アニメ『ノクターンブギ』森田と純平監督インタビュー│コロナ禍を受けての“完全リモートショートアニメ”で表現する、手のひらの中で楽しむエンタメ
深みのあるキャラクターによる会話劇が魅力
――内容についてもお聞きします。本作は「シェアハウス」が舞台、住人はほぼ「人外」、この2つが大きな軸になっています。シェアハウスはドラマで人気ジャンルのひとつでもありますが、そのような作品にしようと思ったきっかけをお聞かせください。
森田と:もともとアメリカのテレビシリーズの『ビッグバン★セオリー』というワンシチュエーションコメディ作品がすごく好きだったんです。こういう決められたキャラクターの日常をずっと描いて、一緒に成長していく作品をやってみたいと思ったのが大きなきっかけでした。
でも、そうするとキャラクターが家族というのもちょっと……やっぱり血の繋がっていないところでのやり取りを作りたいな……と考えた時に、「シェアハウス」で一緒に共同生活をすればいいと思ったんです。それだと『テラスハウス』があるけど、まぁいっかと(笑)。
――「シェアハウス」というだけでなく、そこに「人外」というテイストを入れたのは、どんな意図があったのでしょうか?
森田と:「人外」という設定を入れた途端にドラマが広がるなと思ったんです。『X-MEN』とかも、ミュータントであることがコンプレックスだったりしますよね。その時点でキャラクターに深みが出るし、それをギャグにも使えるし、可能性がすごくあるなと。もちろん通常の人間ドラマも描けますし、モンスター的な存在の中に普通の人間を1人いれてサスペンスにもできるし。これなら無限に脚本が書けると思ったので、この設定にしました。
――脚本は森田と監督らしい言い回しが随所にあって面白いですよね。ただ、キックオフイベントで、ネタの元になっている『Hot-Dog PRESS(ホットドッグプレス)』を監督と小山さん以外のメンバーが知らなかったことは衝撃でした。
森田と:そうなんですよ。ということは、僕はずっとスベっていたんだと。1人で「どうよ、このパロディ!」みたいに思っていたのが実は誰も理解していなかったんだと思って、ショックでした(笑)。
――そんなキャストの皆さんから、作品の感想についてはなにか言われたりしましたか?
森田と:ワードチョイスのことはすごく言われましたね。「どうやってこの言葉を思いついたんですか?」とか、実際に絵で見た後に「こういう感じだったんですね!」とか。キャスト同士でも、配信が終わった後に感想が飛び交っていて、一緒にやっている感がすごく強いです。
――では、客観的な視点から見ると、この作品の面白さはどこにあると感じますか?
森田と:やっぱり「テンポのいい会話劇」ですかね。パッと見て会話のやり取りがまず面白い、深い考察とか考えずに見られるのは魅力だと思います。その後で、僕の好みの設定などが見え隠れしているのがわかると、さらに面白くなってきますよ。
――設定ということでは、本作もなにか“裏”はありますか?
森田と:裏は……めちゃくちゃあります(笑)。でも、それを全く意識しないでも楽しめますし、裏も作り込んでいますので、考察が好きな人も必ず楽しめると思いますよ。
――監督がこれまでテレビ番組も多数手がけられていたこともあってか、特に冒頭の入り方はテレビっぽい印象を受けたんですよ。昔なら夜11時ぐらいからの深夜枠にやっていたドラマみたいな感じで。
森田と:意識したわけではないですが、僕の血肉になっている気はしますね。実写ドラマでやってきたものがにじみ出ているのかなと。なので、いわゆる日常系のアニメの雰囲気とは、ちょっと違うんだろうなと思います。