アニメ

2020-03-12 17:15

冬アニメ『地縛少年花子くん』安藤正臣監督インタビュー｜緒方恵美さんと話し合った花子くんのかっこよさの秘訣や、原作の画風を再現する上でのこだわりとは？

絵の個性が強い『花子くん』ならではのアニメの描き方

——『花子くん』は絵がとても個性的ですが、絵コンテを描くときに心がけたことを教えてください。

安藤：絵コンテを描くときも“今回はこういう話なんだね”と読みながら考えている部分はありますけど、『地縛少年花子くん』は今まで担当したアニメよりも絵の個性が強く難しい作画なので、原作のコマ割りを変化させずにそのまま使えるようにしています。

アニメの絵コンテを原作の描き方に寄せるということを考えて、自分は漫画のコマ割りをそのまま画面に置くというやり方が多いです。

漫画とアニメで1番大きく違うのは、“フレーム”の違いで、漫画の1番強いところは読者に対して見せたい絵の大きさとレイアウトを決められるところだと思っています。

それに対して、テレビ画面の縦横比は決まっているので、見せたいカットを希望の大きさで見せられないという点で、アニメを作っているときに窮屈に思うことがたくさんあって。

だったら、最初から画面の中を漫画の見開きのように見立てて、コマ割りの自由さを表現できないかな、と考えて作っています。

——『花子くん』の場合は、そのやり方があっているのですね。

安藤：はい。それが『地縛少年花子くん』のような個性的な面白い絵柄の漫画アニメ化する上では、1番アプローチの方法として正しいんじゃないかな、と。

自由なレイアウトで自由にこちらの解釈でアニメを作ってしまうと、『地縛少年花子くん』の画風の面白さには太刀打ちできないだろうなと思ったところもあります。

なので、できるだけ原作の絵を再現しようという方向でアニメを作っています。

——まさに原作から飛び出してきたような映像で、第1話はすごく驚きました。

安藤：漫画ではフレームが自由であることと同時に、あいだいろ先生が描くいろんな種類の飾り窓や綺麗な背景などデザインチックな部分もアニメで表現したい想いがあったので、アニメでもフレームを作らせてもらったり、意識して作ったりしています。

——また、アニメでは“止め絵”が際立っていました。

安藤：作業量の軽減を考えて“止め絵”が多くなっている部分はあるのですが、ただ、そのことで他のセクションの能力も良いバランスになっているんです。色の塗り方、雰囲気作り、質感、エフェクト等々、より1枚絵としての完成度を上げる方向で各セクションに考えていただいています。

実際に映像で見たときは、あいだいろ先生の塗り味をアニメ映像でも美術で雰囲気を出すことができるんだな、と感心しました。これは美術監督の栗林大貴さんのおかげだと思っています。

——美術監督の栗林さんと監督は『ハクメイとミコチ』でタッグを組まれていましたね。

安藤：はい。『ハクメイとミコチ』もアーティスティックな漫画のアニメ化で、栗林さんは原作の背景に負けないアニメ美術を描いちゃう恐ろしい人でしたので（笑）、『地縛少年花子くん』でも最初の座組みから安心感がありました。

——では、美術や色に関してはすべて一任されていたのですね。

安藤：そうですね。それと、あいだいろ先生に“どういうものを参考にこの絵を描いているんですか？”と質問したとき、“昔のマッチの箱や缶詰の表紙、看板など古い印刷物、そういう塗りの色合いやデザインセンスを参考にしています”と言われたので、そのことを栗林さんにお伝えしました。

あとは光の描写がとても抽象的で、色の使い方とかも写実性（物事をありのままに描写すること）とは違う作画なので、それを阻害しないようにしています。

アニメ作品の背景を描く際、写実的に寄れば寄るほどクオリティが高いと思われるものなので、普段は写実性に寄せて描いていますし、そっちのほうが慣れていらっしゃる方が多いのです。

しかし『花子くん』では、あえてそこから離れて、光の描き方などあえてリアルではない方向の色合いにしたり、描き方にしたりしてもらっています。

——通常のアニメとは違う描き方を意識されているのですね。

安藤：最近のアニメは、光の入射光や影の落ち方など最終的なライティングに大きく関わっているのが特徴です。デジタルで高められている技術は、やはり写実的な方向のリアルさが強く出てきます。

