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劇場版「Fate/stay night [HF]」第三章 下屋則子インタビュー【連載第5回】

劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」 Ⅲ.spring song 下屋則子さんインタビュー|[Fate][UBW][HF]――桜と一緒に歩んだ道筋を振り返って【連載第5回】

美しい「RAIN」の後でもハッピーにならないのが、[HF]らしさ

――第二章で印象に残ったシーンはありましたか?

下屋:やっぱり「RAIN」(※1)のシーンでしょうか。第一章でも土蔵で桜が士郎に思い出話をするシーンがあったのですが、桜って自分のことをあまり話さないので、あの時点で「珍しいな」と感じたんです。

第二章ではそこからさらに踏み込んで、今まで隠してきた過去を士郎に明かして、それでも士郎はすべてを受け入れて抱きとめてくれる……。あのシーンは本当に印象に残っています。


※1:「RAIN」
[HF]において、桜の犯した罪を知った士郎が、それでも桜の味方であり続けることを決意し、雨の中抱きとめるシーン。「RAIN」はゲーム版におけるシーンタイトル。


――あのシーンは、物語の大きな分岐点にもなる場面で、ゲーム版のスチルもしっかりと再現されていたのが嬉しかったです。

下屋:本当にそうなんです! 描き方もきれいで、すごく美しいシーンに仕上げていただいたなと。

でも、あの綺麗なシーンを経て結ばれた2人が、その後まったくハッピーな展開にならないというのが[HF]ならではですよね。他のルートだったら幸せにデートをしたりという展開もあったかと思うのですが、[HF]の士郎と桜はそういうシーンもほぼありませんでしたから。

――個人的には、劇場版オリジナルの描き方がされていた、桜がギルガメッシュを取り込むシーンも印象的でした。

下屋:[HF]に関しては、本当に思い入れのあるシーンがいっぱいあるんですけど、あそこもその一つですね。第二章の時は前半と後半で2日間にアフレコが別れていたんですが、1日目の最後に須藤監督が描いた、桜の夢のシーンの絵コンテを見せていただいたんです。

それで初めてあのシーンを見た時、「えっ、こんなシーンあった!?」とビックリして。最後まで見終えた時の「ここに繋がるんだ!」という衝撃もすごかったです。

――あのシーンはゲームをやっている人でも、最初は何が起こっているのか分からないんですよね。

下屋:そうなんですよ! 本当に須藤さん天才だなって思いました(笑)。

あのシーンって、[HF]の映像化が難しいと言われていた要因の一つだったんじゃないかと思っていて。ゲームだと、最初は誰の視点なのかがぼかされていて、読み進めるにつれて真相が分かるようになっていく、テキストだからこその面白さがあるんですよね。

あれを映像としてどう表現するのかは前から気になっていたのですが、須藤さん自身が最初にゲームをプレイして受けた時の驚きを、すごく大事にされていたからこそ、あの形が生まれたんだろうなと。

原作への深い愛がなければたどり着かなかった答えというか、劇場版[HF]は、須藤さんにしか作れなかった作品なんだと感じましたし、第三章でもそれはより強く思いました。

――ギルガメッシュって、当時からもちろん強い設定ではあったんですけど、『Fate』シリーズが時間を積み重ねていくに連れてどんどん格が上がっていったキャラクターでもあると思うんです。そうなると「あのギルガメッシュがこうも簡単に……」という衝撃は、ある意味当時よりも大きくなっていそうだなと。

下屋:時間を経たことで、そういう当時とは違う変化を感じられるようになっているのも面白いですよね。侵食されたことじゃなく、自分を跪かせようとしたことの方に怒るっていうのもギルガメッシュらしくて(笑)。

――TYPE-MOON展の時、下屋さんがTwitterでギルガメッシュのコラボドリンクを飲まれている時の写真がバズっていたのも印象的でした。映画を見た人だけは意味が分かるっていう(笑)。

下屋:覚えてます、あの時ですね!(笑) あれは単に一番美味しそうだったから頼んだというだけで、決して取り込もうと思っていた訳ではないのですが、皆さんに気に入っていただけたみたいで良かったです(笑)。

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