「“新しいことをしたい”、その気持ちこそが15年の集大成」デビュー15周年を記念したミニアルバム『15Colors』を3枚同時リリースするMay'nさんにインタビュー
今のソウル、ダンス・ミュージックをコンセプトにした『15Colors -soul tracks-』
──では改めてそれぞれの作品についておうかがいさせてください。まずは原点であるソウル、ダンス・ミュージックをフィーチャーした『15Colors -soul tracks-』から。
May’n: May’nのアルバムのなかでもダンスミュージックを取り入れた楽曲はありましたけど、アルバムだと既存のシングル曲も構成されるので、 “May’nっぽい”もの、ロックに近いサウンドを意識した楽曲になっていたんです。
今回は事前にクリエイターの皆さんに「May’nっぽさを一切気にしないで作ってください」とお願いしていて。それは他の2作に関してもそうで、各クリエイターさんの世界にMay’nが飛び込むことをしてみたい、それこそが新しいチャレンジだという思いがありました。さらに『15Colors -soul tracks-』は“今のソウル感、今のダンスミュージック”にこだわりました。
──1曲目の「I'm alright」からすごく新鮮で。イケガミキヨシ(JAZZIDA GRANDE)さん、Chocoholicさんが手掛けられています。
May’n:イケガミさんは今までも何回かご一緒させてもらっているんですが、イケガミさんって本当にポップなメロディを書かれる方で。Chocoholicさんは元々すごく聴いていたので、今回ご一緒させていただけてすごく嬉しいです。Chocoholicさんはめちゃくちゃポップでカラフルなサウンドを作られる印象があったので「ポップな楽曲にしたいな」と思っていました。
──さきほど日常的というワードがありましたが『15Colors -soul tracks-』に収録されている「Living My Life」は、日常感のある曲ですよね。すごく自然というか……。
May’n:そうですね。同じ『15Colors -soul tracks-』に収録されている「I'm alright」はライブでも楽しそうだなって感じはするんですけど「Living My Life」とかはちょっとお茶しながら聴けるような曲、ドライブが似合いそうな曲になりました。
自分で歌詞を書いた「CAN NOT STOP」は「音楽が無くなっていくのが怖い、悲しい」という思いがあったなかで作詞をして。もともと外でお酒を飲むタイプではないんですけど、外に出られないってところから、プライベートでも友達に会いたいって思ったり、みんなでワイワイするような場所に行きたいって考えたりするようになって。止まってしまう日常に「やめないで、とめないで!」って思いで歌詞を紡いでいきました。
──「Hopelessly In Love」はSpotifyでの再生数800万超えの新進気鋭プロデューサーJengiさんが手掛けています。
May’n:こういうアルバムを作れるなら外国のクリエイターの方にも参加していただきたいと漠然と思っていました。Jengiさんは日本の文化を好きでいてくれている方だったようで、快くオッケーしてくださって。夢が叶った!と驚きました。
──歌詞は全て英詞でとてもカッコいい曲です。他にも英語の曲はありますが、英語で歌うことに対してはどういう思いがあるんでしょうか。
May’n:もともと英語や中国語でも歌ったりもしていたんですけど、サブスクが解禁されたことで、世界中のかたが今まで以上に私の曲を聴いてくれるようになったんです。それで日本語以外の曲も歌いたいなという思いがあって。Jengiさんとご一緒させていただけたので英語の曲を多めに作ってみました。
──声の質感が少し低めだったことが新鮮でした。
May’n:確かにこの曲はそうですね。もともとMay’nになる前はロートーンのほうが得意で自分の武器かなとも思っているんです。May’nになって、特に『マクロスF』に出会ってからはハイトーンがどんどん強くなって。そういった意味では原点というか。自分の得意なところで作りました。
──レコーディングはいかがでしたか。
May’n:実は『15Colors -soul tracks-』をディレクションしてくださったスタッフさんは、15年前の私のデビュー当時のディレクターさんなんです。
デビュー前の中学生の時からお世話になっていて。私は安室奈美恵さん、ジャネット・ジャクソンをよく聴いていて。「音楽がすごく好きなんですけど、洋楽はジャネットくらいしか分かりません」という感じだったんですが、そのディレクターさんがソウル、R&Bの曲を毎週渡してくれて。頂いた音楽を聴きながら東京と名古屋を新幹線で往復していました。
──めちゃくちゃいい話じゃないですか。
May’n:そうなんですよ。アレサ・フランクリンとかを中学生に聴かせるっていう(笑)。
──それは渋い。刺激的ですね。
May’n:そうなんです。それでソウルやR&Bをより好きになっていって……。今回、久しぶりにガッツリご一緒させていただき、今度はプレイリストに変わって。プレイリストの交換をして「じゃあ、今May’nが好きなのってこういう感じなんだねって全体の楽曲イメージを一緒に膨らませていったんです。音楽を知ることの楽しさもアルバム全体を通して感じていました。
──これまでのMay’nさんの曲のなかでも新しい表情が多いですが、その方の影響もあったのでしょうか。
May’n:“今のソウルにしたい”って思いが強くて。とにかく自分にないものにしたかったんですよね。そのディレクターさんはソウルで熱いアーティストがたくさん所属されている事務所の社長さんなので、今のソウルにすごく詳しい方なんです。
今回はチル、カフェミュージックも多くあるんですが、そういうサウンドは詳しくなかったので、ディレクターさんにその良さを教えてもらいました。これまではアタック強めの曲が多かったので、リラックスした、あまり癖がないような曲って合うのかな?っていう不安もあったんですけど、中学時代から知ってくれてるんだから、合わなかったら「なんか違うね」って言ってくれるだろうなって。
──実際その方はなんておっしゃっていました?
May’n:「火照るわ~」って言ってました(笑)。15年前からそうだったんですけど、いい作品ができると、二人して「激火照り」とかって言ってて(笑)。15年経っても語彙力変わらず「火照るわ~」って。
──「火照るわ~」(笑)。二人の信頼関係が伝わってきて和みます。
May’n:そういう安心感、信頼感があるなかで、楽しみながら新しい音楽に挑戦させてもらえたなって。今振り返っても楽しい制作だったなって思ってます。
──ジャケットのイラストが電車のワンシーンに見えてきました(笑)。カフェだと思うんですが。
May’n:(笑)。ジャケットはいちご飴さんという方がステキな絵をかいてくださって。pixiv(ピクシブ)などで、自分のイメージに合う方を探していたんです。いちご飴さんは、センチメンタルな気持ち、前向きな気持ちを全部表現してもらえるかただなと思ってお願いしました。