『デジモン』が大好きという気持ちは出し切れたと思うし、演じ終わった今も大好きでよかった――映画『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』連続インタビュー第3回│メノア役・松岡茉優さん
『デジモンアドベンチャー』シリーズが20周年を迎えたことを記念して制作された映画『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』が現在好評公開中!
『デジモンアドベンチャー』の太一たちが冒険したあの夏から10年以上が経った2010年。パートナーデジモンを持つ世界中の「選ばれし子たち」にある異変が起こる。事件解決に向けて動く中で、自身が成長することでパートナーデジモンが消滅するという事実を知った太一はどんな選択をするのでしょうか?
『デジモンアドベンチャー』のメインキャラに加え、『02』のキャラたちも登場するまさに「『デジモン』ファンのための映画」でありながら誰でも感動できる内容になっています。
公開を記念して、アニメイトタイムズでは連続キャストインタビュー企画をお届けしています。第3回となる今回ご登場いただくのは劇場版オリジナルのキャラで、物語のカギを握るメノア・ベルッチを演じる松岡茉優さんです。
幼少期から慣れ親しんだ『デジモン』。出演よりもまず新作映画が見られる喜びが!?
――『デジモン』シリーズをご覧になっていたそうですが、初めてご覧になった作品は?
メノア・ベルッチ役 松岡茉優さん(以下、松岡):一番最初の『デジモンアドベンチャー』からです。無印と呼ばれているのを知らなくて、こうして取材等で何度お聞きしてもまだ慣れなくて(笑)。
子どもの頃は新しく始まるアニメはいつも楽しみで、デジモンは1回目から見たら好きになって、親にねだってデジヴァイスを買ってもらったり、自分の生活の中に当り前にあるアニメでした。
――松岡さんにとっては幼少期から慣れ親しんだ作品というわけですね。
松岡:そうですね。今も好きだし、ふと昔のシーンやデジモンのことを思い出すことも多くて。だから今回の映画は、今までファンでいてよかったなと思わせてくれました。
『デジモン』シリーズのアニメを1つでも見たことがある人や、例えば細田守監督が手掛けた名作『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』しか見たことがない方でも「あっ!?」と発見したり、「そうそう!」と納得できるシーンがたくさんあるので、ぜひ見ていただきたいです。
――ちなみにお好きなデジモンを教えていただけますか?
松岡:みんな好きなんですけど、子どもの頃に熱中していたのはエンジェウーモンで、モノマネもよくしていたし、エンジェウーモンになりたいと思っていた記憶があります。
――では実際にパートナーデジモンとしてそばに置きたいデジモンは?
松岡:パートナーデジモンを1つ選ぶのは難しいけど、パタモンを頭に載せてみたくて。
この映画のポスターやシーンにもあるんですけど、いつもタケルは頭の上にパタモンを載せていますが、今回はタケルが帽子をかぶっている上に載せているのでむしろ帽子と同化しているように見えるのがかわいくて。
だから実際に頭に載せてみて、重さを確かめてみたいです(笑)。
――今作への出演が決まった時の感想は?
松岡:まずいちファンとして「また『デジモン』の映画を作ってくれるんだ」という喜びがありました。今回は太一とアグモンの物語としてひと区切りということで、たくさんのファンの人たちの想いを受け取って、映画を作るとおっしゃっていたので、自分へのオファーより映画ができることがうれしかったです。
――その『デジモンアドベンチャー』シリーズが20周年を迎えました。どんな感想をお持ちになりましたか?
松岡:私にとっては子供の頃から見ていたシリーズなので、20周年という数字に驚きはないんですけど、今作で太一たちが大人になって、ビールを飲み交わしていたり、大学生として進路に悩んでいる姿を見ると「ああ、そんなに時間が経ったんだな」と感じました。
シリーズが始まった頃は太一たちも私も子供だったけど、お互いに大人になって……と一緒に成長できるアニメ作品は少ないと思うし、今回はそれが特徴的に描かれている気がします。
――『デジモン』シリーズを好きになった理由やここまで長く愛されてきた魅力とは?
