春が来る度に虹色の青春を想い出す――「i☆Ris LIVE 2021 ～storiez～」レポート｜はなれていても繋がり続ける6人の絆

プリパラメドレーと卒業ソング

MCで衣装や澁谷さんのヘアースタイルについての話題に触れた後は「プリパラメドレー」に突入。

「Ready Smile!!」、「ミラクル☆パラダイス」、「ブライトファンタジー」、「Shining Star」、「Make it!」を連続で披露した。

『i☆Ris』の歴史には『プリパラ』があった。アニメイトタイムズの『プリパラ』担当にメドレー後、連絡を入れてみたら「心に来るものがありました...」と一言。

『プリパラ』から『i☆Ris』のファンになった方には絶対に観て欲しいとしか言えないメドレーだった。

まだまだ『プリパラ』曲は続く。澁谷さんの歌い出しからはじまる「Realize!」、「Goin’on」を歌い上げた。

『プリパラ』コーナーが終わると、澁谷さんの卒業をイメージさせるようなセクションに突入した。

まずは、「Goin’on」のカップリング曲「キラリ」。スクリーンには澁谷さんへのサプライズでこれまでの活動で撮影されてきた写真たちが映し出された。

「春風キラリ　ありがとう　絶対忘れない　Memories　輝く想い出が溢れだす」芹澤さんが澁谷さんを見つめながら、歌い上げる。

常にステージからファンへレスを送り続ける彼女がこのパートは澁谷さんのために歌ったのかと思うと、胸が熱くなってくる。

「Goin’on」が発売されたのは、2016年2月。まさか5年後にこうやって歌われるとは誰が予想していただろうか。

続いての曲は「Changing point」のカップリング曲「卒業式」。作詞・作曲は友希（若井友希さん）だ。

いつもと同じようで少しだけ特別なライブ。「卒業式」の落ちサビをメンバーは澁谷さん一人に託した。

「いつかこの季節がまためぐりめぐってきたら、“i☆Ris”（きみ）をきっと思い出してしまう 春の匂いに焦がれていく」

ここでメンバーカラーのスイートピーが澁谷さんへ贈られた。茜屋さんが紫。芹澤さんが水色。若井さんが赤、久保田さんがオレンジ。そして、山北さんが緑と黄色のお花を手渡した。

「君が 君が気づかないように　そっと隠して ありがとうと伝えた」

この時、メンバー全員が澁谷さんを「泣いてる？泣いてる？」と気にしながら笑顔で見ている様子が微笑ましい。

スイートピーの花言葉は「門出」と「素敵な想い出」。

春が来る度に虹色の青春を想い出す。

最高の卒業式がフィナーレを迎えようとしていた。

Memorial

最後のMCを経て、ライブを締めくくる「Memorial」へ。

「みんなの心に素敵なメモリアル残りますように」（澁谷さん）

実は僕が『i☆Ris』の担当になったのは「Memorial」から。正確には池袋サンシャインでのリリースイベント取材が一番最初の仕事だった。

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「いつもの"おはよう"でさえ　あたりまえじゃなくて　ステキな奇跡だったんだね　少し照れくさいけれど　ちゃんと伝えたいよ　君に"ありがとう"」

最後のMCで芹澤さんは「あの時はごめんね」と8年越しの言葉を澁谷さんへ伝えた。

ケンカの理由は本人たちだけの物語。そこに踏み込む理由もないが、これだけは伝わってきた。心ではきっと“ありがとう”と言っていたに違いない。

落ちサビに突入すると、澁谷さんが若井さんを抱きしめた。

「誰もまだ見たことない未来へ　走り出す君のこと応援しているよ」

茜屋さんが自分のパートで澁谷さんのこれからにエールを贈った。久保田さんが抱きしめた。この光景が本当に美しくて、一瞬で目頭が熱くなった。

6人の『i☆Ris』が当たり前だと想っていたのは、メンバーもファンも同じ気持ちのはず。ただ、多くのアイドルが解散や卒業していく中で、9年も同じメンバーで活動できたのは奇跡だったのだ。

「これが6人の『i☆Ris』でした！」（山北さん）

そして、最後はアカペラでもう一度「Color」を歌唱。

ライブの序盤に澁谷さんが「一周全部終わって時間が余ったら『Color』だけやり直したい（笑）。デビューシングルに悔いが残ってしまうからね」と言っていたことを覚えているだろうか。僕は、失敗が生み出した最高のラストだと解釈している。

この日のライブはアンコールなし。澁谷さんは演出で一度もステージから降りることはなかった（諸事情により一瞬だけはけた）。卒業式にアンコールはない。

「ありがとうもさようなら」も一度で良いと考えたステージ構成に心から感謝の意を表したい。