藤野晴海先生が体験したゾッとする話、物悲しい話、救われる話を片山愁先生が漫画として描く！　『ナナシ　ナくしたナにかのさがシかた』3巻発売を記念した両先生インタビュー

｢僕｣の友達の｢ナナシ｣には不思議な力がある。

オカルトサイト発の人気作『ナナシシリーズ』が、『ナナシ　ナくしたナにかのさがシかた』のタイトルで初のコミカライズ！　藤野晴海先生のホラー体験談を、『師匠シリーズ』でお馴染みの片山愁先生が漫画として描いています。

9月30日に最新第3巻が発売となる『ナナシ　ナくしたナにかのさがシかた』。この度、両先生へのインタビューが実現しました！　

両先生の出会いのエピソードをはじめ、描くうえでのこだわり、オカルト作品に携わるクリエイターあるある（？）など、作品に関するお話が盛りだくさんの内容となっています。

「繊細な感情の機微が読んだ人の心にも残るといいな」

――早速ですが、両先生がタッグを組まれた切っ掛けを教えてください。

藤野先生：切っ掛けは、元々運営していたHPのメールボックスやBBSを管理するのが大変だと感じていた折に友人に勧められて始めたSNSでした。HP以上に気軽に読者の方とやり取りをできるということに魅力を感じて「藤野晴海」というそのままのアカウント名でSNSを運営していたところ、片山先生が見つけてくださって「今の連載が終了したらナナシを描いてみたい」と声をかけていただきました。

片山先生：藤野先生が私のTwitterをフォローしてくださり、私はずっとナナシを好きだったのもあって、ぜひ漫画にさせて欲しいと熱烈にお願いしました。

――執筆にあたり、藤野先生が原作執筆の後、片山先生が作画に入る流れだと思うのですが、その中で気を付けていること、大切にしていることを教えてください。

片山先生：原作はすでに完結しているので、大まかな流れは動かしていません。その上で空白時間や補足の点を綿密に伺って、判りやすく伝わるようまとめた上で漫画にしています。とにかくキャラクターの心情や表情に常に心を砕いています。繊細な感情の機微が読んだ人の心にも残るといいな、と思って描いています。

藤野先生：僕の書いた原作は、実話が元な上にもう十年以上前に完結しているので、いわゆる「新展開」のようなものは見込めません。終わってしまった話です。なので描いていただくにあたり、HPで公開していた原作では書ききれていなかった裏側や本筋には直接関係なかったので省いていた思い出、そして作中のあの頃はわからなかったけれど大人になり過ぎた今は理解できる親友の気持ちや僕に求めていたものなどを片山先生にお伝えできるように心掛けています。

また、原作を読んでくれていた読者の方が「イメージと違う！」とならないようにしたい、という僕の想いを片山先生がとても理解してくださっているので、それに伴う摺り合せには気をつけています。

――両先生にとって、ナナシとハル、その他の登場人物、みんなかわいいキャラクターだと思うのですが、休日一日過ごすなら誰と一緒がいいですか？　理由と合わせてお聞かせください。

片山先生：一緒に過ごしたいというより、みんなが仲良くしてる所をうんうん、と微笑ましく眺めたいです。実際はハラハラしそうですが（笑）。

藤野先生：僕は、やっぱりナナシと過ごしたいです。大人になった今ならあの頃はできなかったことがたくさんできるし、作中でも現実でもなんやかんや文句を言いながらも、結局僕は彼のことが一番好きだからです。