春アニメ『BNA ビー・エヌ・エー』吉成曜監督＆脚本・中島かずきさんインタビュー｜獣人モノにすることによって可能となる思考実験

初タッグとなった今作、それぞれの印象は？

ーーおふたりが、ガッツリタッグを組むのは初めてだと思いますが、お互いの印象はどんなものでしょう？

中島：もちろん『天元突破グレンラガン』のときに、打ち合わせとかアイディア出しを一緒にしていたことはあったけど、監督とシリーズ構成としては初めてだったんです。それでやっぱり話していると、みちるを書くんだ！というのが、意志として強くあるんですよね。

僕らは中年を過ぎた男たちなので、それって意識的にやらないとダメなんです。僕がともすれば薄くなりがちなところを、本当に「みちるが足りない、みちるが足りない」と厳しく言ってくれる。真ん中にいるのはみちるなんだというのをご本人も意識されているんだなというのは感じました。

それはどういうことなんだろうという探り合い、ぶつかり合いはありましたけど、それでもこの作品ではそれを書くんだ！という強い思いは感じましたね。

吉成：中島さんはずっと今石（洋之）さんとやっていたので、自分の世界を作れる方で、こういう形で関わってくれるというのはやはり珍しいというか、やりづらいだろうなとは思ったんです。

こちらとしては中島さんの仕事の早さというのをいつも見て知っていたので、今回も中島さんならさらっとやってくれるだろうと思っていたとは言え、こちらも好き勝手言ってしまって本当に申し訳なかったなという気がしています（苦笑）。それでも、必ず答えを用意してくれるので、そこは本当に感謝でした。

中島：いやいや（笑）。僕がいちばん気になっていたのは、自分の色が強くなりすぎないかなっていうことだったんです。自分が色の強い書き手なので、この企画を自分がスポイルしてはいけないなというのは常に考えていましたね。この人たちがやりたいこと、プロデューサーや吉成監督がやりたいことを僕が入ることで歪ませてはいけない、その気持ちはすごくありました。

ーー確かに、『プロメア』とか『天元突破グレンラガン』とはまったく違う印象を受けました。

中島：あれは今石色というものがあってですね！　あれだけが自分の色ではないですよというのはひと言言っておきたいです、書き手として（笑）。今石＆僕だったからああなるだけで、もちろん『ニンジャバットマン』みたいに水崎淳平＆僕でもそうなるんだけど、舞台もいろんな傾向のものをやっているので、決してあれだけではないんですよ（笑）。

ーー失礼しました（笑）。でも映像を少し見させていただいたとき、『リトルウィッチアカデミア』からの吉成監督らしさが出ていると思ったんです。

中島：そう！　じゃなければいけないと思うんです。これは吉成さんのアニメだし、女の子を主人公にしているわけですから、僕と今石さんが女の子を主人公にしても『キルラキル』が精一杯なんですよ（笑）。そこがまず違う。

でも打合せの席で、アニマシティにセーラー服の獣人の姉妹がやってくるのはダメですか？って言いましたけどね（笑）。もちろんダメですって言われましたけど。

吉成：50話くらいまであれば全然オッケーだったんですけどね（笑）。それじゃなくても結構切らなきゃいけないところが多くて、これを切っちゃうと話がつながらないのにという苦渋の選択もあったので。