劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」松岡禎丞さんインタビュー|難しさを感じたエリオスの「乙女よ……」というセリフ
ずるい真似はしたくなかった
――今回の劇場版は前編と後編に分かれていますが、後編でエリオスがどのような存在なのか明らかになっていきます。お芝居でもその点は意識されましたか?
松岡:前編では、「後編に向けて(自分の正体を)匂わせていこう」ということは基本的にしませんでした。「ここは匂わせられるかも」と思った部分もありましたが、実際に現場で(他キャストの方たちと)掛け合いをさせていただいたときに「そんなずるい真似はしたくない」と感じたんです。
その世界で生きているキャラクターたちはこれからどうなるのか知りませんし、1秒後に何が起きるのかわからない世界で彼らは生きているのでそこは自然に演じて、あとは、スタッフの皆さんに判断をお任せしました。
――現場でディレクション等はありましたか?
松岡:ディレクションはあまりありませんでした。自分で考えていたもの、現場で感じたもので第一声を発してみたら「そのままでいいよ」と言われて本番に臨みました。
難しい言葉やセリフもすごく丁寧に大事にしようと思いましたし、くどくなく柔らかく演じるように意識していたので、考えていなくても頭にキャラクターが入ってくるような感じでした。
――お気に入りのシーンや注目してほしいシーンがあれば教えてください。
松岡:まもちゃんのところへ看病しに行くうさぎ(スーパーセーラームーン/月野うさぎ)のシーンです。シリアスめな話ではありますが、この2人がどのようになっていくのか注目していただきたいです。
あとは、エリオスとちびうさの関係性も今後どうなっていくのか……後編をご覧になる方はびっくりされると思います。
登場するキャラクター1人1人の人間関係がすごく緻密に丁寧に描かれているので、見どころは全部と言いたいくらい、飽きさせない内容になっています。
松岡さんが好きなキャラクターは……
――松岡さんが最初に「美少女戦士セーラームーン」に触れたのはいつでしたか?
松岡:幼稚園の頃だったと思います。友達の家に遊びに行った時、その子の家で「美少女戦士セーラームーン」を見て、「はぁ~!!(歓喜)」となりました(笑)。
男の子から見ても革新的なアニメでしたし、観た人は全員誰かに一目惚れをするんですよね。ちなみに、観せてくれた友達はうさぎと結婚すると言っていました。
一同: (笑)。
――松岡さんはキャラクターの中で誰が好きですか?
松岡:僕はセーラーヴィーナス(愛野美奈子)です。僕にとってとても大きな存在で、僕、髪の長い女性が好きなんです。
さらに金髪でお姫様感が強く出てくるというか。それがガチッと自分の深層心理に組み込まれました。ただ、(大人になった)今は、金髪は派手すぎると感じるので茶髪までが良いです(笑)。
――ちなみに、うさぎちゃんも金髪でロングです!
松岡:うさぎは純粋に可愛く感じます。一方、セーラーヴィーナスは女神様のような感じ。ただ、ここで問題が1つありまして……。
――何でしょう!?
松岡:うさぎがお団子をほどくと良いなぁ〜と思うんです(笑)。
現場にいたスタッフ一同: (笑)。
松岡:やっぱりギャップがあると惹かれますね。
――ギャップといえば、エリオスもペガサスから人間になるところはずるいですよね。
松岡:確かに! 現実的に考えると、自分たちが生きている世界でエリオスみたいな人がいたら、男女問わずに憧れの象徴になるような感じがします。僕にとっても、「こんな人になりたい!」と思える理想の存在です。
――そう思える理由とは?
松岡:コミュニケーション能力はもちろん、1番は誰に対しても平等に接するところです。僕は誰かと仲良くなるまでに2年はかかってしまいます。
たとえば、自分の中で苦手な人や好きな人はいると思うんです。そこが結構難しいところで、自分は好きな人から話しかけられると逆に緊張して話せなくなってしまう。
そこがエリオスにはまったくないんです。そういう概念を通り越して、1人の人として接してくれるところは、本当に“天使”だなと。悪には絶対に屈さない強い気持ちを抱いている姿も憧れる部分です。