『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-前編Wandering; Agateram』坂本真綾さん&川澄綾子さんインタビュー|『独白』誕生の裏側から、サーヴァントを演じ分ける苦労話も
『FGO』との5周年を振り返って
――今年、『FGO』は5周年という区切りを迎えましたが、お二人にとって『FGO』との5年間というのはいかがでしたか?
川澄:あっという間でした。『Fate』シリーズとしても15周年を迎えましたが、アプリゲームという移り変わりの早いジャンルでの5周年もすごいことで、しかもそれが今も広がり続けているのが『Fate』シリーズなんですよね。
『Fate/stay night』で生まれた英霊召喚システムが、スマートフォンのアプリと組み合わさることで、ここまで広がりを見せるのにも驚かされましたし、『Fate』シリーズには可能性がまだまだあるということを示し続けてくれた5年間だったと思います。
坂本:私にとってもあっという間の5年間でした。東京ドームでの5周年イベントが中止になってしまったのは残念でしたが、とにかく盛り上がりが留まることを知らない作品ですよね。
今もユーザーさんの数もどんどん増えていく中、ゲーム自体が一緒に進化していくのもアプリゲームの特徴だと思うのですが、奈須さんを始めとする作り手の方々にとっては、常に期待に応え続けなければいけないということでもあり、本当に大変なお仕事だなと。
毎年行われている、関係者の方々を労うパーティにお邪魔させていただくことがあるのですが、その度に、こんなにも大勢の方が関わって1つのゲームを作っているんだということ、『FGO』が続く限り、この方たちの旅にも終わりがないんだと改めて感じています。
やっぱりユーザーの皆さんとしては「早く次が見たい」と思っていると思うんですけど(笑)、その期待を裏切らないために、今も皆さんが頑張ってくれているところなので、もうちょっと待ってあげて欲しいなと。
私は声優と歌手として、少しの部分にしか携われませんが、その一端に参加させていただける限りは、これからも一緒に『FGO』を盛り上げることができればいいなと思っています。
――5周年イベントは中止になってしまったのですが、坂本さんは生配信という形でライブも行われていましたね。
坂本:コロナ禍が続く中だったので、あの時は私にとっても歌うということ自体が久しぶりでした。無観客でのライブということで寂しさもあったのですが、生の音楽を久々に浴びられたことが自分でも嬉しかったですし、本当にたくさんの方が見て下さって。
コロナでなかなか外出ができない中でも、ああいった形で皆さんに何かを届けることができる時代になったんだと改めて思いましたね。
――最後に、『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-前編Wandering; Agateram』の見どころをお願いします。
川澄:第六章、とくに前編は、一見救いがないと思えてしまうような辛い物語になっているのですが、そもそもの『Fate』シリーズが、救いがないような過酷な展開の中、生き続ける人間の強さを描いた作品だと私は思っていて。この作品も、ベディヴィエールの過酷な旅を追体験できる内容になっています。
これは第七章もそうだったのですが、町の人々の営みも含めて、英雄が生きていた時代がすごく丁寧に描かれているんです。それぞれの生活を守るために皆が頑張っていることも感じられると思うので、華やかな英雄の後ろに隠された、普通の人々の物語にも注目していただければと思います。
坂本:一度は公開が延期になってしまい、歯がゆい気持ちをされていた方も多いと思いますが、そんな作品がついに公開されるということがまず嬉しいです。まだ私たちも完成した映像は見られていないのですが、図らずとも延期によって、よりクオリティの高い作品に仕上げるために時間が費やされたのではないかと、私自身も期待しています(笑)。
前編なくして後編はないので、まずは前編を楽しんでいただきたいのですが、対になっている後編への期待も膨らませつつ、前編の余韻も含めて、長いスパンで作品を楽しんでいただければと思っています。
――ありがとうございました。
[取材・文 / 米澤崇史]
作品情報
『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-』前編 Wandering; Agateram/後編 Paladin; Agateram
■公開日
前編 Wandering; Agateram 2020年12月5日(土)公開
■INTRODUCTION
2004年にTYPE-MOONが発売したPCゲーム「Fate/stay night」を発端に、壮大なスケールの世界観と重厚な物語が呼ぶ感動がファンを増やし続けてきた「Fate」シリーズ。
そこから2015年に生まれたゲーム「Fate/Grand Order」も、今や全世界で5400万ダウンロードを突破。現在進行形でさらなる世界の広がりを見せている。
そんなゲームの中で、全体構成を担当する奈須きのこが自らシナリオを担当し、プレイユーザーの中でも人気のエピソード・第六特異点が「Fate/Grand Order」初の劇場アニメーション化。物語の核心に迫るエピソードが、美しく、悲壮に描かれることになる。
気鋭とベテランの調和したスタッフ陣として、監督は前編を末澤慧、後編を荒井和人が務め、キャラクターデザインに細居美恵子、黄瀬和哉、温泉中也らが名を連ねる。前後編の重厚さをもつアニメーションは、SIGNAL.MDとProduction I.Gが制作。
ここに物語は新たに描かれ、再び心を交わす。
■STORY
遍歴の騎士、ベディヴィエールが辿り着いた旅の果て―。
そこは西暦1273年のエルサレム。
かつての祈りの地は砂の大地と化し、民は住処を追われ三つの勢力が対峙する不毛の地。
聖都、そして獅子王の命(めい)を守るべく集結した「円卓の騎士」。
領地ごとこの地に召喚されるも、静かに現状打破を狙う「太陽王・オジマンディアス」。
土地を奪われた民を守り、叛逆の機会を待つ「山の民」。
己の成すべきことを果たすため、獅子王が統治する“聖都”を目指すベディヴィエールの前に現れたのは
人理を修復すべくこの地を訪れた人類最後のマスター・藤丸立香とデミ・サーヴァントのマシュ・キリエライトであった。
ベディヴィエールは藤丸たちと共に、最後の探索へと歩み出す。
■前編Wandering;Agateram 本予告映像
■前編 Wandering; Agateram STAFF
原作 奈須きのこ/TYPE-MOON
リードキャラクターデザイナー 武内崇
監督 末澤慧
脚本 小太刀右京
キャラクターデザイン 細居美恵子・黄瀬和哉・温泉中也
サブキャラクターデザイン 乘田拓茂・山本彩
総作画監督 黄瀬和哉
プロップデザイン 吉田大洋・原由知
美術設計 小木斉之・イノセユキエ
コンセプトアートデザイン coralie nagel・竹内敦志
美術監督 甲斐政俊・中村豪希・若松栄司
色彩設計 関本美津子
撮影監督 田中宏侍
3DCG レイルズ
3Dディレクター 三階直史
編集 濱宇津妙子
音楽 芳賀敬太・深澤秀行
音響監督 明田川仁
制作 Production I.G
アニメーション制作 SIGNAL.MD
配給 アニプレックス
主題歌 坂本真綾 「独白」(フライングドッグ)
■CAST
ベディヴィエール 宮野真守
藤丸立香 島﨑信長
マシュ・キリエライト 高橋李依
レオナルド・ダ・ヴィンチ 坂本真綾
獅子王 川澄綾子
ガウェイン 水島大宙
モードレッド 沢城みゆき
ランスロット 置鮎龍太郎
トリスタン 内山昂輝
アグラヴェイン 安元洋貴
オジマンディアス 子安武人
ニトクリス 田中美海
玄奘三蔵 小松未可子
アーラシュ 鶴岡聡
呪腕のハサン 稲田徹
静謐のハサン 千本木彩花
ロマニ・アーキマン 鈴村健一