【連載第1回・ランサーが死んだ!】『FGO』がもっと楽しくなる!?『Fate』シリーズに関連した様々な用語・ネタを解説!
「ランサーが死んだ!」とは?
最初に紹介するネタとなるのが、「ランサーは死んだ!」。その歴史は古く、TYPE-MOON10周年を記念して作られたOVA『カーニバル・ファンタズム』(2011年)において、ランサーが命を落とす際に士郎たちが発した台詞から。
『カーニバル・ファンタズム』におけるランサーの死亡率はとにかく凄まじく、第1話の黒ひげ危機一発紛いの扱いに始まり、セイバーライオンに食われる、レースに参加すればスタート直後のコーナーで一発コースアウトなど、多種多彩な死に様で1話に1度は必ずランサーが死ぬという展開が設けられていたほどでした。(もちろんギャグ的な演出として)かわいそうな扱いではあるのですが、それだけ高い頻度で登場しているということでもあり、ある意味では優遇されたキャラクターと言えます。
なお「ランサーが死んだ!」の後には、「この人でなし!」と続くのがお約束なのですが、これは強烈な社会風刺で知られるアメリカの人気コメディアニメ『サウスパーク』のパロディであると推測されます。
とくに『サウスパーク』の初期頃のシーズンでは、登場人物の1人であるケニーが理不尽に殺され、「ケニーが殺された!」「この人でなし!」という下りが、かなりの頻度で使われていました。(ランサーと比べると全体的にケニーの死に方はえげつないので、視聴する方はご注意を……)
このポジションにランサーが配置されたのは、作中のランサーがとにかく不幸であり、サーヴァントに設定された「幸運」のパラメータが「E」という非常に低い値に設定されていたためだと思われます。ランサーがどれだけ不幸だったのか、改めて振り返ってみると……。
・聖杯戦争が始まる前に、本来のマスターであるバゼット・フラガ・マクレミッツを失い、言峰綺礼にマスターが交代。
・その言峰からは、全てのサーヴァントと戦い、引き分けて帰還するという、戦士として不本意な命令を下される。
・必殺であるはずの宝具「刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)」の呪いがことごとく外れる。
・[UBW]ルートでは、命令を拒否したことからマスターである言峰から自害を命じられる。(ゲイ・ボルグの呪いはしっかりと自分には効いた)
・[HF]ルートでは、聖杯戦争序盤で無念の退場。
・生前は多くの女性たちと関係を持つプレイボーイ。だが、メイヴやスカサハを筆頭に彼の周りの女性たちはアクの強い面々ばかりで、最終的に自身が命を落とす要因にもなった。本人も「女運がない」と自嘲するほど。
と、実に不幸ネタに事欠きません。本人が気持ちのいい兄貴分気質なだけに、マスターである言峰との相性の悪さが如実に出てしまっている感があります。
またここでのランサーとは、当然ながら『Fate/stay night』でのランサーである「クー・フーリン」を指しているのですが、その後にアニメ化もされた前日譚『Fate/Zero』におけるランサー「ディルムッド・オディナ」も、マスターであるケイネス・エルメロイ・アーチボルトから信頼されず、最終的にはクー・フーリンと同じように自害を命じられるなど、負けず劣らずの不幸属性の持ち主。ディルムッドの幸運もEに設定されてたことも、このネタの定着に拍車をかけました。
この2人の存在で、すっかりランサー=不幸のイメージが確立された印象がありますが、他の『Fate』シリーズに目を向けると、エリザベート・バートリー(『Fate/EXTRA CCC』)、カルナ(『Fate/EXTRA CCC』、『Fate/Apocrypha』)、ヴラド3世(『Fate/EXTRA』、『Fate/Apocrypha』)、ブリュンヒルデ(『Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ』)、李書文(『Fate/Grand Order』)と、作中の扱いだったり逸話だったりと幸の薄い面々ばかり。幸運のパラメータも、ヴラドとカルナがD、ブリュンヒルデと李書文がEと、かなり低めに設定されています。
一応、エリちゃんの幸運はBと、サーヴァント全体の中でも結構高めなのですが、将来の姿とも言えるカーミラになるとDまでランクダウンしています。ランサー=不幸という共通認識は、『Fate』シリーズで共通して言えることなのかもしれません。
なお余談ながら、長らく最低値とされていた「幸運:E」ですが、『FGO』では「幸運E-」に設定されたラクシュミー・バーイーが登場したことで最低値を更新。これはラクシュミーに、不運と不幸の女神であるアラクシュミーが宿っているためです。その不幸属性っぷりは、もはや特殊能力とでも言うべき域に達しており、メインストーリー2部4章ではその体質を利用して窮地を脱出するというシーンも描かれていました。
すっかりTYPE-MOONファンの間でネタとして定着した「ランサーが死んだ!」。ランサーといえば、『Fate』シリーズの中でも屈指の人気を誇る男性サーヴァントであり、そのランサーへの愛があればこそ生まれたネタではあるのですが、こうしたノリを苦手とするTYPE-MOONファンも存在するので、使用する時と場所にはくれぐれもご注意下さい。
今後も本連載では、様々な『Fate』シリーズに関連したネタを紹介していきますのでお楽しみに!
[文/米澤崇史]
『Fate』シリーズ用語・ネタ解説
◆第01回・ランサーが死んだ◆第02回・ええー? ほんとにござるかぁ?
◆第03回・何度も出てきて恥ずかしくないんですか
◆第04回・おっと心は硝子だぞ
◆第05回・スカディシステム
◆第06回・すまない……(すまないさん)
◆第07回・王の話をするとしよう(マーリン)
◆第08回・いろんなガチャ宗教
◆第09回・他のサーヴァントに遅れを取ることもなかった
◆第10回・サクラファイブ
◆第11回・ガチャは悪い文明
◆第12回・沖田さん大勝利
◆第13回・おい、その先は地獄だぞ
◆第14回・フィーッシュ!!
◆第15回・俺のサーヴァントは最強なんだ!
◆第16回・ドスケベ公
◆第17回:ボクはキミの剣
◆第18回:溶岩水泳部
◆第19回:私は悲しい……(ポロロン)
◆[HF]第三章公開記念番外編・『Fate』シリーズには桜がいっぱい!?
『Fate/Grand Order』概要
タイトル名:Fate/Grand Order(フェイト/グランドオーダー)
ジャンル:FateRPG(フェイトRPG)
iOS/Android にて好評配信中
企画・開発・運営:DELiGHTWORKS Inc.(ディライトワークス株式会社)
製作:TYPE-MOON / FGO PROJECT
価格:基本無料(ゲーム内課金あり)
Fate/Grand Order 公式サイト
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