「庶民でいいや」と語る、羨ましくない異世界転生とは？　春アニメ『八男って、それはないでしょう！』榎木淳弥＆下野紘インタビュー

このヒロインたちはほんとうにヴェルが好きなのか？

――ヴェル・エル・イーナ・ルイーゼらパーティーとしての関係性についてはいかがでしょう。後にヴェルとエルは、形式上は主君と家臣の関係になるわけですが。

榎木：ヴェルとエルは、同性同士だからこその絆を感じますね。仲間をひとり連れて行くとき、ヴェルが真っ先にエルの背中を押す姿とか。エルに対しては、家臣という関係を超えた友達のような感覚を持っているのだと思います。

下野：たしかにそうだね。エルに関しても主だからとか、偉いからといった振る舞いもないし。なんなら主のはずのヴェルをめっちゃいじりますからね（笑）。

榎木：そんなヴェルはエルに呆れていたり、バランスがいいですね（笑）。

下野：そうだね。そういう意味では、イーナ、ルイーゼを含めていいチームになっていると思います。

――なるほど。では女性陣の印象についてもお聞かせください。

下野：ルイーゼは元気だよね。

榎木：女版エルみたいな（笑）。

下野：エルはそこまでうるさくないよ！（笑）

榎木：一番騒がしいのは間違いないですね。

下野：僕はそもそも、ルイーゼが女の子だということを知らなくて……。

榎木：ちょっと男の子っぽいですよね。戦い方も格闘系ですし。

下野：結婚を聞いたときは驚きましたね。ここで女の子だと知ったのですが（笑）。あとファッションセンスもうるさい、というよりすごい（笑）。

榎木：よく服を変えたりしますよね。ほかにもダンスをしたりと、色々な面白さを兼ね備えた良いキャラクターです。視聴者の方も好きになってくれるのではないかと思います。

▲ルイーゼ：ブライヒレーダー辺境伯家で拳法師範を務める陪臣家の三女。青髪ショートカットの明るく活発な少女。冒険者予備校ではイーナと組む。魔力を用いた身体強化で戦う格闘術である『魔闘流』を得意とする。

――お話だけ聞いているとなかなかに濃ゆいですね（笑）。イーナはどうですか？

下野：イーナは男っぽいといいますか……。

榎木：男勝りなところがありますよね！

下野：そうそう！　ただ、ルイーゼに比べると圧倒的に女の子ですね。

榎木：近しいところもありつつ、ルイーゼよりはおしとやかだったりしますね。

下野：ルイーゼは自分の地位獲得のために欲望丸出しだったりしますが、イーナに関してはヴェルになにか惹かれるところがありそうな一面も個人的には見える気がします。

▲イーナ：ブライヒレーダー辺境伯家の槍術指南役を務める陪臣家の三女。赤髪ポニーテールの真面目な少女。冒険者予備校では幼なじみのルイーゼとともに、ヴェンデリンとパーティを組む。

榎木：なるほど。

下野：そういった描写があるわけではないけど、どこか匂わせている気がしていて。

榎木：そう言われてみると、女性キャラクターからの明確なアプローチはあまりないですよね。「この女の子たちは、ヴェルのことを本当に好きなのかな？」と演じていて思ってしまいます（笑）。

下野：いやでも、直接的なアプローチをしないからこそのね！

榎木：段々と好感度は上がっていると思います。あと個人的には、結婚することにメリットがある世界観なので、そういった現実的な目線の描写も面白いポイントだと思います。ただ、最初はヴェルの地位目当ての婚約ですが、段々とお互いのいいところを知っていく。その過程もいいですね。

下野：色々なラブコメ作品がありますが、直接的な言葉でのアプローチというよりも少しずつ関係を育んでいく。そんな様子がいいなと感じます。直接的過ぎない奥ゆかしさがありますね。

榎木：そうですね。ラッキースケベ的な描写もないですし、基本的に健全なので。

下野：というより、露出面で見ると女性より男性のほうが露出しているよね（笑）。

榎木：筋肉をやたら誇示するおっさんとか（笑）。

――たしかに、三村さんや小松さんもおっしゃっていましたが、男性陣はかなり多いですよね。

下野：ずっとラブコールを贈り続ける槍術大車輪の人とか……たしかに男多い！　女性キャラクターもいるのに、そう感じるのは何故だろう……（笑）。

榎木：登場するキャラクターはどちらかというと男のほうが多い気がしますね。女性はメインヒロインを除くと毎話2、3人くらいでしたね。

下野：そうだね、男ばっかりだ……（笑）。なんなら兄弟以外は大体おじさんだもんね。

榎木：言われてみれば（笑）。お城の偉い人とかもですね。

下野：全員おじさん（笑）。

――おじさんだらけということですが、そんな中でも気に入っているキャラクターはいますか？

榎木：僕はブランタークが好きです。

下野：お、そっちにいったか！

榎木：はい（笑）。ヴェルを導いてくれる第二の師匠であり、保護者のような側面を持ったキャラクターです。個人的には何よりも、演じる屋良有作さんの声がすばらしくて！　あのすごく落ち着く声が、どこか師匠というポジションとリンクしているように感じました。

屋良さんは現場ではすごく穏やかな方なのですが、いてくださるだけで身も引き締まると言いますか。現場自体をすごくいい雰囲気にしてくださいます。

▲ブランターク：アルフレッドの師匠であり元冒険者の、ブライヒレーダー辺境伯家筆頭魔法使い

――下野さんはいかがですか？

下野：悩みますがアームストロングでしょうか。彼、結構特別視されているんです。

▲アームストロング：王国最強の武闘派王宮筆頭魔導師

榎木：めちゃくちゃ尺を取ってますもんね（笑）。

下野：そうだよね（笑）。あそこ、原作にないよね？

榎木：たしかなかったと思います、描写自体はあったかもしれませんが……（笑）。

下野：彼はスタッフから愛されています、そんな気がします。

榎木：丁寧に描かれていますよね。やけに気合が入っている（笑）。

下野：妙にね（笑）。

榎木：下野さんが収録のとき、「そんなに尺いる!?」と叫んでいましたからね（笑）。

下野：はっきりと言ったね（笑）。それがどこのシーンなのかは……。

榎木：放送してからのお楽しみですね。

下野：あえて伏せさせてもらいます（笑）。

榎木：観てもらえればわかります。

下野：視聴者のみなさんも「そんな尺いる!?」とツッコミたくなりますよ！「（その尺を）女の子に使ってよ!!」ってね（笑）。