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『ヒプノシスマイク』新シリーズ全曲レビュー:シブヤ・ディビジョン編

『ヒプノシスマイク』新シリーズ全曲レビュー:シブヤ・ディビジョン編|チーム存続の危機に自由奔放なメンバーはどう立ち向かう?

思考の迷路に迷い込む「蕚」

夢野幻太郎の「蕚」(うてな、と読む)ですが、正直に言うとこれはレビューに非常に困りました。どうしたものかと……。

トラックは爽やかで、どこか哀愁や郷愁を感じる佇まい。最初と最後のコーラスもきれいで、上質な小説を読んだかのような充実感があります。

しかし、頭を抱えたのは難解な歌詞です。おそらくこれを読んでくださっているみなさんも同じことを考えたかと思いますが、それぞれを詳しく調べていけば内容はなんとなく理解できるけれど、本質的に何を指して言っているのかがわからないのです。

夢野幻太郎のことなので、これもすべて嘘なのかもしれませんが、ところどころ見ていくと嘘とは思えない(思いたくない)箇所が散見されます。

例えば、「腕を引く薄紅色の風に舞う賽も踊り追う霞も晴れる」という部分は、薄紅色→ピンク→飴村乱数、賽→サイコロ→有栖川帝統、という意味でしょう。

といった具合に、匂わせが上手い夢野幻太郎なので、どこまで信じたら良いものなのか……。そう考えているだけで、すでに彼の術中にはまっているのかもしれませんね。この考えれば考えるほど深読みしてしまう、思考の迷路にハマっていく感覚も夢野幻太郎の魅力ではないでしょうか。

直喩と暗喩が入り交じるリリックを辞書を片手に調べてみるという作業もなかなかできない体験です。たっぷりと時間をかけて絡まった糸をほどいていき、自分の中で答えが見つかった瞬間に夢野幻太郎から言われるのです。「まあ、嘘ですけどね」と。そんな文学的な体験もまたいいではないですか。

▼作詞担当のbashoが手掛けた曲

▼作詞・作曲・編曲担当のESME MORIが手掛けた曲

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