『ローリング☆ガールズ』Blu-ray BOX ~5周年記念特装版~発売記念座談会|小澤亜李(森友望未役)×花守ゆみり(御園千綾役)×むとうやすゆき(脚本)【第1弾】
『ロリガ』を語る上で欠かせないTHE BLUE HEARTSのカヴァー
――何度か話にも出てきましたが、『ロリガ』は主題歌など、ほとんどの楽曲が、メインキャスト4人のTHE ROLLING GIRLSによるTHE BLUE HEARTSのカヴァー曲でした。ボックスには新規収録の1st SINGLE「夢」が収録されています。
花守:私は、望未と逢衣ちゃん(CV.種田梨沙)の次に録ったんですけど、前回の、ベストアルバム(『ロリガ・ロック・ベスト!~Songs of the mob,by the mob,for the mob~』/2017年)の新規収録曲「リンダリンダ」のときは、何度かリテイクをしながら録ったんですけど、今回2人の声を聴いたら、分かった!と思えて、すぐに録り終わりました。
記憶が鮮やかによみがえってきたし、この曲って、彼女たちの旅に出るときの名残惜しい気持ちと重なるところもあったんですよ。それでいて、今を生きる、どの世代の人にも寄り添える曲だなってすごく感じたんです。もともと、THE BLUE HEARTSさんの曲がそうなんですけど、THE ROLLING GIRLSの歌声も、疲れちゃったなとか、この先に悩んでいる人に、「いつか今が愛おしくなるときがくるよ」って、寄り添ってくれるものになっているんじゃないかなと個人的には思っています。
小澤:あんなに短い曲なのに、良いんだよなぁ。ちゃんと背中を押してくれるし、立ち上がらせてくれるんですよね。今まで歌ってきた曲は何度も聴いているけど、時間が経っていたので、あのときのように歌えるのかなという気持ちもあったんです。
でも、私自身が、当時歌った自分たちの曲に励まされてきたので、同じようなエネルギーを込めてレコーディングをしました。結局パッションで歌っていました(笑)。
――今回は、それぞれのソロバージョンも収録されているので楽しみです。あらためて女の子4人で歌うTHE BLUE HEARTSというのが、めちゃめちゃ良かったんですよね。
むとう:10代の後半でTHE BLUE HEARTSの1stアルバムを聴いて衝撃を受けた世代なのですが、歌詞が単純でありながら文学的で、泥臭いんだけどピュアで、当時のまだやわらかかった心にすごく刺さった。以来、たまに聴いては元気や勇気やクソ度胸をもらっていたんですけど、『ロリガ』の初期案を書いているときに、ふと「月の爆撃機」が聴こえてくる気がしたんです。
物語の最後、望未たちは旅のあとも友達づきあいをしていることが示されて終わるんですけど、当初は全員がそのまま再会することなく、それぞれの道を進んでいくイメージだったんです。「月の爆撃機」って、スタンドアローンを歌った曲である気がしていて、歌詞の最後の〈僕らの行く道は変わらない〉っていうフレーズの〈僕ら〉というのは、ひとりひとりのことなんじゃないかと個人的には思っていて。実際の作品としてはそこから離れて少しぬるめの余韻を持つ物語となり、さらに、BLUE HEARTSさんの曲をたくさん使わせてもらうことになりました。
今回「夢」をあらためて彼女たちに歌ってもらいましたが、その歌声を通して、CMで聴いたことがある曲だなとか、親父が聴いていたなっていう感じで、若い世代に届いて、今の時代の自分たちの歌になってくれたら、世代を超えた橋渡しみたいなことができたのかなって思えます。今、自分も、オジリナルよりも彼女たちの歌のほうを多く聴いているかもしれない(笑)。原曲に近いアレンジの按配も本当に素晴らしいんです。