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冬アニメ『斉木楠雄のΨ難 Ψ始動編』神谷浩史インタビュー

冬アニメ『斉木楠雄のΨ難 Ψ始動編』神谷浩史さんインタビュー|神谷さんが分析する作品の魅力とヒットの要因とは?

むちゃくちゃ頑張って、早口で無理くり入れてこそのギャグアニメ

――今作登場の新キャラクター井口工(鳥海浩輔さん)、鈴宮陽衣(東山奈央さん)が収録に参加して、雰囲気に変化はありましたか?

神谷:変化はなかったです。声優として、とても優れた技術を持っている鳥海さんと東山さんのふたりが現場に来てくれているというのが前提なんですけど、何となく『斉木楠雄のΨ難』という作品がこういうものだというのを薄々感づいたみたいですね。

これまでゲストにいらっしゃった方はみなさんそうなんですけど、収録前に自宅でリハーサルビデオを見て練習してきます。その時にみなさん1回は何かおかしいと思うらしいんですよ。

映像を見て、「あれっ?」と思った瞬間に2カットぐらい進んでいるから、「ちょっと待って、これはたぶんビデオが壊れているんだろう。倍速で録画されちゃっているから、たぶん間違っているんだろう」と思うらしいんですよ。でも何度見ても、カウンター(映像の上に付いている時間を確認するもの)は普通に動いているから、合っている。

そうなると、どうやらこれは巻きでセリフを入れないと、ダメだと気づくらしいんです。収録現場にも覚悟して来るので、スタジオで「早い」、「入らない」という弱音を吐く方はいらっしゃらない。

ギャグアニメに関わらせていただいていて、「これはセリフが入らないです」とか、「これは早口すぎて大変です」ということをスタッフに主張したところで意味がない(言ったところでスタッフは聞かない)ということは、他の作品でもけっこう思い知らされてきました。

それにセリフをカットしたところで、そのカットが生きるか、そのセリフが生きるかと言われれば生きてはこないので、どんなに難解だろうが、入らないだろうが、むちゃくちゃ頑張って、早口で無理くり入れてこそのギャグアニメだと僕は思っています。

確かに早いとか、しんどいという思いはあるので、弱音として「これは無理だよ」とは言いますけど、それをスタッフに真剣なトーンで「これはもう絶対入らないから、何とか1回考えてくれ」ということは言ったことはないです。

だからそういう覚悟で、みなさんも収録現場へいらしていたようで、鳥海さんも東山さんも何も言わずに、前からいたような顔をしてやっていましたね(笑)。

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