TVアニメ『魔術士オーフェンはぐれ旅 キムラック編』クオ役・杉田智和さんインタビュー|森久保祥太郎さんと作品で戦う高揚感とプレッシャー
オーフェンの強さは試練を乗り越えてきたからこそ
――オーフェンというキャラクターについての印象と、20年以上演じ続けている森久保さんについてどう思われますか?
杉田:オーフェンだから許されるという領域に入っているなと。オーフェン本人しか似合わない戦い方やファッションなど、彼だからこそという唯一無二性を持っている主人公だなと思います。
皮手袋に赤いハチマキってなかなかいないですよね。コスプレショップでオーフェンの衣装を見て、「これが似合う人っているのかな」と思いながらラジオの収録に行ったら「1人いたわ。ここに」と思ったことを覚えています(笑)。
森久保さんは主人公として視聴者を作品へ自然と導いてくれるような雰囲気を出せる人であり、アニメの世界に、音楽性やスタイリッシュさを違和感なく持ち込める稀有な存在だと思います。
――バトルシーンが本作の見どころの1つですが、どのようなことを意識されたのでしょうか?
杉田:息遣いを多く入れると弱いキャラに聞こえてしまうし、どういう戦い方をして、力の頂点がどこにくるのかを自分の中で組み立てながら演じました。
――PVでもオーフェンとの対決シーンがありましたが、本編ではどんな想いで掛け合いをされたのでしょうか?
杉田:分散しての収録でしたが、オーフェンと激突するシーンは森久保さんと一緒に録らせてくださいとお願いしました。
実際に戦ってみて、オーフェンの強さは単純で物理的なものではなく、様々な試練を乗り越えてきたから備わったものであり、彼を倒すためには普通の戦い方ではダメなんだろうなと。その言葉の意味は本編を観て、ご確認ください。
――収録現場の雰囲気はいかがでしたか?
杉田:誠実に収録しているので現場の雰囲気は割と地味です(笑)。収録でよく一緒になったのはアザリー役の日笠陽子さんでしたね。彼女は真面目で求心力のある女優さんなので、一緒に録れて嬉しかったです。
おもしろいエピソードは特にないんですけど、ある日の収録でスタジオの階を間違えてしまったんですが、別の作品の収録をしていたようで、顔見知りのマネージャーさんから「あら、杉田さん」と声を掛けられました。
その時とっさに「僕もこの作品に出たいです」と言ったら「ダメです」と一蹴されました。「●●さん(『オーフェン』で共演中のあるキャストさん)も出ているじゃないですか!?」と食い下がったんですけど、「ダメです!」と二度お断りされたくらいでしょうか(笑)。
――(笑)。映像はご覧になられましたか?
杉田:収録の際にはほぼ絵が完成している状態だったので嬉しかったです。でも収録時はまだSEが入っていないんですよね。
『オーフェン』は絵と同じくらい音も重要な作品だと思っています。最初のTVシリーズも音楽がすごく印象的でしたが、今回は制作が変わったことで、音楽も一新していますね。でもまったく違和感がないし、森久保さんが魂を込められているので、約20年という時の流れや変化も感じなくて。
これはオーフェンは最初のシリーズからずっと成長を続けていることの証明でもあるのではないかなと思っています。
――皆さんへのメッセージをお願いします。
杉田:挫折や清濁を全て受け入れて強くなる姿が洗練して見える人って少ないと思うんですが、それを可能にしているのがオーフェンであり、森久保さんのお芝居だと思っています。
今作では、オーフェンの挫折と、それを乗り越えて成長する様子が描かれているので必見ですよ! クオについては最後まで観ていただけたらどんな男なのか、わかっていただけると思います。
自分が最初のアニメシリーズを観た時に感じた、オタクに寄り添ってくれるオシャレと音楽を、このシリーズでも変わらずやってくれていたらいいなと思っていました。収録の時は音楽が入っていなかったので、この取材の時点では完成した映像はまだ観ていないんです。だから自分もオンエアがとても楽しみです。
そして、主人公を演じる森久保さんが歌う「LIGHT of JUSTICE」にどんな映像がついて、どんなOPになるのかにも期待しています。
[取材・文・写真/永井和幸]
『魔術士オーフェンはぐれ旅 キムラック編』作品情報
イントロダクション
この冬、“あの男”が帰ってくる―。
1994年に第1巻が発売され、シリーズ発行部数は累計1,400万部(電子書籍を含む)を突破するシリーズ生誕25周年を迎えたダークファンタジーのライトノベルマスターピース!
2020年1月にアニメ復活を果たしたオーフェンが、2021年に更なる追加キャラクター、追加キャストを加えパワーアップし再び帰ってくる!
