劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」 Ⅲ.spring song 植田佳奈さん&諏訪部順一さんインタビュー|第三章の凛は魔術師として桜と対峙する!?【連載第3回・前編】
アーチャーが持っている士郎への感情
――それではここから[HF]ルートでのおふたりのキャラクターについても聞かせてください。アーチャーは[Unlimited Blade Works]ルートで殺すことが目的とまで言っていた衛宮士郎(CV:杉山紀彰)を、今回は自分の腕を託してまで助けていますよね。
諏訪部:とはいえ基本的に、ルートが異なるからといって彼を演じる上での意識を変えていることはありません。物語の展開が異なるだけで、アーチャーの本質的な部分に変化があるわけではないと思っているので。演出サイドからも、そういった差異についてオーダーが入ったことはありません。
植田:第二章で士郎が間桐桜(CV:下屋則子)を守ると誓った「レイン」のシーンがあるじゃないですか、私が側で見ていて印象に残ったのはその帰りの場面です。
私たちのコンビと士郎と桜がすれ違う場面。あそこで言葉は全然交わさないんだけど、アーチャーの中では何となく士郎が自分と違う道を歩き出したことを見届けたというか。そこでひとつ区切りがついているのかなって思いました。
諏訪部:確かにそこで物語が分岐している感覚はありましたね。
――凛についてはいかがでしょうか?
植田:前回が[UBW]ルートだったこともありますが、今回は士郎に向けている目線がすごく少ないんです。[Fate]ルートでは士郎とセイバーを同じ目線で見ていた感じですが、なんだかんだこれまでのルートでは士郎を見ていました。
でも今回はその視線が常に桜に向けられていて、士郎に向くことは少ないんです。士郎を見ながらその後ろにいる桜のことを常に考えているので、その目線の先が今までのストーリーと全然違う部分だなと思っています。
――そんな桜と凛が姉妹という事実も第二章で明らかになりましたが、第三章での掛け合いの収録はどのように進みましたか?
植田:第二章の時に桜が凛に負けずに向かってくるようになるんです。あの瞬間は今でも覚えていて、第三章ではそれがますます強くなるというか。桜は今まで凛を見上げるような一歩引いた目線で見ていたのですが、第二章で真っ直ぐな目線になる。そして第三章では上から下を見下ろすようになってきます。
その差が結構面白いなと感じてはいるのですが、凛としては元々負ける気はないしキチンと対策を立て明らかに常軌を逸している桜と対峙していくことになる。それこそ凛の魔術師としての冷たさが前面に出てくるんです。
諏訪部:そうなんだ!!
植田:実はそうなんですよ(笑)。めちゃくちゃカッコいいんで、見ていてください!