劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」Ⅲ.spring song 杉山紀彰さん&川澄綾子さんインタビュー|士郎とセイバーの出会いは、まさに「運命」だった【連載第2回】
15周年を振り返って
――今年の1月からは、『Fate/stay night』の発売から15周年を記念した展覧会である「TYPE-MOON展」も開催されていますが、川澄さんは記者発表にも出演されていましたよね。
川澄:記者発表やテープカットもさせて頂きましたし、展示も拝見させていただきました。まさにTYPE-MOONさんの歴史がすべて詰まった場所になっていて、この15年という月日は私達の体感ではあっという間だったのですが、あれだけいろいろな歴史が積み重なっているのを見ると、長い時間が経ったんだと改めて感じました。
あとは何よりも、奈須さんと武内さんが高校生の頃に考えたものが形となって、今も続いているというのが本当に素晴らしいことだなと思いました。第三章が公開されてからも、展示期間が続いているはずなので、是非開催期間中に、あの空間を体験していただきたいです。
「TYPE-MOON展 Fate/stay night -15年の軌跡- 」内覧会& #川澄綾子 さんら声優陣登壇のテープカットイベントをレポート|『月姫』からTYPE-MOONの歩みを辿る何もかもが見逃せない空間!#植田佳奈 #下屋則子 #Fate15th https://t.co/aJns92vghP
— アニメイトタイムズ公式 (@animatetimes) December 20, 2019
――15年という月日を振り返って、ご自身の変化を感じる部分はありますか?
杉山:派生作品を含めていろいろな作品で士郎を演じさせていただいてきたことで、演技に迷いがなくなってきていることでしょうか。
例えば同じビックリするシーンでも、本編での驚きと、『カーニバル・ファンタズム』のような派生作品ではニュアンスも違ってくるのですが、その作品世界内で、どこまでが衛宮士郎として許されるのかが、直感的に分かるようになってきていて。やっぱりそれは、自分の中での衛宮士郎像の情報量が増えてきた結果なのかなと思っています。
川澄:私はこの15年の間、どれだけの数のセイバーを演じてきたんだろうと(笑)。『FGO』が始まる前からもいろいろなバリエーションがいて、「あんなに役があると混乱しないか」とよく聞かれるのですが、実は私はまったく混乱したことがないんです。
『FGO』の収録だと、126役を一気に録らないといけないこともあるのですが、皆が知っている青いドレスを着たあのセイバーがいてくれるから、どんなに派生が増えて変なことをやったとしても、まったく自分の中ではブレがなくて。どんな役をやったあとでも、すぐにオリジナルのセイバーに戻ることができるんです。
それは私だけじゃなく、いろいろなクリエイターやファンの皆さんが一緒に作り上げた、セイバーというキャラクターの共通認識が確固たるものとして確立されているからなんだなと、とくに最近感じるようになりました。
――あくまでも、「セイバーを演じる」という根底の部分は変わっていないと。
川澄:そうですね。いろいろなセイバーに関して、自分の中で声を変えているという意識は一切なくて、台詞回しであるとかテンションであるとかの部分で差別化しているんです。
例えばセイバーも怒りが込み上げれば声が低くなりますよね。そのそれぞれの声の違いというものは、「もしセイバーがこういう感情を抱いたり、違った側面を見せたらどうなるか」というアプローチの結果なんです。だから、違う役を演じているつもりはまったくないです。
――この『Fate』シリーズとの15年を振り返って、印象的な出来事を教えていただけますでしょうか?
