【BLのことさらに知ってみませんか?】オメガバースの基本知識からBLの時流に乗ろう!の巻 【アニメイト編集部BL塾・応用編】
日ごとに寒さが増してくる今日この頃。2020年も残すところ1ヵ月となってきました。8月に開校した「アニメイト編集部BL塾」も、あっという間に第4回の開校です。引き続きフリーライターの阿部が先生役、編集部員・石橋さんが生徒役となり、BLの世界をご案内します。
前回は令和最前線の「受け事情」についてお話しました。BLへの好奇心が加速した生徒役の石橋さん、なんと7作品もの読書感想文を書く結果に。着々とBL沼に沈んでいる石橋さんを横目に、先生役の私は「計画通り」としたり顔でございます。読者のみなさんも少しずつBLへの理解が深まっていたら嬉しいなという気持ちです。
今回は、近年商業BLで作品数が増加傾向にある「オメガバース」というジャンルについて講義を進めていきます。BLをお好きな方はすでにご存知かと思いますが、「なんのこっちゃ……」「名前は聞いたことあるけどイマイチ分からない……」という方も多いのではないでしょうか。そこで「オメガバースの基本設定」や「オメガバースの歴史」など、基本的な知識をお伝えしていきます。
商業BLでは専門のレーベルが立ち上がるほど、人気上昇中の「オメガバース」。本講義で理解を深めて、ほんのちょっぴりBLの時流に乗ってみませんか?
では、早速講義スタート!
※BL事情は諸説あるため、本企画には個人的見解も含まれています。
●阿部裕華
フリーのライター。本企画の助っ人。石橋さんの飲み友達。BL愛好歴15年。『好きなものは好きだからしょうがない‼』に衝撃を受け、BLへ沼落ち。黒髪メガネ受けが登場する商業BLマンガは一通りチェックする。今回の先生役。
●石橋悠
アニメイトタイムズの編集部員。HIPHOPと百合と某王国を愛する。アニメ化したBL作品などを少し見てはいるが、ズブの素人と言っていいレベル。今回の生徒役。
連載:BL塾
アニメイトタイムズで連載中の「BL塾」が書籍化決定! 表紙イラストは森下suu先生! 書き下ろしを含めた決定版です! アニメイト特典は表紙イラストのカラーペーパー!連載バックナンバー
画像をクリックすると、関連記事にとびます。前回のおさらい
阿部:嬉しいことに、あっという間に第4回となりました。本日もよろしくお願いします!
石橋:センセイ、よろしくお願いします!
前回は受けについてでしたけど、たしかにセンセイが言うように受けはわりとテンプレートがはっきりしている印象でした。安定した受けがいるおかげでBLというジャンルが盤石になっているのかなと感じています。
阿部:わかる……。しかも宿題では7冊も読んでいただいて(笑)。お好きな作品はありましたか?
石橋:どれもおもしろかったです! 特に『86万円の初恋(※1)』。マジでよかった……(語彙力)。センセイ、ありがとうございます。今回宿題で上げたラインナップの中で1、2位を争うくらい好きな作品ですね。何回も読み返しました。
※1:86万円の初恋
三交社にて刊行されたロッキーさんの漫画作品。地味で寡黙な図書館司書・喜屋武真理が偶然出会った美しい男・佐藤陽。佐藤が着ていた86万円の上着にコーヒーをこぼしてしまったことがキッカケで、真理の家に居候し始めることに。二人の不思議な共同生活が始まる。
阿部:よかったー!(拍手)性描写はあるもののプラトニックな部分が強い作品だから、百合好きの石橋さんにはピッタリかと思いました。
石橋:本当にゆっくり進んでいくのがいいんですよね。精神的なエロさが垣間見える駆け引きもおもしろくて。恋愛慣れしている攻め(佐藤)が今まで出会ったことのないピュアボーイの受け(真理)に翻弄されるところがいいですね。微妙な距離の取り合い方がオシャレ。初恋なのに大人な恋愛だと思いました。
あと『黄昏アウトフォーカス(※2)』『残像スローモーション(※3)』も素敵でした。これはね、全員イケメンなのがいいんですよ。この環境の中で何も起こらないはずがない! 部活ものだから青春感がありますよね。自分も昔この熱さあったな、いいな……と思える。特に『黄昏アウトフォーカス』はね、ラストに全部持っていかれてしまう。構成の妙ですね。
※2:黄昏アウトフォーカス
講談社にて刊行されたじゃのめさんの漫画作品。男子校の寮生で2年生、映画部でカメラを担当する土屋真央。同部屋の同級生・大友寿は真央の撮影する「BL映画」の主人公を演じることになる。ただの友だちだった二人の関係が映画をキッカケに動き出す。
※3:残像スローモーション
講談社にて刊行されたじゃのめさんの漫画作品。男子校の3年生、映画部部長の菊地原仁。ナルシストだが人気者の菊地原だが、ただ一人だけ敵意を向けてくる人間がいた。同じ部活の2年生・市川義一だ。ところが、ひょんなことから菊地原と市川は寮で同じ部屋となってしまう。『黄昏アウトフォーカス』のスピンオフ。
阿部:思わず声が出ちゃいますよね、「え、えぇーー!」って。
石橋:最後が素晴らし過ぎて、1回内容が頭から吹っ飛ぶんですよ。なので、2回は読まないと駄目な作品ですね。こちらも大変素敵な作品でした。