僕がイメージする『きらら』作品として作っています――秋アニメ『おちこぼれフルーツタルト』川口敬一郎監督 インタビュー│手描きのダンスシーンのこだわりも明らかに
原作でしっかり色分けされたキャラで料理しがいあり。監督にとって衣乃たちは「スパロボ」。その意味とは?
――フルーツタルトやクリームあんみつ、穂歩などそれぞれのキャラクターを描く上で意識した点はありますか?
川口:原作でもキャラの色分けがしっかりとわかりやすく描かれていたので、料理のしがいがありました。ただアイドルものによくある重い過去など暗黒面がないので、そこはどうしようかなと思って。
でも気軽に見られる作品なのでそれもいらないかなと。舞台は小金井市だけど、夢の中の小金井市なので。あと今はみんなマスクをしているけど、作中ではフルーツタルトのメンバーはティッシュ配りをしていたり、すごいフィクションになってしまったなと思ったり(笑)。
――個性的なキャラクターばかりで、見せ方にもこだわりがいがありそうです。
川口:僕は、元々おもちゃ会社に入りたくて。この業界にもおもちゃを売るアニメが作りたくて入ったんです。いつかロボットアニメなど、子供向けのホビーアニメの監督をやりたいと思いながら、今に至っているんですけど(笑)。
ある意味、衣乃たちは僕にとってのスーパーロボットみたいなもので、たくさんの人に好きになってもらえるような見せ方をしているし、それぞれのコンプレックスや癖……例えば衣乃は女の子が好きだとか、それは武器のようなもので。
だからアイキャッチでもキャラの設定を見せたり、各話のタイトルも「いろは」順で付けてみたりして、いかに魅力的に見せるかを意識して登場キャラクターを商品として作ってみた面があるかもしれません。
フルーツタルトのキャスティングはグループのバランス感が決め手! 穂歩役の日笠陽子さんに期待したことは?
――キャスト陣を選んだポイントと演じている様子をご覧になった感想は?
川口:オーディションで双先生や編集の方と一緒に選ばせていただきました。どの役も特に反対意見もなく、順調に進んで。フルーツタルトの5人については、各キャラ2~3人の候補が残った後、組み合わせとして一番バランスがいいなと思うメンバーで決めました。
1人のキャラの面で見れば、この人もいいなと思ったこともありましたが、フルーツタルトとして5人並んだ時の声のバランスが決め手でしたね。
――穂歩役の日笠陽子さんや乙役の堀江由衣さんについてはいかがですか?
川口:穂歩は決め打ちでした。フルーツタルトの5人は比較的若手の方で固めることは当初から決まっていたのですが、そうなると毎回登場して教えたりしてくれる人が必要だと思って。
そうしたら以前、『フレームアームズ・ガール』に出演してもらった時も同じような状況で、おもしろい芝居をしてくれた日笠さんの名前が挙がったんです。日笠さんならみんなを引っ張ってくれるだろうという信頼の元、お願いすることになりました。
乙役に関しては、誰にお願いするのか当初は決まっていなくて、収録が半分以上過ぎたところで決まりました。でも堀江さんにお願いしたいなと思っていたので、運よくスケジュールがはまってよかったです。
――監督から5人のキャストさんにアドバイスやお話はされたのでしょうか?
川口:最初に多少話しましたが、「基本は自由にやってほしい」とか「好きにやっていいよ」くらいしか言わなかったので、肩透かしにあったように感じられたかも(笑)。
――作品によっては最初に想いを熱く語られることもあるようですが今回は……。
川口:肩ひじ張らずに楽しくやりたかったので、そんなこともなく(笑)。みなさん、日笠さんのように肩の力を抜いているように見えて、しっかりとまじめにお芝居されるので。
台本をきっちり読むよりは「このキャラクターだったらこう言うんじゃないか」という部分を出してほしいという話はしました。