劇場アニメ『ARIA The CREPUSCOLO』広橋涼さん&佐藤利奈さん&茅野愛衣さんインタビュー|『ARIA』を見ていると不思議と涙が出る、その理由は?
TVアニメ放送開始15周年記念作品、劇場アニメ『ARIA The CREPUSCOLO』が2021年3月5日より公開される。2005年にTVアニメ化され、アニメシリーズも16周年を迎えた。
そんな中でも今回はオレンジぷらねっとがメインのエピソードということで、アリス・キャロル役の広橋涼さん、アテナ・グローリィ役の佐藤利奈さん、アーニャ・ドストエフスカヤ役の茅野愛衣さんの3人に、ARIAの魅力と『ARIA The CREPUSCOLO』の見どころをたっぷり語ってもらった。
久々にARIAの世界に触れた感想とアフレコでの心温まるエピソード
――5年ぶりに『ARIA The CREPUSCOLO』が劇場アニメとして制作されると聞いたときは、どんな気持ちになりましたか?
茅野:『ARIA』シリーズのいちファンとして、またARIAの世界に触れられるんだといううれしさが最初に来ました。まだ何も始まっていないのにワクワクが止まらない気持ちだったんです。しかも今回はオレンジぷらねっとのお話だったので、私もきっと出番があるんだろうと、台本をいただくことを楽しみにしていました。
広橋:私、映画をやることを知らなくて……(笑)。サプライズにするために秘密にされていたみたいなんですけど、何かをすることは知っていたんです。ただ、イベントとかだと思っていたので、まさか劇場でアニメをやるとは思わなくて、聞いたときは変な声が出ました(笑)。
ARIAって私の中にずっとあるものなので、特に5年ぶりだからどうというのはないんですけど、新しく動いているARIAのキャラクターたちに会えるということは、すごくうれしいことだなと思いました。
――ちなみに、サプライズは成功したのですか?
広橋:成功しまくりですけど、私が知ったときはもう他の人はみんな知っていたので、これはどういうサプライズなんだろうっていう感じでした(笑)。
茅野:だから、逆に私たちが伝えなくて良かったというか。もし別現場でお会いしていたら、「次、また会えますね」って絶対に言っていたと思うから(笑)。
――確かに。佐藤利奈さんは、今作からの参加となります。
佐藤:私は今回の劇場版からになるのですが、アテナさんを引き継いでもらえる方を探していますとお声がけいただいて……。お話はすごくうれしかったのですがとも子さんの色合いと私がもつものが違う気がして「私のほかにもっと川上とも子さんらしさを持っている方がいらっしゃる気がするんです」とお返ししたんです。
そうしたら佐藤順一総監督から直々に、経緯と、僕は大丈夫だと思うので、という文面をいただいて、監督がそうおっしゃってくださるのであれば、私の中に何か、とも子さんのアテナに通じるものがあるのかもしれないと思い「できる限り精一杯の気持ちで演じさせていただきたいと思います」とお返しをしました。そこから『ARIA』シリーズを見始めて、ゆっくりとひとつずつ、作品を追っていきました。
――今作の台本を読んだ印象を教えてください。
茅野:台本をいただいたときは、本当にうれしかったです。アーニャちゃんは前作『ARIA The AVVENIRE』からということもあって、どう物語に関わっていくのだろうと思っていたら、開いてすぐに台詞があったので、プレッシャーを感じました。でも読み進めていくと、TVシリーズのARIAがより特別なものになるお話になっていたし、それを知っていたほうが、今作がより楽しめると感じたので、ぜひTVアニメを見直してから劇場に足を運んでほしいなと思いました。
実際私も、台本をいただいてからアフレコまでの間に全話見直して、BGMのように流しては、たまに入ってくる言葉にうるうるしながら、本当に生活の一部にした状態で収録に臨んでいたので、この作品からARIAに触れるという方には、いいタイミングだと思うんです! なので、TVアニメシリーズを見ることを強く勧めたいと思いました。
広橋:「今回は歌うシーンがあります」という連絡を台本より先にいただいて、その歌唱部分の絵コンテを見たときに、本当にオレンジぷらねっとの話なんだなと思ったところに台本が届いたんです。
すごく不思議なんですけど、家で台本を読んでいるときって、広橋涼として読んでいるので、読みながら泣くんですよ(笑)。今だからより響く話だし、読み終わったあとに涙は流れるけど、何か清々しい気持ちになれるというか。そこがARIAの魅力なんだなぁとも思いました。これがアフレコになると不思議なもので、涙は出ないんですけどね(笑)。今回も素晴らしい物語に出会えたと思いました。
佐藤:台本をいただいたときは、いち視聴者として、ARIAの世界にどっぷり浸かっていた頃なので、茅野ちゃんが言ってくれたみたいに、すべてのARIAを見た上で、ここに来るというお話だなと思いました。でも、そこから自分がアテナさんとして、どうしたらいいのだろうと、正直思いました。
とも子さんはすごく大好きな先輩で、とも子さんの軌跡をもう一度自分が辿れるということがうれしいと思いお受けしたのですが実は、アテナさんの歌声を担当されている河井英里さんとも親交があったんです。だから、英里さんの歌にもう一度新しい気持ちで触れる機会をいただけたこともうれしくて。でも、おふたりが描いてきたアテナさんに触れれば触れるほどオンリーワンで、何者にも代えがたい存在に思えて…。…お二人を感じながら私なりのアテナさんで臨むしかないのだろうと思い、収録に向かいました。まだ、みなさんがご覧になられていないので、私がこの作品についてゆったり語れるのは、もう少し先になるのかなと思っています。
――とっても素敵なアテナさんだと感じました。アフレコは、3人で一緒に録れたそうですね?
広橋:でも今回は、嵐のような収録だったんです。ARIAの収録は、ゆったりした感じのものになると、たぶん利奈ちゃんも聞いていたと思うんですけど、こういう(コロナ禍という)状況でもあるので、嵐のように始まり、入れ替えをしながら、「はい、次録るよ!」っていう感じでした。
佐藤:本当にそうでした。みなさんも「こんなARIAの収録は初めてだった」とおっしゃっていて。「いつもはゆったりな収録なんだけど」と(アリシア役の)大原さやかさんも話されていてやっぱりイレギュラーな状況だったんですよね……。
このあとはゆったりとした世界がまた来てほしいですし、待ち遠しいなと思います。ただ、アフレコでふたりに会えたから良かったです。一人の収録だったら、どうしていいか分からなくなっていたと思うので……。
茅野:土日での収録だったんですけど、広橋さんは土曜日で終わりのはずなのに、わざわざ日曜日にも来てくれたんです。
広橋:土曜に利奈ちゃんとの掛け合いを録って、翌日アテナさんとアーニャちゃんを録るよと聞いたので、いいなぁ、私もアーニャちゃんに会いたいと思って、明日も来ます!って(笑)。
茅野:アリスさんは前日に録っていたのに、アーニャとの掛け合いを一緒に録り直してくれたんです。一緒に録れるに越したことはないし、3人揃って、待合室でお話する時間も少しあったので、いろいろと調整していただいたスタッフさんに感謝だなと思いました。