今のアニメ美術というものは、美術さんが描いてくれたリアルな絵面に対して、最終的に撮影さんのライティング、デジタル加工によってさらにクオリティを上げるという流れが基本です。

もちろんリアルさは大切で、デジタル技術が向上したことで自然光や空気、水のリアルさもうまく表現できようになりましたが、『地縛少年花子くん』ではその技術は使わない方向で進めているんです。

美術さんの描き様というか、人間が描いている抽象的に表現しているような光の形などを生かしたまま、デジタル作業をしています。

デジタルはリアルな方向にするための補足ではなく、美術さんが描いた絵をより見やすくする方向でアプローチしてもらっているので、普通のアニメよりも美術さんにいろいろな素材を描いてもらっているんです。

——なるほど！

安藤：最近は、レンズゴーストと呼ばれている、ライティングで光が走ったり、レンズの残像をあえて入れたりすることが実写映画でもよく見られますが、空気感を出すために必要な技術でもあるため、それがないと物足りなくなるんです。

そういう技術はデジタルだとソフトを使えばボタン一発で簡単に再現できますが、『花子くん』ではソフトを使わずに、まずは美術さんにレンズゴーストを描いてもらっています。

手書きのレンズゴーストを作ってもらって、撮影さんでうまく配置してもらう。あえて嘘のものを用意して、それを絵として配置してもらうという方法でやっていたりしています。

なので、本当に美術さんの力が大きいですね。画面で紙の質感を表現しているのは撮影さんの力なので、美術さんが描いたものを上手に生かしてくれる撮影技術も相当な高レベルだと思います。

——お話を聞いていると、アニメ『花子くん』は新しい挑戦というか、手探りでいろいろな工夫をされている感じがします。

安藤：まさにその通りです。答えは原作にあると思っているので、迷うことはあまりありません。

迷うことといえば、今この現場で与えられた戦力でどこまで原作に近づけるのかという工夫の部分にあって、目的地に対する迷いはないんです。

——原作へのリスペクトを強く感じます。

安藤：漫画家さんが表現したいことや漫画の文法を我々は共有していると思うんです。

原作を読んでいて、描き文字でも漫符（汗マークや怒りマークなど、キャラクターの感情や状況を表すために描かれる記号）でも音として聞いてほしいものなのかデザインとして見てほしいのか、だいたいのことは読者にも分かります。

アニメにするときはもちろん、聞いてほしい漫符だったら絵に文字は出さず音として表現するべきですし、見せることに意味がある漫符はデザインの一部なのでアニメでも堂々と描きます。そういう部分では素直に受け取ったものをそのまま出している感じがします。
　

——感じたことをそのまま素直に表現している、と。

安藤：素直に出すことで最終的に出来上がるものに自分の個性が知らずに出ていて、その知らずに出ているものにエゴの充足を得ている感じがして……と、カッコいいことを言おうとしていますが（笑）。

一同：（笑）。

安藤：僕が1番憧れている監督は富野由悠季監督で、講演会でおっしゃっていたことをそのまま僕も言っているんです。

自分のエゴを出そうと小さな意見を主張するのではなく、自分のフィルターを通した世界を表現すれば結果として勝手にエゴが出てくるものだ、と。

“原作を完全再現してやる！”と作っても、最終的に見えてくるものの中にどこかで自分の個性を確認できる部分があるので、そこがアニメ作りの面白いところだと思います。

　
[インタビュー/福室美綺]
　

過去のインタビューはこちらから!

