夏アニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』森羅日下部 役 梶原岳人さんインタビュー|「どこまで自分の熱さを出していいのかとか考えました」
アーサーに対する思い…弐ノ章注目は、シンラとアーサーのシーン
――いよいよ弐ノ章が始まりますが、壱ノ章で印象に残っているエピソードはありますか?
梶原:やはり象 日下部(ショウクサカベ)との対話のシーンはすごく印象的でした。シンラがずっと追い求めていたものにようやく辿り着きそうなシーンだったので。
ずっと伝えたかったこと、長い間、ショウに対して言えなかったことを、やっと面と向かって対話することができた。象はなかなかそれを受け入れてくれないんですけど、粘り強く辛抱強く、言葉でもそうですし、戦闘で…体で伝える。あの兄弟の対話シーンというのは、僕もすごく印象に残っているし、アフレコをしていたときも熱が入ったシーンでしたね。
あと、サブタイトルが良いですよね。「兄の意地」(第弐拾弐話)って、すごく好きです。
――かなり激しく戦っているけど、シンラは弟だから倒す気がないというか。すごく愛があるんですよね。でも、それがすごく難しいなと思いました。
梶原:そうですね。シンラの心の中にはずっと愛情があって、ただキレているわけではないですから。でも、すごく良いシーンでした。
――ショウ役の坂本真綾さんと、一緒に作っていったのですか?
梶原:実は別録りだったんです。正直、メチャメチャ会話して演りたかったんですけど、そこは想像しまくりました。最後にすごく静かにショウと話すシーンがあったんです。
戦い終えて、シンラがショウのアドラに干渉して、心の中に記憶を写し合うようなシーンだったんですけど(第弐拾参話「笑顔」)、そこは兄としての感覚というか。僕にも妹がいるので、自分に重ねながら演じましたね。
――シンラって、いろんな人と正面からぶつかり合う役だから大変ですよね。ショウとのやり取りもそうだけど、熱さはあるけど、いろいろと考えさせられるというか。
梶原:ちゃんと考えてるからすごいですよね。時に感情的にもなるんですけど、よくそこでその言葉が言えるよなって思います。
あと、紅丸とかもそうですけど、先輩とか立場的に全然上の人にも自分の気持ちを臆することなく言うことができるんですよね。かといって礼儀正しいところもある。
バーンズ大隊長に対しても「ふざけんなよ」って言ったと思ったら、次のシーンでは敬語になってたり。その切り替えがすごい(笑)。
――ちなみに烈火 星宮とのシーンはどうでした? あそこは結構キレてるほうですよね。
梶原:あれはもうキレてましたね(笑)。やっぱり仲間を守るときのシンラってすごく心強いところがあるんですよ。あれだけ環がぶちのめされてたら、キレますよ。でも、あれもただ単にキレてるだけではなく、タマキに対しての気持ちもすごく感じられたんです。
仲間を傷つけられたことに対するレッカに対する言葉と、タマキに対する言葉が同時にあって、そこが全然違う感じなので、そういう対比は結構あったシーンだったと思います。
――もうひとつ聞きたいのですが、アーサーはシンラにとってどんな存在ですか?
梶原:僕的には大好きなんです。シンラもきっと大好きなんでしょうけど(笑)。表には絶対に出さないけど信頼しあっている感じはすごくありますし、訓練生の頃から一緒にやってきているから、アーサーもシンラのことをちゃんと分かっていますよね。
シンラが今何を考えているのかとか、深く考えているわけではないんでしょうけど、バカなりにすごく的確なことを言ってくれるというか(笑)。今欲しい言葉を言ってくれるんですよ。
第弐話だったかな。二段ベッドの上と下とで話すシーンがあったんですけど、そこで「寝ろ、悪魔」みたいなことを言うんです。シンラは、何バカなこと言ってるんだ?って思うんですけど、途中でコイツなりに気を使って言ってくれてるんだということが分かって、柔らかい表情になるんですけど、そういう優しい口喧嘩みたいなのを見ていると、良い関係だなと思いますね。
それに、弐ノ章でも注目してほしいシーンが序盤にあるんですよ。アーサーとシンラが戦うところなんですけど、そこは皆さんに、ぜひ早く見てほしいと思ってます。
今、全員揃ってのアフレコというのがなかなかできない状況なんですけど、このシーンはギリギリ一緒に芝居ができたんです。なのでアーサーからも引き出されるものがありましたし、どうしたら伝わるのかなって考えながら演じました。
――やはり相手がいることでの影響もあるんですね。
梶原:ありますあります。でもそのシーンの最初のほうは、シンラが心のなかに溜めていた鬱憤を吐き出すつもりでやっていたので、アーサーの言ってることなんて全然聞いてなかったんですけどね(笑)。ただただ自分の内側の怒りや理不尽な気持ちを吐き出していたので、やってても爽快でした。
――それをアーサーが大きく受け止めてくれているというか…。
梶原:そうですね。アーサーが返してくれて、そこでシンラがまた変わっていくことができたので、めっちゃ注目してほしいです!
――では、弐ノ章で気になるキャラクターというと誰になりますか?
梶原:弐ノ章だったらやはりインカですね。シンラたちとは真逆の考え方をしていて、命の重みとかの感覚も全然違うんです。死を感じることでしか、自分が生きている感覚がしないみたいな。もう狂ってる考え方なんですけど、彼女によって情勢も変わってくるようなキーパーソンなので、気になる存在ですね。
――ちなみに好きなキャラクターはいるのですか?
梶原:ジョーカーですね。カッコいいんですよ! シンラとはまた違った“ダークヒーロー”っていう感じ。敵か味方か分からないけど、惹かれるところがあるんですよね。でも完全な敵という感じもしないですし、どこかシンラたち側に肩入れしてるところはあるのかなって思ってます。そういう意味で魅力的です。
――では最後に、『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
梶原:弐ノ章では、これまで描かれなかった深い謎……世界の謎、人体発火の謎、それと大災害がどうして起こったのかとか、聖陽教がどうして興ったのかなど、物語の根幹に関わる部分が描かれていくんです。
壱ノ章では謎だらけだったところがだんだんと明かされていって、シンラたちはそれらの謎に触れながら伝導者たちと戦っていき、物語が進んでいくので、より目が離せなくなると思います。
だから、ちょっとでも見逃すと謎が分からなくなっちゃうので、ぜひ毎週楽しんで見ていただけたらと思っています。第壱話も、壱ノ章の第壱話で言った「魂よ! 燃えろぉおおお!」ってセリフをまた言っていたりするのが面白いですし、最後まで見て損はない、最高の内容になってると思います。ここからさらに面白くなるので、楽しみにしていてください!
[インタビュー&写真・塚越淳一]