削ぎ落とすことでこだわり抜いた、今作ならではの“音楽”と“音”――アニメ映画『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION スターゲイザー』村山公輔監督 インタビュー
2020年11月27日(金)から劇場上映がスタートした『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION スターゲイザー』。
本作は、『グリザイアの果実・迷宮・楽園』のグリザイア三部作につづく、正当な後継シリーズとして作られたグリザイアシリーズ最新作『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION』(以下、『ファントムトリガー』)の第3話。2人の狙撃手・トーカ(CV.佐倉綾音)とグミ(CV.三森すずこ)にスポットを当て、特殊任務を遂行する超法規的組織・SORD(ソード)のメンバーたちの物語が、美麗な映像とともに描かれます。
アニメイトタイムズでは本作の劇場上映を記念して、スタッフやキャスト陣にインタビューを実施。今回は、第1話&第2話では副監督、そして本作で監督(絵コンテ・演出なども担当)を務める村山公輔さんにお話をうかがいました。
ストーリー
特殊技能訓練校・美浜学園の狙撃手トーカは、民間委託型工作諜報員育成機関SORDのメンバーたちと共に聖エール外国人学校との海外合同合宿のためフィリピン離島へと向かう。
しかし武器密造組織壊滅を目的とした極秘作戦の”トラブル”に巻き込まれ、聖エールの脱走者グミを追う作戦に参加することに。
任務に際しトーカは、両親との記憶や、昔の友人・シホとの果たされることのなかった約束と邂逅し、グミの境遇に想いを馳せる。それぞれの思惑が交差する中、トーカの導き出した答えとは――?
個性豊かで“立った”キャラクターが作品の大きな魅力
――いよいよ上映開始となりましたが、今の率直な気持ちをお聞かせください。
村山公輔監督(以下、村山):今は真っ白な状態です(笑)。納品が終わって初号のチェックも終わり、次に切り替えていく充電期間という感じですかね。
――村山監督と『グリザイア』シリーズとの出会いは、『グリザイアの楽園』のBlu-ray特典映像に携わられたのが最初なのでしょうか?
村山:はい。Blu-rayの特典映像として、ちょっと時間がない中でなんとかやってもらえないかと話をいただいたのが最初となります。
――それまでは、原作のゲームも含めて携わったことはなかったと?
村山:ないですね。原作のゲームを作られているフロントウイングさんについては、こういう作品を出したところだな……くらいの情報はありましたけど、『グリザイア』シリーズに関しての前情報は持っていなくて。
『グリザイア』のプロデューサーとお会いして、そこでいろいろな資料を提示していただき、やってみますかとお話を受けた流れですね。
――特典映像から参加することは珍しいのでしょうか?
村山:珍しいんじゃないですかね(笑)。ただ、お話をいただいたのは特典映像ですけど、(話をいただいた後に)本編のヘルプというか、1、2話だけ本編でも作画のお手伝いをさせていただいています。
TVアニメのスケジュールはタイトなので、映像特典は本編と別のラインで走らせることがあって、そこに自分がハマった感じですね。
――天衝さんともそこで初めてお会いしたと。
村山:そうですね。(特典映像で)自分的には結構好き勝手にいろいろやらせていただいたので、次は声がかからないかなと思っていたんですよ(笑)。
でも、意外と気に入っていただけたらしく、『ファントムトリガー』を制作しているバイブリーアニメーションスタジオを新しく立ち上げる時に、声をかけていただきました。
――前作では副監督、本作では監督を務められているわけですが、村山監督から見て『ファントムトリガー』の魅力はどこだと感じていますか?
村山:基本的に、アニメーションはキャラクターが強くないといけないと思うんです。『グリザイア』シリーズはそれぞれのキャラクターがすごく立っていて、一見バラバラなキャラクターが美浜学園という中でまとまっているんですよ。
(学園の)設定としては少し馴染みがない、殺し屋養成所といいますか特殊技能訓練校ではあるんですけど、キャラクターが個性豊かですごく入りやすいですよね。そういうところが、すごく魅力的な作品なのかなと思います。
――監督はこれまで作画や原画も多く手掛けられてきました。その視点で、より具体的に『グリザイア』のキャラクターに魅力を感じる部分もあったりしますか?
村山:確かに、自分は作画がスタートではあるんですけど、絵だけを描くのは苦手なんですよ。やっぱりお話や伝えたいものがあった上で、それを伝えるために描き起こす“手段としての絵”であって、絵ありきじゃないんですよね。
この作品において、このキャラクターはどういう存在で、どういう表現をしなきゃいけないか……そっちを見てしまうので、絵だけをピックアップしてどうこうというのは本当にないんです。
――確かに、演出も携わられていますし、それらも含めてという感じなのですね。
村山:はい。そうなんですよ。