XFLAG×SCANDAL:オリジナルショートアニメ「XPICE」インタビュー|"勇気と理解"、"共に闘うこと"をテーマに音楽×映像で表現
XFLAGとガールズバンドSCANDALのコラボレーションで送るオリジナルショートアニメ「XPICE」がYouTubeで公開されている。
看板ヒーローのレッドペッパーと新米ヒーローのワサビ。治癒能力を持つが、自身の思い描くヒーロー像とのギャップに苦悩し、自信をなくしたワサビが仲間のピンチに立ち上がる――というのが「XPICE」の大まかなあらすじ。
“勇気と理解”、“共に闘うこと”をテーマに、ヒーローたちの活躍と成長を描いたアニメーションに台詞はないが、音楽と映像の融合によって感動的な作品に仕上がっている。
今回、「XPICE」プロデューサー加藤博昭氏と音楽を担当したSCANDALの鼎談が実現した。
「XPICE」のテーマは? そしてSCANDALにオファーした理由……
――この企画を立ち上げた経緯を教えてください。
加藤博昭氏(以下、加藤):弊社の主力コンテンツとして『モンスターストライク』があるのですが、それとは別の形で世界に届けられる新しいコンテンツを作りたいということで動き始めたんです。まずは短い作品から作ろうということになり、台詞のない4~5分のショートアニメを考えました。
その中で、伝えたいことを表現するためには音楽の力が不可欠だということになり、監督やチームと検討した結果、MVのような形で表現するのがいいのではないかと思ったんです。
――そこでSCANDALが候補に挙がったのですか?
加藤:音楽の力を借りるにせよ、今回は描きたいもの表現したいものが明確にありました。それは"勇気と理解"、"共に闘うこと"なんですけど、そのテーマを理解していただき、かつそれを表現してくれるアーティストと一緒にやれれば、すごく良いものになるのではないかと考えたとき、僕の中で真っ先に浮かんだのがSCANDALだったので、すぐにオファーをさせていただきました。
――もともとSCANDALを聴いていたんですね?
加藤:はい。5thアルバム『STANDARD』(13年作品)から、いちファンとして聴かせていただいています。そしてその次の6thアルバム『HELLO WORLD』(14年作品)を聴いたとき、かなり衝撃を受けたんです。
このアルバムには、4人それぞれが自分で作詞作曲をしてボーカルを取るソロ曲が入っていたんですけど、それが個性的で、表現の幅も広く、魅力に感じたんです。
そこからずっと聴いていて、昨年『ビクターロック祭り2019』でライブを拝見したんですけど、そこで「マスターピース」(20年リリースの最新アルバム『Kiss from the darkness』に収録)を聴いたとき、どんどん進化しているバンドなんだなと思い、今回のアニメのテーマにも合致すると思ったんです。
▼『Kiss from the darkness』トレーラー
――メンバーそれぞれの個性がはっきりありつつ、バンドになるとすごいパワーを生み出すところは、たしかに合致しますよね。SCANDALはオファーが届いたとき、どう思いましたか?
Vo&Gt・HARUNAさん(以下、HARUNA):今話していただいたような感じで、すごく熱量を持ってオファーをしてくださったんですよ。
自分たちの曲のことも知ってくれていて、個の強さみたいなものが今回のプロジェクトにマッチするんじゃないかと言ってくれた。
私たちのパーソナリティを知った上でオファーをしてくださったのがうれしかったですね。あとはやっぱりSCANDALと名前を挙げてくれたことが何よりうれしくて。
――断る理由はないですよね。
HARUNA:全然ないです。それに打ち合わせの段階で、絵コンテだったり、キャラクター像も詳しく見せていただけたのでイメージもしやすかったです。
Ba&Vo・TOMOMIさん(以下、TOMOMI):絵コンテを見せてもらったときに内容も入ってきて、今の時代にぴったりだと思ったんです。
ヒーローものだけど圧倒的に強いというより、それぞれがコンプレックスを抱えていて、劣等感とも戦いながら悪を倒していくところにも共感したし、今は人種差別の問題とか、多種多様なものを認め合いながら暮らしていかなければいけない時代だから、今まさに見たかったような内容だったんです。
だからすごく自分にも響いたし、ご一緒できるのは光栄だなと打ち合わせの段階で思いました。
――MAMIさんは「SPICE」の作曲をしていて、RINAさんは作詞をしています。
Gt&Vo ・MAMIさん(以下、MAMI):さっきHARUNAが言っていたように、まっ先に自分たちを選んでくれたことが私もうれしかったんです。
打ち合わせのとき、すでに曲に対するイメージもしっかりあったので、それもすごく分かりやすかったです。リファレンスとして挙げてもらった曲も、わりと得意な曲調だったので曲自体はすらっと書けました。
Dr&Vo ・RINAさん(以下、RINA):打ち合わせでストーリーを聞かせていただいたとき、伝えたいメッセージがはっきりとあったので、台詞のないショートアニメの中で、歌詞が台詞というか、ストーリーの役割を担うようにできたらいいなと思いました。
でも、アニメーションがあったからこれだけ真っ直ぐにメッセージを言葉にできたと思うんです。それが刺激的だったし、『XPICE』チームの皆さんは熱量があって、人柄も温かくて、何より自分たちの音楽を求めてくれたことがうれしかったのでやりがいはすごくありました。会議のときから一緒に作ろうという熱量が充満していたので(笑)。
――やはりクリエイティブな作業ではあるけど、根本にはそういう熱量があって、それが人を動かすんだなと、聞いていて思いました。
RINA:その打ち合わせで先程言ってくれた、なぜSCANDALにお願いしたいかということや、こういうストーリーだからこういう音楽を付けてほしいというのを資料にしてまとめてくださっていて。
さらに絵コンテを動画にしたものを見せてくれたので、それを見ながら詞を書いていったし、会議で「殻を破って世界に飛び出すみたいなイメージもあるんです」と言っていたので、そのままサビで《飛び出して 狭い世界から》というワードを入れたりしています。
会議中に出てきたワードをメモって、それが歌詞になったりしているんです。
――その資料を見てみたいですね。
RINA:あれは本当に感動しますよ!
加藤:今見ると少し恥ずかしいのですが、思い先行でいろいろ込めてしまったんですよね。
RINA:いや、それがうれしかったんです!
加藤:でも、具体的にこういう感じの曲というリファレンスも伝えたのですが、どちらかというと僕自身やチームで思っていることを言葉にして伝えたんです。
しかもその何日か前に制作チームでSCANDALのライブを見させていただいたんです。企画会議の場でお伝えした言葉って、そのライブを見たあとにあらためて書いたものだったりしていて……。
そのライブでHARUNAさんが「みんなと一緒に人生を歩んでいくつもりだから、落ち込んだり元気がなくなったりしたら来てほしい」というようなことを、ニュアンスは違うかもしれないですけどおっしゃってて、それがすごくかっこいいと思ったんです。
僕自身も見てくれた人の背中を押せるような、元気を与えられるような作品を作りたいという思いがあったので、HARUNAさんの言葉に感化されて、自分なりにまとめた資料だったんですよね。