川澄: 1つ挙げるとするなら劇場版[HF]の第一章の時のレッドカーペット(ワールドプレミア)ですね。セイバーを演じているからか、ルートによってヒロイン達に対する感情が変わるのですが、[UBW]の時はとにかく凛が可愛くてたまらなくて。そして劇場版[HF]第一章の時は桜を守る騎士のような気分になっていたんです(笑)。
あの時は、則ちゃんがすごく幸せそうにレッドカーペットの上を歩いていて、その後ろを歩きながら、私自身も幸せな気分になったことを覚えています。
収録の思い出も沢山あるのですが、全体的な印象としては、いつも杉山さんが叫んでいて大変そう、ということです(笑)
杉山:この前劇場版[HF]のリテイクの時に川澄さんと一緒だったのですが、冒頭からからものすごく叫ぶシーンだったんです。しかもシーン自体が短かったので、テストで一回叫んだ後、すぐ本番でまた叫ぶという流れだったので、声が枯れないか心配して下さったのを覚えています(笑)。
川澄:実はその事は今までも何度か思っていました。[UBW]でキャスターと戦うシーンなどがそうだったのですが、士郎は全体的に叫ぶシーンが多いので、隣で見ていて喉大丈夫かなと心配になることが多くて。劇場版[HF]の時は、私のリテイク部分がすごく短かったのもあって、杉山さん大変だな、流石だなと収録している背中を見ていたのを覚えています。
――(笑)。では最後に、公開を待っているファンの皆さんに向けて、メッセージをお願いします。
杉山:本当に見どころだらけの作品で、桜と士郎の関係性だけではなく、凛やイリヤ、綺礼といった、2人を取り巻くキャラクター達についてもすごく丁寧に描かれています。何気ないしぐさや会話にも、しっかり意図が盛り込まれていて、気づける部分がたくさんあると思うので、そうした細かいポイントにも注目していただければと思います。
僕も純粋に1人の視聴者として毎回あのクオリティには驚かされていて。第一章の公開以降、どんどん上がりつつある期待をさらに越えてくる出来になると僕は信じていますので、是非とも皆さんも、ufotableのクリエイターの方々の魂が炸裂した映像を見届けていただければと思います。
川澄:今思うのは、[HF]はセイバーを筆頭に、いろいろなキャラクターにとっても辛い物語なんだなと。そして第二章の士郎の選択が第三章でどういった結果を呼ぶことになるのか、是非ともご覧になっていただきたいです。
また『Fate/stay night』という作品の、最後でなければたどり着くことができない物語が[HF]でもあるので、15周年という節目を迎えたこの時期に皆様に見ていただけるのは、とても意味のあることだと改めて感じました。劇場版[HF]は、今後もまだまだ広がっていくであろう『Fate』シリーズの歴史の中でも大きな意味を持つ作品になると思っています。春に皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
――ありがとうございました。
[取材・文/米澤崇史]
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劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」III.spring song 作品情報
2020年8月15日(土)公開
イントロダクション
手にした者の願いを叶えるという万能の願望機「聖杯」をめぐる物語を描いた、ヴィジュアルノベルゲーム『Fate/stay night』。劇場版アニメ三部作として紡がれる最終ルート[Heaven’s Feel](通称・桜ルート)が、ついに完結する。
アニメーション制作を担当するのは、2014年にTVアニメ版[Unlimited Blade Works]を手掛けたufotable。キャラクターデザイン・作画監督として数々のTYPE-MOON作品のアニメ化を手掛けてきた須藤友徳が第一章、第二章に続いて監督を務める。
2019年に公開された第二章[lost butterfly]は109万人を動員、興行収入は16.7億円を記録。2017年に公開された第一章[presage flower]を上回る成績を収めた。
第三章は「聖杯戦争」の真実と、少年と少女の物語の結末が語られるエピソード。全三章で贈る[Heaven's feel]がたどり着く場所とは──第三章[spring song]は咲き誇り、奏でられる。
ストーリー
「俺は、桜にとっての正義の味方になるって決めたから」
少年は、真実からもう目を逸らさない。少女を救うために。自分の選んだ正義を貫くために。
魔術師〈マスター〉と英霊〈サーヴァント〉が万能の願望機「聖杯」をめぐり戦う――「聖杯戦争」。その戦いは歪んでいた。
ひとりの少女――間桐 桜は犯した罪と共に、昏い闇に溺れてしまった。桜を守ると誓った少年・衛宮士郎は遠坂 凛と共闘し、「聖杯戦争」を終わらせるため、過酷な戦いに身を投じる。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは闘争の真実を知る者として、その運命と向き合い、間桐臓硯は桜を利用して己が悲願を叶えようとする。
「だから──歯をくいしばれ、桜」
激しい風に抗い、運命に挑む少年の願いは、少女に届くのか。終局を迎える「聖杯戦争」──。最後の戦いが、遂に幕を上げる。
メインスタッフ
原作:奈須きのこ/TYPE-MOON
キャラクター原案:武内崇
監督:須藤友徳
キャラクターデザイン:須藤友徳・碇谷敦・田畑壽之
脚本:桧山彬(ufotable)
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:松岡美佳
編集:神野学
音楽:梶浦由記
制作プロデューサー:近藤光
アニメーション制作:ufotable
配給:アニプレックス
メインキャスト
衛宮士郎:杉山紀彰
間桐 桜:下屋則子
セイバーオルタ:川澄綾子
遠坂 凛:植田佳奈
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン:門脇舞以
藤村大河:伊藤美紀
言峰綺礼:中田譲治
間桐臓硯:津嘉山正種
ライダー:浅川悠
真アサシン:稲田徹