴くことができるなんて、なんと贅沢なことなのだろう。
そして、再びテレビアニメ「プリパラ」シリーズに登場する人気ユニット「メルティックスター」のナンバー「Play Sound☆」へ。赤、緑に染まる会場。完全燃焼するために選ばれたナンバー。会場のテンションを最高潮に高めた後、「Revelation」に突入した。
紗幕を大胆に使った演出。歌詞がステージ全体に広がる。芹澤さんが一番辛かった時期、夢と現実の間に揺れていた時間に紡いだ一番の歌詞と、「お仕事好きだもーん」とブログに書いてしまうほど充実した今書き下ろした2番の歌詞。
"明るく元気で可愛いセリコ"ではなく、"等身大の芹澤 優"を詰め込んだフレーズの数々が紡ぎ出される。
「君が好きな僕だから 愛していける 走り出せる 何度でも ここに立つよ」
サプライズのダブルアンコール
今回のライブで一つのポイントとされていたのが新曲の披露タイミングだったが、明らかに印象的に残る場所に選曲されていた。
セットリストも練りに練ってこの日を迎えたのがヒシヒシと伝わってくる。
自分の紡いだ言葉にそのフレーズを書いた時の気持ちが乗る相乗効果なのか、非常に気持ちの乗った"バンドサウンド"になっていたように思う。
と、アンコールがはじまった。
まずは、「outshine」を披露。続いて「Merry Birthday!」。そして、1stシングル「最悪な日でもあなたが好き。」を歌い上げた。「最悪な日でもあなたが好き。」に入る直前。バンドメンバー4人にそれぞれ「行けるかな?」と確認を取る。
そんな光景を見ていると、芹澤さんはこの"バンド"活動にハマたんだなぁと思った。メンバー紹介の時に自分のことを"ヴォーカル"だと名乗った姿も印象的だった。
声優アイドル×バンド。ステージで魅せるパフォーマンスに客席からの熱い歓声が揃えば、世界に一つだけの魅力を持った"SERIKO BAND"の出来上がりだ。
今回のライブを見ていて、芹澤さんが前回のバースデイライブとは違う雰囲気を纏っていたように見えた。
昨年が「色々なセリコを見せる」がテーマならば、今年は「バンドメンバーとセリコいや、このバンドのパフォーマンスを魅せる」だったように思う。
「歌いたい!いいよね?」
最後にもう一曲サプライズで「パラレルスターズ」を歌い上げる。みんなで手を振りながら最高のライブの幕は閉じた。
ソロセリコの魅力
芹澤 優の魅力とは何なのだろう――。
一年前とは全く違う視点を持ってステージを見ていると色々なことに気付かされる。ここでは、敢えて「i☆Ris」の芹澤 優とソロの芹澤 優で分けて考えてみたい。
まずは声優アイドルユニット「i☆Ris」の芹澤 優さんから。リードオフウーマン(トップバッター)としてパフォーマンスを牽引するのは勿論だが、それ以上に5人を引き立てる黒子としての役割も完璧に行う。
客席へのレスを返しつつ、振り付けは揃わせる。持ち前のキャラクターを生かして、他のメンバーを引き立てることを忘れない。
エゴイストのようでジェネラリスト。得点も決めるがシーンに応じてアシストも完璧にこなす。
そして、#セリコソロ。一人でステージに立ち、"自分のことだけに"集中する芹澤さんだが、今回のライブツアーに関しては、少々毛色が違った。
そこにはバンドメンバーの存在があったように思う。#セリコソロであることは勿論なのだが、ソロ活動ではなく、バンドメンバーの一員・ヴォーカルとしての芹澤さんだったようにも思える。
さらに、「ファンサービス」を通り越して、まさにファンと一緒にステージを作り上げることができる。これこそが"声優アイドル"芹澤 優さんの魅力なのだ。
令和初のソロライブツアーを完璧な形で終えた芹澤 優さんと神バンドのメンバーたち。次の#セリコソロへの期待が膨らむ最高のステージだった。
そして、現地ではなくとも千秋楽の魅力は十分以上に伝わっていた。ニコニコ生放送のライブ配信では、なんと「よかった以上」が99.8%。超ド級いや、"デビ級"の記録まで叩き出した声優アイドル。2020年の活動も楽しみである。
マイクを通さず、「私のファン!私のバンドは最高だ!」と最後に叫んだ芹澤さん。そう心から言える最高の千秋楽だったように思う。
[文・川野優希]
セットリスト
01 ぷりっとぱ~ふぇくと/南みれぃ
(テレビアニメ「プリパラ」)
02 神×太陽×サマーパーティ
(1stシングル『最悪な日でもあなたが好き。』収録曲)
03 ハウ?トゥ!パーティー☆
(2ndミニアルバム『only you?only me!』収録曲)
04 ハイハイハイハハイテンション
(2ndシングル『デビきゅー』収録曲)
05 マジカル☆ラブ/秋月マキシ
(TVアニメ「犬とハサミは使いよう」)
06 わくドキしたいっ!
(i☆Ris 8thシングル『Realize!』収録曲)
07 Out Of Control!/ベイリン
(ゲーム「乖離性ミリオンアーサー」)
08 ...私だけ見てて?/穴沢虹海
(TVアニメ「魔法少女サイト」)
09 PRINCESS POLICY
(2ndミニアルバム『only you? only me!』収録曲)
10 今夜も月がきれい
(2ndミニアルバム『only you? only me!』収録曲)
11 Imaginary
(1stミニアルバム『YOU&YOU』収録曲)
12 デビきゅー
(アニメ「魔入りました!入間くん」EDテーマ)
13 No Regulation
(2ndミニアルバム『only you? only me!』収録曲)
14 COMETIC SILHOUETTE/メルティックスター
(テレビアニメ「キラッとプリ☆チャン」)
15 TRIal HEART ?恋の違反チケット?/南みれぃ
(テレビアニメ 劇場版プリパラ み~んなでかがやけ!キラリン☆スターライブ!)
16 Play Sound☆/メルティックスター
(テレビアニメ「キラッとプリ☆チャン」)
17 Revelation
(2ndシングル『デビきゅー』収録曲)
<Enc>
18 outshine/秋月マキシ
(TVアニメ「犬とハサミは使いよう)
19 Merry Birthday!
20 最悪な日でもあなたが好き。
(TVアニメ「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」EDテーマ)
<W Enc>
21 パラレルスターズ
(2ndミニアルバム「only you? only me!」収録曲)