劇場版「Fate/stay night[Heaven’s Feel]」III.spring song 下屋則子さん&浅川悠さんインタビュー|二人は[HF]をきっかけに友達に!?【連載第4回前編】
桜の心境にどんどん近づいていった
――[Fate]ルートに関する話も出てきましたが、当時の収録順としては、最初のアニメ版をやったあと、ゲームという流れだったのでしょうか?
浅川:そうですね。[Fate]ルートのTVシリーズの時が最初で。あの時は本当になんにも分からないままやっていたので、なんかすごく人気がある作品だと人づてに聞いて、「やったー!」って言って出てたことを覚えてます(笑)。
――その後にゲームでもライダーを演じられて、ライダーや桜の裏の設定を知った時の驚きはあったりしましたか?
浅川:それはありましたね。ありましたけど、(ゲームでも)何がどうなっているのかは、当時は正直全然分かってなかったです。というのも、ゲームって自分の台詞しか録らないので……収録の時は、喜怒哀楽が激しくないライダーのキャラクターに助けられた部分もあります(笑)。
――ああー、確かに……。[HF]でも、士郎や桜と違って、ライダーは出ずっぱりではありませんからね。
浅川:ただ、それでもこんな(物語が)深いのかって驚きはありました。最初のアニメの時は、すぐに退場してしまったので、こんな入り組んだ話があるとは思っていませんでしたし、これだけ中身の濃い作品に出ているのが私なんだ、このアニメに出ていたんだっていう嬉しさを後になってから感じましたね。あとはやっぱり、これ([HF]ルート)をいつかアニメでやりたいなと(笑)。
――下屋さんも、そういった驚きみたいなのはありましたか?
下屋:そうですね、最初のアニメの時にも資料を頂いたんですけど、当時はしっかりと理解するのが難しくて。[Fate]ルートは、桜も本格的に聖杯戦争に関わる役ではなかったので、聖杯周りの設定についてはそこまで深く知らなくても演じること自体はできたのですが……。
一応その時から桜っていう役は、本当は[HF]というルートでこういうことになって……という話は聞いていたと思うんですけど、実際にゲームの収録をしてみると「この子の人生、壮絶すぎない……?」っていう驚きと、桜が感じている苦しさが伝わってきて。ゲームってずっと自分のセリフだけを喋り続けるので、私自身も「なんで私がこんな目に……」みたいな気持ちになってくるんです(笑)。
――桜の心境にどんどん近づいていったわけですね。
下屋:そうですね。凄くセリフ量が多かったというのもありますけど、[HF]で受けた衝撃は大きかったです。だからこそ、[HF]って中々映像化は難しいという話は周りから聞いてましたし、私自身もそれは理解していました。
Fate Project発表会の時も、[UBW]か[HF]のどちらかの発表らしいよっていうのは噂で聞いていて。内心では「[UBW]の方が可能性は高そうだけど、[HF]もやれるといいなぁ」なんて思っていたんですけど、いただいた台本みたら、[UBW]の発表が書かれていて、ああ、やっぱりそっちなんだって。
浅川:「またあいつらか!」みたいな(笑)。
一同:(爆笑)。
――[UBW]は、劇場版に続いて2回目の映像化でしたからね(笑)。
下屋:けどその後に、最後にサプライズで[HF]を発表するっていうのを、台本を最後まで読んで初めて知って。あの発表は私にとってもサプライズみたいな感じでしたね。
――劇場版だと、士郎や他のキャラクターとの掛け合いもあったと思いますが、ゲームよりもポジティブに収録できたという感覚はあったのでしょうか。
下屋:誰かがいたからというよりは、須藤監督の描き方の方が大きいかなと感じています。ネタバレになるので詳しくは言えないのですが、ゲームよりもう少し救いのある描き方をされている気がしていて。
これは当時ゲームの収録をした時より、私自身の桜に対する理解が深まっているのも影響していると思うのですが、「なんで私だけがこんな目に」的な台詞に関しても、どういう気持ちで言っているのか、なんでここの場所に現れたのかなっていう、桜の裏の心情がより伝わりやすくなる描き方をして下さっていると感じました。やっぱり、須藤監督の愛なんでしょうね(笑)。