TVアニメ『フルーツバスケット』第2シーズン2nd season第2クールのOP曲「HOME」がデジタル配信スタート！　シンガー・土岐麻子さんが手掛けた歌詞や楽曲に込めた想い、そして明かす意外な事実とは!?

新OP曲「HOME」は透のイメージと、作品から受けた2つの“HOME”から発想

――新曲「HOME」はTVアニメ『フルーツバスケット』第2シーズン2nd season第2クールのOP曲ですが、アニメの制作サイドからオーダーはあったのでしょうか？

土岐：「第2クールは重い展開になってくるけど、優しさや一筋の明るさが見えてくる曲にしてほしいです」というお話をいただきました。

――「HOME」はご自身で作詞を手掛けられていますが、どんなテーマやイメージ、想いを込めて作詞されたのでしょうか？

　
土岐：まずトオミヨウさんの曲があって、そこから私が歌詞を書いていく形で。1巻から読んでいくと透の優しさが印象的だったので、彼女の優しさを思い浮かべながら書きました。

歌の中に「きみ」という人に救われている主人公が登場しますが、「きみ」＝透というイメージは明確にありました。

透のように包み込んでくれたり、許してくれたり、自分の良いところを気付かせてくれる、そんな存在がいたらいいなという希望も込めています。

――作品自体も透や由希など、自分の居場所を探しているキャラが多く、この曲のタイトルや内容はピッタリだなと思いました。

土岐：透は最初、テント暮らしをしていたところを紫呉の家に居候させてもらうことになり、物理的な面での「HOME」=「家」。

そして、他人を信じることができない十二支の人キャラクターたちが透と出会って、心の拠りどころになっていく、精神的な意味での「HOME」、2つの「HOME」を描いている作品だと思ったので、このタイトルにしました。

また、この作品に触れることで、「血の繋がりだけが家族の証なのだろうか？」とも考えさせられて。

例え血の繋がりはなくとも家族のような深い関係を築けるんじゃないかと、私自身も大人になっていく年を重ねるごとに思う機会が多くて。この作品に「（それは）やっぱりあるんだ」と確信をもらえた気がします。

歌詞には作品から連想される風景も！　お気に入りフレーズは1番の曲頭☆

――サビの「輝いているパノラマ」や「生まれた場所なら知らないアパートに変わって」など、誰もがイメージしやすくて、心象風景が浮かんでくるところも素敵だなと思います。

土岐：具体的な言葉としては「高台からの多摩川の街」を入れてみましたが、最初はアニメやマンガの背景や舞台を見て、「これはどこなのかな？」と思ってネットで調べたら、「ここは●●じゃないか？」「あの橋は●●橋かも？」など、いろいろな考察サイトに書いてあって（笑）。

実際に行ったことがなく、なじみのない場所だったので、私にとっての「HOME」の風景ではないけど、水辺や橋が、隔たりや人との距離感を象徴するような風景だなと。

だから今回、アーティスト写真を撮影するためにとある橋に行きました。アニメと同じような風景でおもしろかったです。

――お気に入りのフレーズを挙げていただけますか？

土岐：冒頭のAメロ「胸の奥で人知れず揺れていた 僕のかすかな灯りをきみは掌で守るようにして愛と名前をつけた」は、原作で、透が由希君の優しさを、ろうそくの炎みたいと例えたことがあって。

ふっと吹いたら消えてしまいそうだけど、確かに灯っていて、そばにいると様々なものが見えたり、心が温かくなるし、いろいろなものに火を点けて明るくしたり。

（そういったことが）すぐにイメージできたし、励まされるセリフだなと思えた印象深いシーンだったので、とても気に入っています。

A～Bメロとサビで違う距離感や景色が感じられるような歌い方♪

――歌声も素朴で、優しく耳から入ってきて、じっくりと心に染みてくる感覚でした。

土岐：ありがとうございます。

トオミヨウさんが作・編曲してくれたサウンドに懐かしさを感じたし、私自身も学生時代の帰り道を思い浮かべながら歌詞を書いた部分もあったので、素の声で歌おうと思いました。

曲によっては意図的に歌い方や声色を変えたりすることもありますが、この曲はつぶやくように歌いたいなって。

――サウンドも、ギターやピアノに加え、ストリングスカルテットが奏でる優しく、温かいメロディが響く、アコースティックなアレンジですね。

土岐：Aメロからサビまでは小さな灯りをはさんで誰かと向き合い、小さな声で話す、近い距離感で作っていますが、サビになると周りの景色が全部見えて、ぱっと開けていくような感じになればいいなと思いながら作っています。

――シンプルに聴こえるのに緻密に作られていたのですね！　今回のように第2シーズン2nd seasonの第2クールから初めて作品に参加して曲を担当するのは難しいのでは？

土岐：そうですね。それに第2クールまではコミカルで楽しいエピソードが多かったけど、第2クールからシリアスな展開になるそうなので……「HOME」の曲頭で透の優しさを思い出して、癒されてもらえたら（笑）。