今回の舞台は、魔術士の根絶を教義とするキムラック教の「聖都」キムラック―。
オーフェンはアザリーとの決着をつけるため、アザリーは、師・チャイルドマンの意志を継ぐべく、世界の秘密を求めキムラックを目指す。
しかし、彼らの前には<死の教師>との壮絶な戦いが待っていた。
キムラックで明らかになる、世界の隠された秘密とは
そして、正当なる魔術士の後継者はいったい誰なのか!?
謎が謎を呼ぶ壮大なストーリー、バトル全開の第2章スタート!
ストーリー
最強の魔術士、再び。
「私と決着をつけたけいのなら、キムラックに来なさい」義姉・アザリーの残した言葉を追って、オーフェン 達は魔術士と激しい対立を続けるキムラックへと向かう。
突如、悲鳴が聞こえ駆けつけると、おびただしい死体の山の中、果敢に敵と戦う女剣士メッチェンと遭遇する。
オーフェンは彼女に加勢するのと引き換えに、キムラックへの案内を依頼する。
敵を壊滅し、やがてキムラックにたどりついたオーフェン達を待ち受けていたのは、クオを首長とする魔術士の暗殺を担う≪死の教師≫たちだった。オーフェンが最後にたどり着く《天使と悪魔の真実》とは。アザリーがこの地に誘った本当の意味とは?
様々な思惑が交錯し、壮大な物語が動き始める!
キャスト&スタッフ情報
【キャスト】
オーフェン:森久保祥太郎
クリーオウ:大久保瑠美
マジク:小林裕介
アザリー:日笠陽子
メッチェン:鬼頭明里
サルア:下妻由幸
ラモニロック:宮内敦士
クオ:杉田智和
カーロッタ:坂本真綾
ラポワント:小西克幸
ネイム:子安武人
イスターシバ:井上喜久子
アナスタシア:平山笑美
ボルカン:水野まりえ
ドーチン:渕上 舞
チャイルドマン:浪川大輔
【スタッフ】
原作:秋田禎信(TOブックス刊)
原作イラスト:草河遊也
監督:浜名孝行
シリーズ構成:吉田玲子
キャラクターデザイン:菊地洋子 りお
色彩設計:桂木今里
美術監督:荒井和浩
撮影監督:近藤慎与
CG監督:花見美洋
音響監督:平光琢也
音楽:Shinnosuke
音楽制作:ランティス
編集:小野寺桂子
オープニング主題歌:「LIGHT of JUSTICE」森久保祥太郎(ランティス)
エンディング主題歌:「操り人形クーデター」渕上 舞(ランティス)
プロデュース:GENCO
アニメーション制作:スタジオディーン
「魔術士オーフェン」とは?
1994年から2003年にかけて『はぐれ旅』全20巻、『無謀編』全13巻の計33冊が富士見ファンタジア文庫より発売され、累計1,400万部(電子書籍を含む)を突破。2011年には『はぐれ旅』の続編となる新シリーズが、出版元をTOブックスに移して再スタート。同時に旧シリーズ(『はぐれ旅』『無謀編』)も新装版として復刊され、新装版の発行累計は60万部を突破している。
第一巻が発売された1994年はまだライトノベルというジャンルが定着しておらず、『指輪物語』『ダンジョンズ&ドラゴンズ』といった王道、正統派ファンタジーから、時にコミカル、時にシリアスな要素を加え、現在のライトノベルというジャンルそのものを定義させた作品。
破天荒なキャラクター、中二病的な設定、ギャグテイストあり、シリアス路線ありの語り口でファンを魅了し続け、シリーズ発行部数は累計1,400万部(電子書籍を含む)を突破する大ヒットを記録。1998年と1999年に、二度のアニメ化をはじめ、CD、ゲームなどで大規模なメディアミックスが行われ一大ブームとなったライトノベルの金字塔的作品に位置する。
原作本情報
ただ今、文庫「魔術士オーフェンはぐれ旅 プレ編1」、「魔術士オーフェンはぐれ旅 プレ編2」、
単行本「魔術士オーフェン アンソロジー」、「魔術士オーフェンはぐれ旅 コミクロンズ・プラン」、コミカライズ「魔術士オーフェンはぐれ旅 プレ編 第1巻(コロナ・コミックス)」、「魔術士オーフェンはぐれ旅 プレ編 第2巻(コロナ・コミックス)」「魔術士オーフェン 無謀編 第1巻(コロナ・コミックス)」、「魔術士オーフェン 無謀編 第2巻(コロナ・コミックス)」、「魔術士オーフェン 無謀編 第3巻(コロナ・コミックス)」、「魔術士オーフェン 無謀編 第4巻(コロナ・コミックス)」、「魔術士オーフェン 無謀編 第5巻(コロナ・コミックス)」、小説「魔術士オーフェンはぐれ旅(ハーティアズ・チョイス)がTOブックスより好評発売中!