ぶりぶりざえもん役・神谷浩史さんインタビュー|『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』は「最初から最後まで期待を裏切ることがいっさいない、ずっと面白い作品」
ぶりぶりざえもんは今までのキャリアと、人との繋がりでたどり着いた役
――先程、「いろいろなめぐり合わせで、ぶりぶりざえもんにたどり着いたと思っている」とお話されていましたが、詳しくお聞きしてもいいですか?
神谷:他作品になりますけど、水島努監督の『よんでますよ、アザゼルさん。』という作品が役作りのヒントになりました。その作品で、僕はペンギンのような見た目のベルゼブブ優一という役を演じているんですけど、オーディションの時は、あの画なりの役作りで演じて受かったんです。
だから、オーディションで演じた役作りで、アフレコ収録現場へ行ってみたら、監督から「全然違います。もっとかっこよくやってください。いつもの神谷さんでお願いします」と言われて、僕は「水島監督と初めて仕事するんだけど、いつもの俺って何だよ?」と思いましたね(笑)。
そこで、ベルゼブブ優一はもともと貴族だし、悪魔としては上級な悪魔なので、貴族的な要素も見た目なりに出しておいた方がいいんだと軌道修正して、かっこいい感じに寄せた役作りに落ち着きました。
しばらくして、僕が「何でああいう役作りにしろって言ったの?」と聞いたら、水島監督から「ベルゼブブ優一は僕にとって、ぶりぶりざえもんなんです」と言われたんですよ。その言葉に納得して、水島監督は見た目なりの芝居をさせることじゃなくて、見た目とは全く違う芝居をさせることの面白さというものを求めていたとわかりました。
その後に、ぶりぶりざえもんのお話をいただいたんです。ちょうど僕がデビューした時に、初めてレギュラー参加させていただいた作品が『コレクター・ユイ』で、その監督がムトウユージさんでした。
そのムトウさんがTVシリーズの『クレヨンしんちゃん』の監督をやっていらしたという繋がりで、この役にたどり着けていると思っているので、僕としては「ぶりぶりざえもんは、今までの自分のキャリア、人と人との繋がりでたどり着いた役なんだな」と思っています。だから、この役に関しては信頼関係、人との繋がり、めぐり合わせというものを感じています。
僕にとって、ぶりぶりざえもんは大切な役ですし、いろいろなアプローチの仕方が許されてきました。最初は頭でっかちになっていたし、兼人さんが演じていらしたというプレッシャーの方が大きかったので、そういったものに潰されそうにはなりましたけど、よく考えてみたら、「そういうところから僕のところにたどり着いた役だから、大切にしながらも、今の子どもたちに向けて、楽しいものを提供していくんだ」という気持ちに落ち着いて、そこからは現場へ行くのが楽しくなりましたね。
[取材・文/宋 莉淑(ソン・リスク)]
作品情報
『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』
2020年9月11日(金)より全国東宝系にて公開!
★原作:臼井儀人(らくだ社)/「月刊まんがタウン」(双葉社)連載中/テレビ朝日系列で放送中
★監督:京極尚彦『ラブライブ!』『宝石の国』
★脚本:高田亮『婚前特急』『そこのみにて 光輝く』・京極尚彦
★製作:シンエイ動画・テレビ朝日・ADK エモーションズ・双葉社
★声の出演:小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ 、神谷浩史
★声の特別出演: 山田裕貴、りんごちゃん
★ラクガキ応援大使:きゃりーぱみゅぱみゅ
★主題歌:レキシ「ギガアイシテル」(ビクターエンタテインメント)