劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」 Ⅲ.spring song 植田佳奈さん&諏訪部順一さんインタビュー|お二人にとって遠坂凛とアーチャーとは【連載第3回・後編】
植田さんにとっての凛、諏訪部さんにとってのアーチャーという存在は
――ここまで色々なお話を聞かせていただいたところで、植田さんにとっての凛、諏訪部さんにとってのアーチャーがどういう存在なのかを教えてもらえますか?
植田:今となってはすごく馴染んでいる……感じでしょうか。15年という月日は声優人生の半分以上を共に過ごしてきたということなので、切っても切り離せない存在です。それでも最初に凛の役を貰った時は自分の声と合わないなと感じていて、馴染んでいると思えるようになったのは劇場版の[UBW]を始めた頃くらいでした。
色々なところでお話しさせていただいているエピソードではありますが、実はオーディションの時に桜役も受けていて、私自身がもし決まるなら桜だと思っていたんです。凛の声はしっかりとした魔術師というかお姉さん系のイメージがあって、自分の声ではちょっと高いなと。だから魔術師としての凄みが私では出せないなと思って、当時は作品やキャラクターの人気と自分との間で「もっと違うものが出せるんじゃないか」と模索し続けていました。
大人になってと言うと変ですけど、役者として体作りをやって自分の中の低音である凛の音をしっかり出せるようになってきたところもあるのですが、最終的になんで私が凛だったのかを監督たちに聞いたことがあります。そこでサラブレットではあっても完成された魔術師であってはならないと言う話があったんです。
凛は正当で立派な魔術師ではあるけど、なんだかんだ言ってポカをやることが多いじゃないですか。だからなのか改めて演じる時に「今だと魔術師過ぎるから、魔術師になり過ぎないようにして下さい」と言われたことがあって、昔はしっかりしていなくて良かったんだってやっと気付けたんです。この気付きがあってから、昔の話を演じる時は魔術師であることを少し忘れるようにしています。
本当に馴染んでよかったと今では思っていて、そこに気付けなかったらずっと違うんじゃないかと感じていたと思いますね。後は歳を重ねるとちょっと低音って出やすくなるんですよ……。
一同:(笑)。
植田:単純にそういうところもあるかもしれません(笑)。
諏訪部:アーチャーは、声がついていない最初のゲームの時点から作品ファンのみなさんの人気が高いキャラクターだったこともあり、任せていただけることになった当時もご縁があってよかったなぁと喜びましたが、数々演じて長い時間共に歩んできた中、そういったちょっとミーハーな感覚を抜きにしても、演者として多くのことを学ばせてもらった得難い存在だと深く思うようになりました。
「Fate/stay night」は、今日に至っては日本のみならず海外でも本当に人気の高い作品に成長していて。ですから、彼と向き合う時はいつも、襟を正して真摯に向き合わなければと気を引き締めています。
――カッコいいセリフが多いとのことですが、特に印象に残っているものとかはあるのでしょうか?
諏訪部:難しいですね……簡単にひとつを選ぶことはできません。やはり「全部」ですね。
彼は「背中で語る漢」みたいに言われることがありますが、出会った頃よりも今のほうが、その真により迫ることが出来るような気がしていて……ですから、アニメ化をまた最初からやってもらえないですかね(笑)。
植田:わかる、これが終わったらね!
諏訪部:もう一回、全部やってくれないかなぁ。ただしキャスト変更だけはやめてください! まだまだ戦えますので、よろしくお願いします。
――凛もアーチャーもおふたりしかいないと思っているファンは多いことと思います。それでは最後に映画を楽しみにしているファンのみなさんへのメッセージをお願いします。
植田:劇場版[HF]がとうとう最終章を迎えます。第二章の時は見に来てくださいと言うのが難しかったので、「心して見に来てください」と話していました。物語的にはまだ真ん中というところがあるので、私も終わった瞬間に凄い気持ちになったことを覚えています。
今回は最後の一本ということで、「期待してください」ってやっと言えるなって思っています。キャスト陣一同いつも以上に真剣にアフレコに臨みました。その空気感や緊張感がビシビシ伝わるフィルムになっていますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけると嬉しいです!
諏訪部:本体は既に退場してしまっているので、「ぜひ、衛宮士郎に移植されたアーチャーの左腕の活躍にご期待ください!」。よろしくお願いします!
植田:上手い!
一同:(笑)。
[取材・文/胃の上心臓]
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第三章インタビューアーカイブはこちら!
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劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」III.spring song 作品情報
2020年8月15日(土)公開
イントロダクション
手にした者の願いを叶えるという万能の願望機「聖杯」をめぐる物語を描いた、ヴィジュアルノベルゲーム『Fate/stay night』。劇場版アニメ三部作として紡がれる最終ルート[Heaven’s Feel](通称・桜ルート)が、ついに完結する。
アニメーション制作を担当するのは、2014年にTVアニメ版[Unlimited Blade Works]を手掛けたufotable。キャラクターデザイン・作画監督として数々のTYPE-MOON作品のアニメ化を手掛けてきた須藤友徳が第一章、第二章に続いて監督を務める。
2019年に公開された第二章[lost butterfly]は109万人を動員、興行収入は16.7億円を記録。2017年に公開された第一章[presage flower]を上回る成績を収めた。
第三章は「聖杯戦争」の真実と、少年と少女の物語の結末が語られるエピソード。全三章で贈る[Heaven's feel]がたどり着く場所とは──第三章[spring song]は咲き誇り、奏でられる。
ストーリー
「俺は、桜にとっての正義の味方になるって決めたから」
少年は、真実からもう目を逸らさない。少女を救うために。自分の選んだ正義を貫くために。
魔術師〈マスター〉と英霊〈サーヴァント〉が万能の願望機「聖杯」をめぐり戦う――「聖杯戦争」。その戦いは歪んでいた。
ひとりの少女――間桐 桜は犯した罪と共に、昏い闇に溺れてしまった。桜を守ると誓った少年・衛宮士郎は遠坂 凛と共闘し、「聖杯戦争」を終わらせるため、過酷な戦いに身を投じる。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは闘争の真実を知る者として、その運命と向き合い、間桐臓硯は桜を利用して己が悲願を叶えようとする。
「だから──歯をくいしばれ、桜」
激しい風に抗い、運命に挑む少年の願いは、少女に届くのか。終局を迎える「聖杯戦争」──。最後の戦いが、遂に幕を上げる。
メインスタッフ
原作:奈須きのこ/TYPE-MOON
キャラクター原案:武内崇
監督:須藤友徳
キャラクターデザイン:須藤友徳・碇谷敦・田畑壽之
脚本:桧山彬(ufotable)
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:松岡美佳
編集:神野学
音楽:梶浦由記
制作プロデューサー:近藤光
アニメーション制作:ufotable
配給:アニプレックス
メインキャスト
衛宮士郎:杉山紀彰
間桐 桜:下屋則子
セイバーオルタ:川澄綾子
遠坂 凛:植田佳奈
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン:門脇舞以
藤村大河:伊藤美紀
言峰綺礼:中田譲治
間桐臓硯:津嘉山正種
ライダー:浅川悠
真アサシン:稲田徹