声優・吉野裕行さんフルアルバム『カタシグレ』インタビュー｜ジャケットは漫画家・篠原健太さん、MVにはThe Sketchbook、『SKET DANCE（スケット・ダンス）』の縁も感じられる初のフルアルバムに

「Resisting」は永遠の反抗期をジャズ風に。「雨のアルペジオ」では雨のように強い闘志を

――9曲目の「Resisting」はブラスとギターが効いたジャズテイストのロックで。

吉野：ジャズっぽい雰囲気の曲ですが、元々、僕の中にイメージがあって、その曲は女性が歌っていましたものを作曲の睦月(周平)さんが男性っぽくしてくれました。僕からはタイトルを提示しつつ、僕が「いくつになっても永遠に反抗期なんですよ」とお話したことから大森さんが歌詞にしてくれましたが、どちらかといえばグチっぽいですね。文句をいいながらも、抗って進んでいく部分を出せたらいいなと思っていましたが。そのイメージ通りで。ほぼリテイクなしでした。

――10曲目の「雨のアルペジオ」はブラスやピアノの美しいメロディに、「不協和音よ 響け」や「魂枯れるまで届けるよ」など、熱い歌声と歌詞で。

吉野：この曲も最初にタイトルだけ決めて、(宮崎)誠さんにお願いしました。「僕がギターを弾くこともあるからアルペジオ(和音ではなく、1音ずつ低いほうから弾いていくギターの演奏法)のような曲をやりたいんです。僕のイメージは雨のアルペジオなんです」とプロデューサーに話していて、それで発注しましたがアルペジオの曲でと伝えてなかったので、上がってきた曲を聞いたら「全然アルペジオじゃない！」と。でも、メロディがオシャレだったし、歌詞もいつものように僕が好きな言葉を入れてくれていたので、OKしました。誠さんからは「パッとしない中年男性が深夜に強い雨が降っているように、力強さや闘志を感じているようなイメージで作りました」というメッセージをいただきました。

篠原健太さん描き下ろしの豪華盤ジャケットはボッスンを彷彿とさせるイラスト

――ジャケットは、豪華盤は篠原健太さん描き下ろしの吉野さんのイラスト、通常盤では吉野さんの写真という2バージョンですね。

吉野：10年前の3人が、10年経って別のことをやっていても、みんなで一緒に集まれるし、しっかり繋がりはあるんだよということを描きたい、それがスタートなんですと篠原先生にお伝えしたら、「自分もやれることがあったら」とおっしゃってくださって。

先生にもMVに出てもらおうかとも考えたけど、先生はマンガ家なので絵をしっかりと皆さんに見ていただいたほうがいいなと思って、ジャケットのイラストをお願いすることになりました。

先生のイラストならモノトーンで仕上げたほうがオシャレだなと思ってお願いしました。作中でボッスンが付けているリストバンドが描かれていればいいなと思っていたんですけど、特に希望はお伝えしていなかったのに、上がってきたイラストを見たらその通りで、しかもスケットポーズのポージングまで。僕の想いを汲み取ってくれて嬉しかったです。

そしてこのアルバムは通常盤と豪華盤があるので、豪華盤のジャケットを篠原先生のイラストで、通常盤を僕の写真という形になりました。僕自身はアップではなく、もっとオシャレな感じ、例えば風景でもいいんですけど、本人が写っていることが必要と言われたし、篠原先生のジャケットという希望も通ったので、それならいっそのことデビューミニアルバム『Get Set』のようなアップにして対比させようと。それであの寄った写真になりました。

アルバムタイトルは公募。アルバムの内容と自身の想いに合致していた『カタシグレ』に

――アルバムタイトルは、皆さんに募集したタイトル案の中から選ばれましたが、『カタシグレ』に決めた理由を教えてください。

吉野：1stフルアルバムだから自分でタイトルを付けたほうがいいという声もありましたが、そこにはこだわりはなくて。この先、タイトルを付ける機会なんていくらでもあると思うし、1stアルバムは1回しかないので大切という考え方であれば、むしろ募集して、みんなと一緒に作りたくて。僕が知っている知識や言葉は限られているので、みんなからもらった言葉の中から自分が納得できる言葉を選んだほうがいいと思い、今回公募することにしました。約2千のタイトル案すべてに目を通して、意味がわからないものは自分で調べて、納得できたのが『カタシグレ』です。

送ってくれた人は1人だけで、しかも普通は『片時雨』と漢字で表記されることが多いんですけど、送られてきたのはカタカナ表記で。『カタシグレ』には一方では時雨が降っているのに、別の場所では晴れている状態の意味です。

今回のアルバムの楽曲も特にコンセプトを設けているわけではなく、いつものように今出会った、いいと思ったものはこのタイミングを逃さずに詰め込みたいと思っているし、その中でアップテンポの曲もあれば、スローな曲もある変化に富んだアルバムになったし、僕はUncle Bombのイベント等でも言っていますが、答えは1つである必要はないと思っていて。自分の信念として1つかもしれないけど、答えは2つ以上あってほしいんです。

それが多くの人の救いになると思うので。だからこのタイトルがすごく腑に落ちたし、1stアルバムのタイトルに使いたいと思って決めました。

吉野裕行『カタシグレ』

2021年3月3日発売
発売：バンダイナムコアーツ

豪華盤(CD＋BD、篠原健太さん描き下ろしイラストジャケット)

4,200円(税別)

アニメイト通販での購入はこちら

通常盤(CD)

3,000円(税別)

アニメイト通販での購入はこちら

吉野裕行Kiramune公式サイト