冬アニメ『地縛少年花子くん』緒方恵美さん×鬼頭明里さんインタビュー|欲望に忠実な寧々ちゃんだから花子くんも本音が見せられる。少しずつ変わり始める2人の距離感
物語が進むにつれて変わる花子くんと寧々ちゃんの距離感
――キャラクターを演じる上で心がけていること、意識していることがあれば教えてください。
鬼頭:寧々ちゃんは結構ツッコミを入れたり、巻き込まれ型の叫びや悲鳴が多かったりするので、うるさく聞こえない程度にしようと心がけています。
あとは、ずっと一辺倒にならないようにいろんなバリエーションで演じることができれば良いな、と思いつつ、先輩方にもギャグのシーンではもっとやっちゃっていいよとよく言われるので、どのくらいまでできるか自分で模索しながら演じています。
――ちなみに、最初にこうしてほしいというディレクションはあったのでしょうか?
鬼頭:『地縛少年花子くん』は女性人気がすごく高い作品なので、“嫌われないヒロイン”になるようにしたい、同性から見て可愛いと思われるような子にしたいですと言われました。なので、そこを常に意識しています。
緒方:男性の視聴者がつくようなアニメのヒロインみたいにしないでくださいと言われていたよね。
私は、第1話のときに、“花子くんはとにかくふわふわしてほしい”と言われていました。現実味がない浮遊感がある芝居をしてほしい、と。
最初は、あまりリアリティのある芝居を求められていなくて。もちろん、芝居としてはリアリティが大事ですが、花子くんは幽霊なのでリアルにいない感じを出さないといけない。
でも、司に会ったときの表情変化といった片鱗を示しておかないと、そこで急に人が変わるようになっちゃうような気がして、その辺りについて監督と話し合いながら進めました。
とりあえず、最初はふわふわとした感じを出していましたが、ちょうど第1話・第2話を収録した段階でCMのお仕事があったんです。
そのCMで、最新巻の花子くんが寧々ちゃんに言うセリフがあって、それはあくまで最新巻の花子くんなので、序盤とは違う相当距離が縮まっている状態になっているんですよね。
そうなると、TVアニメとCMの花子くんが全く違う感じになっちゃいますし、そのセリフを最後まで言っちゃうとネタバレになり過ぎませんか?という話になって。結局、そのセリフは最後まで言わずに、でも距離がすごく近い感じのセリフになりました。
それでも、オンエアのときにCMで喋っている花子くんと本編の花子くんの雰囲気が全然違うので「あれ?大丈夫かな?」と(笑)。今はCMのほうに2人の関係が向かいつつあるので、少し動き始めたかな~という感じです。
緒方さんが経験した3つの怪談
――怪異ものということで、学生時代の好きな怪談話や実体験があれば教えてください。
鬼頭:私は校舎がすごく新しい建物だったので、あまり怪談話はありませんでした。でも、普通に花子さんいそうだから、3番目のトイレに入るのはやめようみたいなことはありました。
緒方:花子さんの話はあったんだ! でも、花子さんが出たとしても鬼頭明里は跳ね返すので大丈夫です。
鬼頭:あはははは(笑)。こう見えて、オバケは苦手なんですよ?
緒方:そうなの!?
鬼頭:オバケという存在はいても大丈夫なんですけど、私の前には現れないでほしいです。
緒方:それはそうだ!
鬼頭:なので、これからも見えないでいたいです(笑)。
――緒方さんは何かありましたか?
緒方:学生の頃、夏に合宿で行くような施設があったんですけど、昔の旧校舎をそのまま運んだらしく、まさに、旧校舎そのものの雰囲気で。
その1階と2階の間の階段が12段だけど夜中の2時になると1段増えるという話があって、その階段をのぼるとやばいことが起きるという噂がありました。
女子校なので「試してみよう!」というノリになって、何人かでその階段を1、2……と言いながら上がっていく最中に、誰かが「じゅうさ……ギャーッッッ!!!!!」って叫んだんです。そこからみんな「ギャーッッ!!!」って一気に逃げ出して(笑)。
本当に13段あったかどうかも分からず、「誰か13段踏んだの?!」「分からない、分からない!」「誰だよ言ったの!」とパニック状態(笑)。もう階段を上がる勇気がなく、そこで終わったので真偽は分かりません(笑)。
一同:(笑)。
緒方:大学時代の頃もありました。当時の大学の校舎が、愛鷹山(三大霊山の1つ)という富士山と駿河湾の間にある山の中腹に建っていたんです。
その麓に学生が下宿していて、ある坂を登って山に行くんですけど、いろいろな怪談話がありましたね。たとえば、学生寮の廊下が全部、霊道と交わらないようになっているとか。
私自身、大学生活は短かったのですが、3回ほど不思議な出来事がありました。そこでは、(霊を)見る人は毎日のように見ているらしいです。
鬼頭:えぇ~!?
緒方:これは私が実際に経験したことですが、海沿いをバイクで走っているとき、何もないはずなのに海側にふわふわしている白いものが浮いていて、「何だろう?」と思ったらうわっとこっちに急に飛んできたんです。でも、そのまま反転して海のほうに消えちゃったんですけど。それが1回目。
鬼頭:怖いっ!
緒方:あと、よく学生が運転するバイクと車が通っている道があるんですけど、あるときバイクで走っていると気配を感じて横を見たら、おばあさんがいたんです。
全員:!!!!!
緒方:“前方におばあさんらしき人物は見えなかったのに、どうして肩の触れそうな距離にいるんだろう?”と冷静になってもう1度見ると、まだおばあさんがいるんです(笑)。
鬼頭:並走してる(笑)。
一同:(笑)。
緒方:メーターが60kmぐらいで、そのまま「うわぁ~~~~~!」と走り続けました(笑)。明るい街中に入ったらもういなかったので良かったんですけど、それが2回目。
鬼頭:ドキドキする……。
緒方:3回目の実体験が、よく出るという有名な寮があって、そこで先輩から麻雀に誘われて楽しんでいたら、後ろの扉の向こう側にある廊下から「すんっすんっ」って鼻をすする音がしたんです。なので「誰かいるんですか?」と聞いたら、先輩が「気にするな」って(笑)。
一同:(笑)。
緒方:でも、だんだん声が大きくなってきて泣き出したので、「先輩、後ろにいるのはもしかして……」と聞いたら、「だから気にするなって」と自分以外誰も気にしていない状態で(笑)。
それで、ついには声が漏れてきたので「ちょっと本当に!?」って怖くて声に出したら、先輩が廊下に向かって「後輩が怖がるので、静かにしてくれませんか。何ならあなたも仲間に入る?」と言ったら、そこからピタッと声が止んで。「えっ!?」と思ってドアを開けたら、廊下には誰もいないんです。
鬼頭:怖い~!!!!!
緒方:それが3回目の出来事でした。長い話でしたけど、ちゃんとそういうのを見て感じたのは、その場所でしかないです。やっぱり霊山という土地ならではの出来事だったんだろうな、と思います。