アニメ『地縛少年花子くん』#緒方恵美さん× #鬼頭明里さんインタビュー｜欲望に忠実な寧々ちゃんだから花子くんも本音が見せられる。少しずつ変わり始める2人の距離感 https://t.co/EbRVVqX1pP #花子くん #花子くんアニメ
— アニメイトタイムズ公式 (@animatetimes) March 5, 2020

『地縛少年花子くん』TVアニメ放送記念ミュージアム

開催期間

アニメイト大阪日本橋 2F：2020年02月22日（土）～2020年03月08日（日）
アニメイト新宿 B2F：2020年03月14日（土）～2020年03月30日（月）

好評につきミニミュージアム追加開催決定！
アニメイト仙台：2020年03月14日（土）～2020年03月22日（日）
※開催中のミュージアムと同様に商品販売や特典配布に加え、一部展示も予定しております。

復刻特典

期間中、『地縛少年花子くん』関連商品(書籍、グッズ、CD、DVD/BD)をご購入・ご予約内金2,000円(税込)ごとに<きせかえカードステッカー(全3種)>をランダムで1枚プレゼント！　※こちらは『地縛少年花子くん』6巻発売記念フェアの復刻特典となります。

新規特典キャンペーン

期間中、『地縛少年花子くん』関連商品（書籍、グッズ、CD、DVD/BD)ご購入・ご予約内金3,000円(税込)以上ご購入いただいたお客様に、抽選で<あいだいろ先生サイン入りポスター>を1枚プレゼント！

ミュージアム好評につき再販決定！

ミュージアム好評につき、2019年8月27日に発売した『地縛少年花子くん』11巻アニメイト限定セットの再販が決定！

▲ビッグアクリルキーホルダー

対象商品：『地縛少年花子くん』11巻アニメイト限定セット：通常版1,882円(税込)
(※11巻通常版：660円(税込)＋ビッグアクリルキーホルダー：1,222円(税込)付きのセット商品です)

対象店舗：アニメイト新宿店、仙台店、アニメイト通販
再販発売日：2020年3月14日(土)～予定

※地縛少年花子くん 11巻アニメイト限定セット通常版のみの再販売となります。
※ビッグアクリルキーホルダー単体での販売は御座いません。
※地縛少年花子くん 11巻以外の巻数と組み合わせての
ビッグアクリルキーホルダーセットでの販売は出来かねます。予めご了承ください。
※商品は無くなり次第販売終了となります。ご予約はお受けしておりません。
※アニメイト通販でのご購入はオンリーショップ特典付与の対象外となります。

イベント商品

トレーディング缶バッジ(ねずみ）（全6種）※ランダム商品

1パック：440円(税込)、1BOX(12パック入)：5,280円(税込)

トレーディングアクリルスタンドキーホルダー（ねずみ）（全6種）※ランダム商品

1パック：825円(税込)、1BOX(12パック入)：9,900円(税込)

ブランケット（ねずみ）

3,080円(税込)

花子くんマスコット（ぬいぐるみ）

1,760円(税込)

ペアアクリルスタンド花子くん＆寧々（マリン）

1,650円(税込)

ペアアクリルスタンド寧々&光（マリン）

1,650円(税込)

ペアアクリルスタンド花子くん＆光（マリン）

1,650円(税込)

通常商品

トレーディング缶バッジ(マリン)（全11種）※ランダム商品

1パック：440円(税込)、1BOX(11パック入)：4,840円(税込)

トレーディングアクリルスタンドキーホルダー(マリン)（全11種）※ランダム商品

1パック：825円(税込)、1BOX(11パック入)：9,075円(税込)

トレーディングポストカード2枚セット（マリン）（全10種）※ランダム商品

1セット：330円(税込)、1BOX(40セット入)：13,200円(税込)

クリアファイル花子くん＆寧々(マリン)

440円(税込)

クリアファイル集合(マリン)

440円(税込)

ポーチ(マリン)

990円(税込)

『地縛少年花子くん』かもめ学園学期末フェア

アニメイトでは、2月28日～3月15日まで「地縛少年花子くん　かもめ学園学期末フェア」が開催！　関連商品をご購入・ご予約1,000円ごとに特典【キャラカード（８種類)】をランダムで1枚プレゼント。絵柄はメインキャラクターの花子くん、八尋寧々、源光に加え、さらには怪異の”もっけ”も登場します。

また、2月28日頃発売予定の「レモンキャンディ～もっけには不人気～」や「描き下ろし商品」もフェア対象商品となりますので、キャラカードと合わせてこの機会にぜひゲットしてください。

地縛少年花子くん　かもめ学園学期末フェア

開催期間：2月28日～3月15日
開催場所：全国アニメイト
内容：『地縛少年花子くん』関連の書籍・グッズをご購入・ご予約1,000円ごとに1枚、またはCD、DVD、Blu-rayをご購入・ご予約1,000円ごとに1枚プレゼント。
特典：キャラカード(全8種)

レモンキャンディ～もっけには不人気～

▲サンプル画像

発売日：2月28日頃　
価格：432円（税込）
発売元：㈱ムービック

クリアファイルセット　ホワイトデーver.

