実写映画『映像研には手を出すな！』齋藤飛鳥さん＆梅澤美波さんインタビュー｜齋藤さんがカッコいい先輩すぎた!? 本気で取り組んだからこそ見えた世界とは？

『映像研』は今の時代に合っている

――漫画、アニメ、ドラマ、そしてとうとう映画までたどり着いた『映像研』です。実際に作品を読んだり、見たり、演じたり、長く関わってきた今、改めてこの作品の魅力をどんなところに感じますか？

おふたり：う～ん……。

梅澤：（ふたりで見つめ合って）飛鳥さんが「答えて」って言ってますね。目で（笑）。

齋藤：「考えるから先答えて」ってね（笑）。

一同：（笑）。

梅澤：そうですね……。演じていたときは夢中すぎて「この作品がどうこう」っていうよりは「金森氏であること」ばかり考えていましたね。

そこから撮影が終わって完成したものを見たときは、面白いのはもちろんなんですけど、それ以上にすごく感動しました。笑いの中にもグッとくるところがあるというか。

例えば、ロボ研の小野と浅草氏、水崎氏が熱く互いの思いをぶつけ合った後に和解するシーンが私はすごく好きなんですけど、この作品に私が金森氏として関わっていなければ、ここまで感動はしなかったんじゃないか、というか。この世界にドップリと浸かっていたからこそなのかなと思います。

私が過去に抱いてこなかった気持ちを持っている一人一人を羨ましく感じました。振り返ってみると、なにかに一生懸命になったり、とことん追いかけてきたことが、幼いときはあったかもしれないけど、物心がついてからはあまりなかったのかもと思って。ホントにカッコよく見えました。

金森氏として演じてたときは「コイツらなに言ってんだろ？」って感じで見てたんですけど、撮影が終わってからは、泣きながら自分の好きなことを語る姿がまぶしくてしょうがなくて。そういうものが詰まった作品だと思います。

アニメ作りなどに興味がある方にはもちろん響くと思いますし、大人の人が見ても懐かしくなるというか、そういった気持ちを思い起こさせてくれるパワーがあるなと映画を見て強く感じました。

――昔持っていた情熱みたいなものを思い出させてくれますよね。

梅澤：そうなんですよ。「今、あそこまで泣きながら語り合えるか？」って言われたら、ちょっと分からないというか。それをさらけ出してやってる姿ってホントカッコいいなって思いました。

齋藤：魅力はたくさんあるんですけど、何よりも、今の時代に合っているのかなと。

浅草は、スカートこそはいていて女の子ではあるけれど、どっちでもいいというか。どっちでもない感じが、多様性が徐々に認められてきている今っぽいなと思います。

あと、今はSNSの発達などで人の目を気にする、周りに合わせるみたいなことが特に強いと思うんですけど、そんな中でまっすぐに自分の好きなものを突き詰めたり、周りにいくら反対されようと自分の意志を貫く人たちって、年齢とか関係なしにこんなに美しいものなんだなと強く感じました。

そこはどんな方が見ても届くと思う、届いてほしいというポイントなので、漫画、アニメ、ドラマ、映画、どの「映像研」からでも感じ取ってもらいたいですね。

――そのメッセージはひとりでも多くの方に届いてほしいですよね。最後に、この作品で自分の中で挑戦できたこと、変われたことなどがあればぜひ教えてください。

梅澤：私はやっぱり「お芝居」ですかね。舞台は何度かやらせてもらったことはあったんですけど、映像のお芝居はまた違う魅力があって楽しかったですし、より興味も湧きました。

――もっと挑戦したくなりましたか？

梅澤：なりました！　いろんな役をやってみたいな～、と思いました。

――齋藤さんはいかがですか？

齋藤：私は「浅草を演じる」ということも一つの大きな挑戦だったんですけど、「後輩と一緒に作品をやる」ことが一番大きかったですね。

「ここから3か月、先輩として、後輩ふたりを気にしながら自分のお芝居にも集中しなきゃいけないんだ」と思ったら、やる前は地獄みたいな気持ちになったので（笑）。

一同：（笑）。

齋藤：ふたりが優秀だったのもあって、お芝居の楽しさを知ったり、ふたりと親密になれたりしたので、終わってみれば、ホントにやってよかったな、と思いました。

今まであまり後輩に対して自分から行くこともなかったので、これを機にもうちょっと行ってみようかな、という気持ちも芽生えましたね。

[インタビュー/石橋悠　撮影/相澤宏諒]

[スタイリスト/市野沢 祐大(TEN10)]
【齋藤飛鳥】
ベスト、トップス、パンツ(全てKOH'S LICK CURRO)、バングル(PHILOSOPHY Arts./ワールドスタイリング)、
イヤリング(FUMIE TANAKA/DO-LE co ltd.)、その他スタイリスト私物

【梅澤美波】
シャツ(SATORU SASAKI)、コルセット(AOI WANAKA)、ピアス(PHILOSOPHY Arts./ワールドスタイリング)、その他スタイリスト私物