劇場版『新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X』レビュー|笑いあり、涙あり、コラボあり! 何でもありのTVシリーズの魅力が、そのまま劇場作品に
誰もが分かるものから、鉄道ファン向けのディープなネタまでを網羅!
小さい男の子を中心に人気を集めた『シンカリオン』ですが、そのTVシリーズでは、明らかにメインの視聴者層である子供たちに向けたものではない、多岐に渡るジャンルの小ネタが仕込まれており、一緒に見る大人も楽しめる作りとなっていることが人気の要因にもなっていました。
劇場版でもその要素はしっかりと引き継がれており、お父さん・お母さんの世代に向けた懐かしのネタ、ロボットアニメファンに向けたネタなど、あらゆる世代が楽しめる作品として作られています。
そんな中でも、一層ディープなのが鉄道に関連したネタで、こと鉄道の話になると止まらなくなるハヤトの語り口調も健在。
劇場版から登場する新型のシンカリオン「シンカリオン ALFA-X」は、他の新幹線とは一線を画す、SFアニメに出てきそうな近未来的なデザインをしているのですが、これは次世代新幹線開発のための試験車両「ALFA-X」が元になっています。
「実在の新幹線が巨大ロボットに変形する」というポイントは、TVシリーズから引き続きしっかりと劇場版でも守られており、TVシリーズと同様に懐かしの鉄道ネタも飛び出すなど、鉄道ファンならニヤリとすること間違いなし。
ライトからディープなものまで、あらゆる層や世代に向けた豊富なネタが詰め込まれていながら、それが破綻することなく一つの作品としてまとまっているのが、劇場版でも受け継がれている『シンカリオン』の凄さと言えるでしょう。
“全車集結”のコンセプトに偽りなし! まだ未発表のサプライズも……?
今回の劇場版は「全車集結」というコンセプトが打ち出されている通り、TVシリーズに登場したすべてのシンカリオンが登場。
レギュラーキャラクターだけではなく、『初音ミク』をモチーフとした運転士・発音ミクとH5はやぶさ、『新世紀エヴァンゲリオン』とのコラボレーション回に登場した、碇シンジが運転する「500 TYPE EVA」も、しっかりとその勇姿を披露してくれます。
とくにミクに関しては、TVシリーズでは披露されなかったライブシーンも用意されているのも注目したいポイント。
TVシリーズでの発音ミクは、真面目で剣道に一途な女の子として描かれていたこともあり、ライブ中のカットシーンが公開された際には、度肝を抜かれたファンも多いのではないでしょうか。
なおライブシーンは、「初音ミクシンフォニー」のキービジュアルなど、初音ミク関連の企画で数々のデザイン・イラスト実績を持つRellaさんが衣装デザイン、「グレイテスト・アイドル」などの楽曲で、多数のJ-POPファン、VOCALOIDファンを虜にしてきたMitchie Mさんがボーカルアレンジを担当し、おなじみのTVシリーズの主題歌「チェンジ!シンカリオン」を歌い上げてくれます。
ミクのファンならその本気度をすぐに感じ取ることができるであろう“ガチ”な作りで、映画館で見ることで、ちょっとしたライブ・ビューイング気分を味わえるかもしれません。
またコラボレーションはそれだけはなく、色々な意味でさらに度肝を抜くであろう、未発表のサプライズの存在も。これに関しては、ネタバレを耳に入れる前に劇場に足を運び、是非とも次ご自分の目で確認していただきたい……!
『シンカリオン』史上、最大級の事件を見逃すな!
いよいよ公開も間近に迫る、映画『新幹線変形ロボ シンカリオン 神速のALFA-X』。
物語としてはTVシリーズ最終回の後という位置づけということで、やはりその内容を楽しみ尽くすには、しっかりとTVシリーズを抑えておく必要があると感じました。
その分、TVシリーズを追いかけた人にはたまらないサービスシーンが満載。個人的には、エンディングがかなりジーンと来るシーンになっていて、楽しさだけではない、映画らしい感動を呼び起こしてくれたのも高評価です。
本作を見終えた後、再びTVシリーズを1話から見返したくなるのは、おそらく筆者だけではないと思います。
とはいえ、ストーリーの骨子にあるのは「家族」という普遍のテーマなので、大筋は非常に理解や共感がしやすいですし、エヴァやミクとのコラボなど、ビジュアル面だけを追ってもオンリーワンのインパクトを持っている作品なので、ある程度キャラクターの設定とあらすじさえ抑えておけば、一つのエンターテイメントとしてしっかり楽しめるはず。
時空を越えて結ばれるハヤトとホクトの絆、そして『シンカリオン』の未来はどこに向かって進んでいくのか。少年たちが進むレールの行き先を、是非劇場でご覧ください。
[文/米澤崇史]
劇場版『新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X』作品概要
【公開表記】12月27日(金)全国ロードショー
【スタッフ】
監督/池添隆博
脚本/下山健人
キャラクターデザイン/あおのゆか
メカニックデザイン/服部恵大
音楽/渡辺俊幸
音響監督/三間雅文
【キャスト】
佐倉綾音
沼倉愛美
村川梨衣
真堂圭
竹達彩奈
杉田智和
雨宮天
うえだゆうじ
山寺宏一
釘宮理恵
伊藤健太郎
吉田鋼太郎
【主題歌】「ガッタンゴットンGO!」BOYS AND MEN(ユニバーサル ミュージック)
【アニメーション制作】OLM
【アニメーション制作協力】SynergySP
【CGアニメーション制作】SMDE
【制作】小学館集英社プロダクション
【製作】超進化研究所
【配給】東宝映像事業部
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