▲サンプル画像

発売日：2月28日頃
価格：880円（税込）
発売元：㈱コンテンツシード

デカキーホルダー　花子くん　ホワイトデーver.

▲サンプル画像

発売日：2月28日頃
価格：1,210円（税込）
発売元：㈱コンテンツシード

※特典は無くなり次第終了となります。
※内容は諸般の事情により変更・延期・中止となる場合がございます。

アニメイト通販：フェアページ

TVアニメ『地縛少年花子くん』作品情報

放送情報

TBS:2020年1月09日(木)25:58～
SUN:2020年1月10日(金)24:30～
CBC:2020年1月15日(水)26:35～
BS-TBS:2020年1月11日(土)26:30～
※放送日時は予告なく変更となる場合がございます。予めご了承ください。

配信情報

AbemaTV:2020年1月10日6:00～
dアニメストア:2020年1月10日6:00～
U-NEXT:2020年1月10日6:00～

ニコニコ動画:2020年1月15日0:00～
ニコニコ生放送:2020年1月16日22:30～
FOD:2020年1月15日0:00～
Hulu:2020年1月15日0:00～
Netflix:2020年1月15日0:00～
バンダイチャンネル:2020年1月15日0:00～
Amazon プライムビデオ:2020年1月15日0:00～
楽天 TV:2020年1月15日0:00～
ビデオマーケット:2020年1月15日0:00～
GYAO!ストア:2020年1月15日0:00～
DMM.com:2020年1月15日0:00～
J:COM オンデマンド:2020年1月15日0:00～
ビデオパス:2020年1月15日0:00～
ひかり TV:2020年1月15日0:00～
TSUTAYA TV:2020年1月15日19:00頃

イントロダクション

ねえ、知ってる？　この学園にある七不思議の話……かもめ学園に伝わる一番有名な七不思議の噂。旧校舎3階女子トイレ3番目には花子さんがいて、呼び出した人の願いをなんでも叶えてくれるんだって。

呼び出し方は簡単、ノックを3回。それから――――

「花子さん、花子さん、いらっしゃいますか？」

「はーあーい……」

自分の願いを叶えてもらうため、花子さんを呼び出したオカルト少女の八尋寧々。しかし、彼女の前に現れたのは男の子の幽霊、“花子くん”だった。

おばけなのにドSでちょっとエッチな花子くんに振りまわされて様々な怪談に巻き込まれていく寧々。果たして寧々は無事に学園生活を送れるのか

誰も見たことのないハートフル便所コメディが今、始まる

スタッフ

原作:あいだいろ(掲載月刊「Gファンタジー」スクウェア・エニックス刊)
監督:安藤正臣
シリーズ構成・脚本:中西やすひろ
キャラクターデザイン・総作画監督:伊藤麻由加
助監督:仁昌寺義人
美術監督:栗林大貴(KUSANAGI)
美術設定:須江信人
色彩設計:多田早希
色彩設計補佐:南木由実
撮影監督:酒井淳子(MAD BOX)
プロップデザイン:本多弘幸
2D デザイン:小島寛之
怪異デザイン:岩畑剛一
編集:伊藤利恵
音響監督:飯田里樹
音響制作:HALF H・P STUDIO
録音調整:天野龍洋
音響効果:宅間麻姫
音楽:高木洋
音楽制作:ポニーキャニオン
オープニングテーマ:地縛少年バンド(生田鷹司×オーイシマサヨシ×ZiNG)「No.7」
エンディングテーマ:鬼頭明里「Tiny Light」
アニメーションプロデューサー:比嘉勇二
アニメーション制作:Lerche
製作:「地縛少年花子くん」製作委員会