アニメならではの構成で自然にバランスが取れた宇崎ちゃんの“ウザ可愛さ”――夏アニメ『宇崎ちゃんは遊びたい!』宇崎花役・大空直美さんインタビュー【連載第1回】
ウブな先輩とガンガン押していく宇崎ちゃんの関係が大好き
──監督や音響監督からのディレクションで、特に印象に残っているものはありますか?
大空:基本的には、とても自由にやらせていただいた感覚があります。その中で、特に印象に残っているのは、第1話の中華料理屋さんのシーンです。そこで、宇崎ちゃんが喉を詰まらせて「んがぐぐ」って言うんですけれど、音響監督のえびな(やすのり)さんは、不思議なところでこだわりがあって。
「大空さんはご存じないかもしれないですけれど、昔の『サザエさん』の『んがぐぐ』が欲しい」というディレクションがありました(笑)。この先の回でも、元ネタのあるシーンでは、「これはこういう感じで」とか、その場で音源を見せてもらったりしながら、何回かチャレンジしました。そういう小ネタにも、こだわりがつまっています。
あとは、これもえびなさんのアイデアだと思うのですが、第1話で振動するマシーンの上に立ったまま宇崎ちゃんが喋るシーンでは、背中とかに使うマッサージマシーンがスタジオの中に持ち込まれていて。(事務所の)後輩に、首の付け根にそれを当ててもらいながら喋って、収録したんです。
──第1話を拝見した際、声の揺れている感じがすごくリアルだったので、どのように演じたのか気になっていました!
大空:そこのセリフだけ、抜き録り(一人だけで収録すること)になりました。あのやり方も紆余曲折があって、マッサージマシーンを腰とか肩とか背中とか、いろいろなところに当てて。一番リアルな音が出せる場所を探りました(笑)。私もそういう楽しいことは大好きなので、(真剣な声で)「もうちょっと上かな」とか言いながらやっていました。
──大空さんは、宇崎と桜井の関係をどのように捉えていますか?
大空:私は、桜井先輩というキャラクターが本当にツボなんです。ちょっとエッチな場面に出くわした時、鼻の下を伸ばすのではなく、動揺したり、汗をかいちゃったり、反応がすごくウブいんですよね。私、ウブなキャラクターが本当に好きで(笑)。
そんなウブい先輩に対して、宇崎ちゃんは無防備に「家に遊びに行っていいですか?」とかガンガン押していく。そんな二人の関係が大好き! このまま回が進んでいったら、いつの間にかすごく近い関係になっていて、一緒に暮らしたりしてるんじゃないかなとか悶えながら妄想しています。
最初はけっこう強めに宇崎ちゃんをウザがっていたのが、ちょっとずつちょっとずつほだされて心を開いていく。その鈍行さ加減もたまらないんですよね。先輩のセリフを注意して聞くと、本当にちょっとずつ心を開いていくのも伝わってくるんです。
──大空さんが演じる宇崎は、最初からあまり変わらずガンガンと押していくけれど、桜井を演じる赤羽根健治さんのお芝居は徐々に変化していくわけですね。
大空:そうなんです! 宇崎ちゃんを愛でる作品という印象も強いかなと思うのですが、個人的には先輩の気持ちの変化にもぜひ注目して欲しいです。
──ちなみに、大学生時代の大空さんは、宇崎のように友人たちと一緒に学生生活をすごく楽しんでいたタイプでしたか? それとも、1年生の時の桜井のように、周りから見るとあまり楽しんでなさそうなタイプでしたか?
大空:けっこう楽しんではいたと思います。学部が映像学部で「コンテンツを作るぞ!」という人たちの集まりだったから、気が合う子も多くて。ただ、私は自分からガンガンいくタイプではないので、教室の隅に一人で座っていると、話しかけてくれる優しい人たちがいて、一緒に遊ぶという感じでした。
けっこう待ちの姿勢だったから、そういう意味では、桜井先輩寄りだったかもしれないです。
──でも、桜井のように、誘われることをウザいとは思っていなかった?
大空:全然! 私はすごく嬉しかったです。「大空さん、一緒に遊ぼ!」って絡んでくれる人を神様のように思っていました(笑)。