劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」Ⅲ.spring song 杉山紀彰さん&川澄綾子さんインタビュー|士郎とセイバーの出会いは、まさに「運命」だった【連載第2回】
2020年8月15日より全国で公開される劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」Ⅲ.spring song(以下、劇場版[HF])。『Fate/stay night』の最終ルート[Heaven's Feel](以下、[HF])を劇場3部作での映像化となる本作も、いよいよ完結編となる第三章の公開が間近に迫りつつあります。
今回アニメイトタイムズでは、その劇場版[HF]第三章に出演するメインキャスト陣に、全5回に渡るインタビューを実施。連載2回目となる今回は、杉山紀彰さん(衛宮士郎役)、川澄綾子さん(セイバーオルタ役)の対談の模様をお届けしていきます。
士郎とセイバーといえば、『Fate』シリーズでも屈指の人気コンビのひとつ。杉山さんと川澄さんによると、二人の出会いは「運命」だと語ります。
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劇場版[HF]の発表から、現在に至るまでの心境
――杉山さんには前回のインタビューでお聞きしましたが、川澄さんとしては公開が近づきつつある現在の心境はいかがでしょうか?
川澄綾子さん(以下、川澄):収録は既に終わっているのですが、今もスタッフの皆さんが寝る間を惜しんで作品を作ってくださっています。第一章、第二章の時もそうだったのですが、完成した映像をある程度想像しながら収録をしても、実際に映画として完成したものは、想像を遥かに超えてきました。
やはり映像作品って、映像と音楽、芝居やSEと、あらゆるものが合わさる総合芸術だと思うので、見てみないと分からない部分が大きいですし、特にFateは常に観る者の期待を超えてきます。公開を待っていてくださっている皆さんと同じで、早く完成した映像を見たいという一心です。
――劇場版[HF]が始まってから、映画の公開までにはいろいろなことがあったと思うのですが、第三章のアフレコが始まった時にはどんな感情を抱かれましたか? ある種の安心感のようなものもあったのかなと。
杉山紀彰さん(以下、杉山):物語が佳境になって、視聴者の方からの期待値も大きくなっていると思いますし、それに答えようと全力で頑張ってくれているufotableの方々が体調を崩されないといいなと心配をしておりましたが、皆さんこれまでの『Fate』シリーズの映像化を乗り越えて来られた強者たちですから。作品ついては、必ず我々の想像を越えたものを作ってくださるだろうと信じていましたし、それに応えるためにも僕らも頑張らねばという思いでした。
川澄:第一章の時から「第三章は桜が咲く季節に公開したい」という話は、制作陣の間でも一種の合言葉のようになっていました。第三章が動き出した時、本当にそこを目指しているのだということが分かりましたし、公開日を聞いた時には、容易いことではないにも関わらず、なんとしても桜の季節と共に[HF]の物語を描ききるんだというクリエイターの皆さんの意気込みを感じました。私達としては、必死にその想いについて行こうという気持ちでした。
――劇場版[HF]の公開が始まってからの3年間、これまでの『Fate』シリーズとの関わり方と意識が変わった部分はありましたか?
杉山:僕は他のルートから違うアプローチをしようという意識はあまりなかったです。ゲームでも共通ルートを経てから内容が変わっていくという形式でしたし、基本となる衛宮士郎の人間像と、最初に置かれている環境がベースになると考えていました。なので、今まで士郎を演じてきたまま、全力でやろうと。
劇場版[HF]の前には[UBW]もありましたし、それ以外の時期もスピンオフやいろいろなゲームに士郎として時々出演させていただいていましたから、間が空きすぎたり、気負いすぎることもなく、すんなりと役に入れましたね。
川澄:私の場合はそもそも役名からして変わっているので、今までのルートとは心境的には結構違いました。『Fate』シリーズの世界観には正義や悪という区分けがあるわけではないのですが、士郎のサーヴァントだった[Fate]や[UBW]のルートでは、どちらかというと善寄りの立場だったんじゃないかと思うんです。それが今回は、倒されるべき敵なのかなということを、第二章の時に私自身も感じるようになって。
これまでのエクスカリバーは金色に輝いていたのですが、第二章からは禍々しい色に変化してしまっていたりと、見た目の変化も大きいので、セイバー役としては[HF]は他のルートと別物という意識がありました。
――収録が終わった瞬間というのはいかがでしたか?
杉山:やりきったという思いもなくはないのですが、この取材時点ではまだ尺が変わったりして、録り直しをする可能性も残っていて、自分の中ではまだ気が抜けないというのが今の正直な気持ちですね。すごく重要なシーンのリテイクもあるかもしれませんし、もうこれ以上音声は弄りませんという状態になるまでは、いつリテイクが来てもいいように心構えはしておこうかなと。
川澄:特に心に残ったのは、これまでのルートでもセイバーは最後にはいなくなるのですが、今回はその消え去り方が全然違っていて。収録している最中はそれほど思わなかったのですが、収録が終わった後で、このまま消えるのを受け入れたくないと思っている自分がいることに気づいたんです。
そのモヤモヤした気持ちのまま家に帰ったのですが、その時のモヤモヤはまだ今も続いていて……。これは完成した映像を見るまで終わらないだろうなと感じています。
――最初に[HF]の映画化の話を耳にした時のことは覚えておられますか?
杉山:出演者にファンの方々、本当に多くの人たちに映像化を望まれていたルートだと思うのですが、表現的なものであるとか物語の長さであるとか、いろいろなハードルがあって。ファンの皆さんやクリエイターの方々の熱意によって、そのハードルを乗り越えられたのだと思います、ゲームの発売から10年以上経って残った1つのルートを3部作で映像化するなんてことは普通ならまずないことですよね。
それだけ『Fate』シリーズが多くの方に愛されている作品だと再認識しましたし、あの熱量に答えようと考えた、ufotableのスタッフの方々の決意もすごいなと感じました。
川澄:2014年の「Fate PROJECT最新情報発表会」では、『FGO』や『Fate』シリーズのいろいろな展開の発表があったのですが、最後に劇場版[HF]のPVと共に映画化が発表された時の会場の歓声は今でも鮮明に覚えています。
キャストの間では、最初の[Fate]ルートの時から「いつか[HF]もやれたらいいね」と話していたくらいだったので、それが長い年月を経て、『Fate』シリーズが新しい展開を見せようとしているその最中に、ファンの皆さんに一際大きな喜びと共に迎えられたというのは、すごく印象的な光景でした。