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劇場版「Fate/stay night [HF]」第三章 杉山紀彰インタビュー【連載第1回】

劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」Ⅲ.spring song 杉山紀彰さんインタビュー|3部作はTVシリーズ6クール分を演じ終えた時のような感覚!?【連載第1回】

士郎を象徴する、あの名台詞の裏話も

――[HF]における士郎と桜の関係性については、どのように感じられましたか?

杉山:他のルートでは桜がそれほどフォーカスされないので、今まで士郎にとっての桜は、慎二の妹でかわいい後輩、だけどどこか影のようなものが仄めかされているくらいの状態だったと思うんです。

そこから桜の生い立ちや境遇を、士郎が深く理解できたからこその[HF]の展開なのかなと感じましたね。

――第三章ではイリヤの存在も重要になってきますが、劇場版[HF]でのイリヤついてはどのような印象を受けましたか?

杉山:イリヤは他のルートや『Zero』でも、物語のカギを握る存在として登場してはいるのですが、彼女がどういう境遇におかれていて、士郎や切嗣に対してどういった感情を抱いていたのかは、あまり描かれてこなかったんですよね。

第二章でも切嗣という存在を思い出し、物思いに耽っているような場面があったと思うのですが、第三章では、その状況からイリヤがどういう決断を下すのかも物語の肝になっていて、『Zero』や[UBW]での出来事も強く影響しています。

イリヤの心境の変化も理解できるようになりますから、是非とも『Zero』や[UBW]も見ていただきたいですね。

――他のルートと異なる立ち位置になっている、ライダーについてはいかがでしょうか?

杉山:ライダーは他のルートではちょっと幸が薄いというか、あっさりと退場してしまうことが多かったのですが、特に劇場版[HF]の第二章を見ていると、マスターの力量が影響していたんだなと……(笑)。

杉山:第一章の慎二の「やれ、ライダー!」からの、第二章でのあの強さですからね。ライダー自身が弱かったわけではなく、マスターの魔力供給がどれほど重要なのかがよく分かりました(笑)。

ネタバレになってしまうので詳しく話せないのですが、第三章でも素晴らしい活躍が描かれていて、もしライダーがいなければ、この劇場版[HF]の物語にはならなかっただろうなと感じましたね。

ライダーについては、桜との関係性も深く描かれていて、単なるサーヴァントとマスターという間柄ではないんですよね。作中でも、桜の命令に背くような行動をとることもあるのですが、それは桜に対して抱いている様々な感情が影響していて。そうしたライダーの姿を見られるのも、[HF]ルートならではだなと思いました。

――『Fate/stay night』にはいろいろな名シーンや台詞がありますが、杉山さんの中で特に印象に残っているのはありますか?

杉山:本当にたくさんあるので1つを選ぶのは難しいのですが、やっぱり強く印象に残っているのは、最初にセイバーと出会う土蔵のシーンでしょうか。以前、川澄さんとお話した時に、「問おう、貴方が私のマスターか」というセリフを何回くらい言ったのか、もう数え切れないという話になって(笑)。

本編で言ってるのは1回だけなんですが、CMなどの派生物を含めるとものすごいバリエーションがありますからね。今回のなか卯さんとのコラボでの「貴方がなか卯のマスターか」というのも、すごくシリアスなトーンで演じられているのが面白くて(笑)。これが許される時代が来たんだなと思いました。

――それだけ、『Fate』シリーズの存在が、世の中に浸透してきたということかもしれませんね。

杉山:その話で逆に面白いのが、士郎を象徴する台詞の一つに「なんでさ。」というものがあるのですが、実はこれも本編ではほぼ言っていないんですよね。だからしばらくは、ファンの方から言われても「そんなにたくさん言ってたっけ……?」という感じでピンと来てなくて(笑)。後に理由もわかりましたが(笑)。

――個人的には、士郎といえば[UBW]での「武器の貯蔵は十分か」の台詞も印象深いのですが、作品によって結構演じ方が変わっていましたよね。あれはディレクションの違いがあったのでしょうか?

杉山:あのシーンはおっしゃる通り、作品によってディレクションが違っていました。ゲームでは声を抑え気味に、最初の劇場版では声を張った感じの演技を求められた記憶があります。

というのも、元々がノベルゲームなので、同じ台詞でもプレイヤーの方によって感じ方が違っていて、あそこはクールにいうべきなのか熱く言うべきなのか、いろいろなせめぎ合いもあったんじゃないかなと(笑)。

――自分はゲームをプレイした時は、クールな雰囲気をイメージしていたのですが、最初の[UBW]の劇場版での熱い感じも、スピード感に溢れた作品にハマっていると感じました。

杉山:そうした尺とかの制約が影響して、こちらの方が作品に合うという判断でディレクションがされることもありますし、実はそういうシーンって他にも結構あるんです。一見同じようなシーンでも、媒体やルートによって微妙に演じ方のニュアンスが変わっていたりするので、細かい違いを探していただくのも面白いのかなと思います。

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