音楽
ホロライブ初の全体ライブ『ノンストップ・ストーリー』レポート

「私たちの夢はここでは終わりません」|ホロライブ初の全体ライブ「hololive 1st fes.『ノンストップ・ストーリー』」レポート

戌神ころねの『こちら、幸福安心委員会です。』に衝撃

ホロライブ最初のVTuberときのそらと、2人目のVTuberロボ子さんによる最初のMCパート。ときのそらは、オープニングですでに「うるっときそうになった」と明かし、ロボ子さんもメンバーがずらっと並んだ光景に感動したと話した。

2人と入れ替わりに登場したのは、ホロライブゲーマーズの戌神ころね。普段の配信でも独特のゲームチョイスセンスに驚かされることはあるが、選曲のセンスも天才的。

耳に残るエレクトロなリズムと、演説のような詞が印象的なうたたPの『こちら、幸福安心委員会です。』を歌った。自分の死に方を選ばせる物騒なフレーズが、独特のころね訛りで歌われると楽しい雰囲気に。

ラストの「幸せじゃないなら 死ね」も可愛いトーンにアレンジされ、笑顔で「死~ね♪」と言われた客席からは歓喜の声が上がる。

癒し系ウィスパーボイスが魅力的なホロライブ3期生・潤羽るしあは、とあの切ないラブソング『13』をバレエのような振り付けとともに披露。

踊りながら大きく手を動かすたびに、広がった袖が蝶の羽のように見える。ゲーム配信で悔しがる「きれるしあ」な一面は微塵も感じさせない「3期生の清楚アイドル担当」に相応しい可憐なステージだった。

続いて登場した星街すいせいは、企業に所属しない個人勢としてデビューし、現在はホロライブメンバーという前例の無い道を歩んできたVTuber。

それを実現したのは、ゲームセンスやトークスキルなどの多才ぶりだが、最大の武器は、澄んだ高音と深みのある低音を兼ね備えたボーカル力。

夢の武道館への大きな一歩となる今回は、2ndオリジナルソング『天球、彗星は夜を跨いで』を披露。自己紹介や煽りも一切無く歌声だけで勝負し、配信での「いつも可愛い」すいちゃんとは違うクールな面を披露した。

ラストの伸びやかなロングトーンには、思わず拍手。また、この日が初お披露目だった3Dモデルのクオリティも、ステージの完成度をさらに底上げしていた。

「みんなーいっくわよー!」

バイリンガルJKのVTuber赤井はあとは、第一声でクールな空気を一変させると、広いステージを左右に動き回りながら、HoneyWorksの『私、アイドル宣言』を歌う。

歌声も、軽やかな振り付けも常に可愛いく元気一杯だ。ツンデレな性格だけに、ファンへの煽りも、指差しながら「声、出しなさーい」と叫ぶなど直球。だが、それがいい。

続いて登場したホロライブゲーマーズの猫又おかゆは、いつもと変わらないゆるゆるな雰囲気。「お腹が空かないように、おにぎりいっぱい食べてきたよ~」という一言の後、ナユタン星人の『惑星ループ』を歌った。

歌い始めても余裕ある空気を漂わせていたが、表情と高く上がったままの尻尾は常に楽しそう。最後は「さらばー」と言い残し、らしさ全開のソロのステージを終えた。

ボーイッシュさも魅力の大空スバルは、HoneyWorksの『金曜日のおはよう』を披露。以前、「ASMR配信」(心地良い声や音を流す配信)に挑戦した時の声は、ドナルドダックに激似だったが、歌声はキュートなアイドルボイス。

声以上に驚いたのはダンスの上手さで、複雑なステップも多い高難度のダンスを踊りきる。

数々の迷企画や珍企画も乗り越えてきた地獄企画のエキスパートだが、この日の爽やかな笑顔と歌と踊りは完全に、デビュー前から夢見ていたというアイドルだった。

白上フブキのソロでは、「すこん部」のコールが響く。

白上フブキ、大神ミオ、夏色まつり、宝鐘マリンの4人によるMCパートでは、3Dモデル初披露の3期生・宝鐘マリンが自己紹介でのポーズも初披露。

懐かしい「だっちゅーの」のポーズで締める妙にレトロな動きだが、他の3人は事前に見ていたようで、初手から完コピしていた。

ソロパート後半戦の一番手は、ホロライブの音楽レーベルとして発足した「イノナカミュージック」に所属しているVsinger(音楽特化型VTuber)のAZKi。

開拓者(AZKiファンのファンネーム)への思いを込めたようなオリジナル曲『without U』を熱唱した。衣装はクールな黒いコート姿だったが、艶やかな歌声からは近しい存在へ呼びかける時の優しさや親しみも伝わってきた。

「人間様たち、こんなきりー。ホロライブ2期生の百鬼あやめだぞー」と、いつもの挨拶とともに登場した「かわ余」な鬼神は、自身の雰囲気にも合った「和」イメージの超定番ボカロ曲、黒うさPの『千本桜』を披露。

透明感ある綺麗な歌声は大人っぽく、歌う姿からは格好良さも漂う。普段とのギャップの大きさが魅力的なステージだった。

MCでも会場を沸かせた宝鐘海賊団のマリン船長は、アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の挿入歌『Lost my music』を熱唱。

濃いキャラと深いオタク知識を生かしたトーク力、プロクオリティの画力など、VTuberとして様々な武器を有するが、パワフルかつ安定した歌声でもさらに会場を盛り上げた。

次に登場したのは、ホロライブ1期生で、異世界シャ・ル・イースからやってきたハーフエルフの女子高生「アキロゼ」ことアキ・ローゼンタール。

披露したのは、故郷の伝承歌『シャ・ル・イース』。ベリーダンスが特技というのも納得の流麗なダンスと、美しい声による不思議な言語の歌は、アキロゼにしか作れない癒しの空間を生みだした。

3期生の白銀ノエルが初めての大舞台で選んだのは、ハイテンポでキャッチーなリズムの『太陽系デスコ』。

ナユタン星人の代表曲の一つで、キーも難易度も非常に高いが、可愛らしいノエル団長の歌声とダンスに合わせて、会場からは大きな手拍子が響く。

歌には苦手意識があると配信でも語っていたが、初ライブで歌い踊る姿は心から楽しそうに見えた。

ホロライブ1期生兼ゲーマーズの白上フブキは、昨年11月の誕生日イベントで発表された『Say!ファンファーレ!』を披露。コールのポイントも多くライブ映えする曲だが、歌動画が公開されたのはライブ前日。

それにもかかわらず多くのすこん部(フブキファンのファンネーム)はコールをマスターし、可愛い声で歌い踊る推しのステージを盛り上げる。

記者席では自重したが、「はい! はい! うーっ、こんこんっ!」と声を上げるファンは悔しいほど楽しそうだった。

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