冬アニメ『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』前世の男役・杉田智和さんインタビュー│あのとき、もしオーディションに応募していなかったら……ルーデウスに見る“あり得たかもしれない自分”
自分が“前世の男”になっていた可能性から目を逸らせない
——では、杉田さんが演じるルーデウスというキャラクター個人について、もう少し深く伺いたいと思います。彼のモノローグや内面を演じるにあたり、特に意識した点などはありますか?
杉田:彼は常に矛盾を抱えている男なんですよ。分かってほしいけど、話しかけてほしくない。人一倍同情してほしいし認められたいのに、同情してほしくないし認めてほしくない。人の社会から排斥されて、人間不信に陥っているんです。
——正直、その気持ちはすごく理解できてしまいますね。自分が前世の男と同じ境遇にならなかった、と断言できる人は少ないんじゃないかと思います。
杉田:だからこそ、最初の印象が“恐怖”なんです。僕だって、あの時にボイスアニメージュのオーディションに応募していなかったら、あの時に親父が「ワケのわからんツアーに行くな」と死ぬ気で止めてきたら、あの時に大学に受かっていたら、好きな娯楽にゲームを選ばなかったら……。こうやって“もし”を考えると、どこで前世の男ルートに入ってもおかしくない人生だったんですよ。
——なかなか完璧な答えを見出すのは難しい部分かとも思うのですが、ルーデウスのような人間との接し方に正解はあるのでしょうか。
杉田:その本人が自発的に行動できるように、色々な選択肢を見える範囲に置いておくことじゃないかな。かつて「ひきこもりの子供に励ましの声を」って仕事が来たことがありましたが、僕は請けませんでした。どんな意図があれ、直接的な指図を受けて起こした行動は本人のものじゃないと思ったからです。
もし僕が影響を与えるとしたら「出演したアニメやゲームで何かを感じ取って行動を起こす」という形の方が、まだ良い影響を与えられる可能性が高いんじゃないかと思います。
——その姿勢は、かつて引きこもりだった主人公を演じるにあたっても重要になってくると。
杉田:そうですね。寄り添いすぎず、かといって離れすぎず。自分で未来を描けるような“前向きな余白”をもった適正距離を作らなきゃいけません。ルーデウスが転生後の世界で前向きに生きていけるのは、この余白がきちんと物語の中で描かれているからなんですね。そこは、きちんと意識して演じています。
——ありがとうございます。では最後に、本作の放送を待っているファンの皆さんへのコメントをお願いします。
杉田:前世の男としての言葉と考えると、いつも以上に難しいですね。あいつ、世の中に言いたいこととかあるのかな……。多分あるんだろうけど、言わせるのは本人にとっても苦になるだろうし。
きっと前世の男なら「見てくれ」とは言えないと思いますが、皆さんは見てください。彼に対する適正距離を見つけながら、優しい目で見てあげてください。そういう人が1人でもいれば、僕は幸せに思います。
[取材・文・撮影/杉浦諒]
TVアニメ『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』作品概要
放送表記
2021年1月10日(日)放送開始
TOKYO MX毎週日曜24:00 サンテレビ 毎週日曜 24:30
KBS京都 毎週日曜 24:00 BS11 毎週日曜24:00
■dアニメストア、ニコニコにて地上波同時配信!他 配信サービスでも1月16日(土)正午より順次配信予定
dアニメストア:https://anime.dmkt-sp.jp/animestore/CQ/notice-5444
ニコニコ:https://anime.nicovideo.jp/detail/mushokutensei/index.html
イントロダクション
2012年から小説投稿サイト「小説家になろう」で連載が開始されて以来絶大な人気を誇る“なろう系ラノベのパイオニア”『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』がTVアニメとなって2021年放送決定!
理不尽な孫の手の著による本作は、多くの作品が生み出されている「異世界転生系ラノベ」「なろう系小説」のまさに先駆者的作品であり、幅広いファンを獲得している当ジャンルの代表作。
働きもせず他人と関わりもせず、ただ部屋に引きこもってゲームやネットに明け暮れるだけの34歳のニート男が、ある日交通事故に遭い死亡…したと思った次の瞬間、剣と魔法の異世界に生まれたばかりの赤ん坊として転生! 少年ルーデウスとして生まれ変わった男が、前世の記憶と後悔を糧に、出会いや試練に直面しながら「今度こそ本気で生きていく」姿と壮大な冒険が描かれる大河ファンタジー。
アニメーション制作は「スタジオバインド」。『Re:ゼロから始める異世界生活』や『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』などのヒット作の制作をしてきたWHITE FOXと、『ソードアート・オンライン アリシゼーション』のプロデュースなど数々のアニメ企画に携わるプロデュース会社EGG FIRMがタッグを組んで、『無職転生』制作にあたって新たに設立したアニメ制作会社となる。
そして監督は、『ゲーマーズ!』の監督や『アイドルマスター シンデレラガールズ』『Re:ゼロから始める異世界生活』などで演出を務めてきた気鋭のクリエイター・岡本学。キャラクターデザインは『ダーリン・イン・ザ・フランキス』『空の青さを知る人よ』で作画監督を務めた杉山和隆。そして音楽は、『ラブライブ!』や『宝石の国』など数々のアニメ作品の劇中曲を手掛けてきた藤澤慶昌が務める。2021年、TVアニメ『無職転生』がいよいよ本気をだす!
ストーリー
「俺は、この異世界で本気だす!」
34歳・童貞・無職の引きこもりニート男。両親の葬儀の日に家を追い出された瞬間、トラックに轢かれ命を落としてしまう。目覚めると、なんと剣と魔法の異世界で赤ん坊に生まれ変わっていた!
ゴミクズのように生きてきた男は、少年・ルーデウスとして異世界で本気をだして生きていく事を誓うー!
ルーデウスを待ち受けるのは、ロリっ子魔術師、エルフ耳のボクっ子幼馴染、凶暴ツンデレお嬢様、そのほかの様々な人間との出会い。そして過酷な冒険と戦い。新しい人生が動き出す!
スタッフ
原作:理不尽な孫の手(MFブックス/KADOKAWA刊)
キャラクター原案:シロタカ
原作企画:フロンティアワークス
監督・シリーズ構成:岡本 学
助監督:平野宏樹
キャラクターデザイン:杉山和隆
サブキャラクターデザイン:齊藤佳子
美術監督:三宅昌和
色彩設計:土居真紀子
撮影監督:頓所信二
編集:三嶋章紀
音響監督:明田川仁
音響効果:上野 励
音楽:藤澤慶昌
テーマソングプロデュース・歌唱:大原ゆい子
プロデュース:EGG FIRM
制作:スタジオバインド
キャスト
ルーデウス・グレイラット:内山夕実
前世の男:杉田智和
ロキシー・ミグルディア:小原好美
エリス・ボレアス・グレイラット:加隈亜衣
シルフィエット:茅野愛衣
パウロ・グレイラット:森川智之
ゼニス・グレイラット:金元寿子
リーリャ:Lynn
ルイジェルド・スペルディア:浪川大輔
公式サイト
公式Twitter(@mushokutensei_A)