松岡:私はキャラクターにひかれています。アグモンをはじめ、パートナーデジモンたちも大好きだし、太一たち選ばれし子どもたちも活き活きしていて。
そんな個性的すぎて、まとまらない時もあった子どもたちが大人になり、夢を叶えている子もいれば、今でも夢を叶えるために頑張る子もいたり、やりたいことが見つからなかったり、1つに絞れずに葛藤している子もいて、私たちが通ってきた道を太一たちも通っているんだなとより共感したり、自分のこれまでの道のりを振り返ってみたりして。
そんな楽しみ方をできるのも長く愛され、続いてきたからじゃないかなと思います。
メノアに共感し、同じような想いや葛藤を抱えるキャラを演じられて幸せでした。
――今回、演じたメノアの印象をお聞かせください。
松岡:メノアには大好きだったモルフォモンというパートナーデジモンとの別れというつらい過去があって。一見、快活でみんなを引っ張ってくれるお姉さんのように見えるけど、実は「もう一歩も前に進みたくない」というところまで追い込まれていて。そういう想いを物語にするとヒールに見えてしまうけど、太一やヤマトのように不安や絶望の中でも前に進んでいくことは簡単ではないと思うんです。
あきらめずに進み続けることには大きなパワーが必要なので、メノアがつらい現実や未来ではなく、楽しかった過去だけ見ていたいと思ってしまうことにも共感してしまう自分がいて。だから「メノアの気持ちわかるなあ」と思いながら演じていました。
実際、子どもの頃から太一やヤマトに勇気や元気、前に進むパワーをもらってきたけど、彼らと離れて自分の生活を送っていくと悩んだり、苦しくて立ち止まってしまいたくなる時が何度もあって。だから20年前に教えてもらったことをもう1回、太一とヤマトに教えてもらう感覚であり、私と同じ想いや痛みを抱えるメノアを演じられたことは幸せでした。
――本宮大輔役の片山福十郎さんの、メノアの印象の第一声は「美人!」でした(笑)。
松岡:うれしい(笑)。
――井ノ上京役の朝井彩加さんは足や後ろ姿がキレイだとおっしゃっていて。女性から見ても憧れる容姿なんですね。
松岡:確かにこの丈のスカートをはいて、スニーカーで合わせられるスタイルの持ち主はそういないですよね。
――また英語の発音がネイティブみたいに自然でカッコよかったとも。
松岡:ウソだ! 大変でしたよ(笑)。アフレコでは英語は後回しにして、幼少期から録り始め、大切な本編パートを録った後にセリフの中で抜粋して残した英語の部分を英語の先生と一緒に収録しました。
40~50分、ひたすら英語だけを頑張る時間で、修行みたいでしたが、そう言ってもらえてよかったです(笑)。
――そして火田伊織役の山谷祥生さんは瞳でも表情や感情が表現されているとおっしゃっていました
松岡:特にメノアが後半からガラっと雰囲気が変わるところがあるんですけど、瞳の色が変わっていましたね。あと私は髪の毛が気になりました。
最初はこざっぱりしていて、さわやかで信頼できるお姉さんっぽいヘアスタイルなのに、お話が進むにつれて怖い感じになっていくのも印象的で。そこも監督のこだわりや狙いなのかなと思いました。
――収録の時に意識した点や受けたディレクションを教えてください。
松岡:専門職ではない私にとって一番大きな壁は声がマイクにのらないことでした。物理的にもですが、普段私がやっている映像のお芝居での発声方法や表情の表現がマイクを通すとまったくのっていなくて。
声のお仕事をさせていただく時はいつもそうで。皆さんにとっても私にとっても大切な『デジモン』という作品なので、録っている間は「どうか、マイクに私の気持ちがのりますように」と祈る気持ちで演じていました。