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春アニメ『宇宙なんちゃら こてつくん』ムロツヨシ インタビュー

春アニメ『宇宙なんちゃら こてつくん』ナレーション&DAXAくん役 ムロツヨシさんインタビュー|今までの声のお仕事とはまったく違う場所にある「なんちゃってナレーション」と「ちょっと無理して高い声で喋るおじさん」

『ごきげんぱんだ』や『こねずみ』など、かわいらしくユーモラスな人間味あふれるキャラクターを生み出してきたクリエイター・にしむらゆうじさん原作のWEBまんが『宇宙なんちゃら こてつくん』がTVアニメ化!

宇宙飛行士を目指す主人公「こてつ」をはじめ、個性豊かな動物たちがそれぞれの夢を叶えるため奮闘するさまをゆるく描いた作品で、2021年4月より毎週水曜日午後6時45分~、NHK Eテレにて放送中。

アニメイトタイムズでは、本作のナレーションと宇宙のいろんな知識を教えてくれるキャラクター「DAXA(ダクサ)くん」役を担当する、俳優・ムロツヨシさんにインタビューを実施!

役作りやナレーションでのポイント、作品の魅力はもちろん、熱い演劇論や、自身の今後の目標といったパーソナルなことまで、さまざまなお話を語っていただきました。

 

 

頑張って高い声を出しているおじさん

——DAXAくんを演じるにあたって、監督からのリクエストはなにかありましたか?

ナレーション&DAXAくん役 ムロツヨシさん(以下、ムロ):監督はじめ制作のみなさんから、現場に行ったときに初めて伺いました。事前に映像は見ていてキャラクターの絵は知っていたので、最初は可愛い方向で持っていったんです。

でも、DAXAくんの設定が「DAXAで働いているおじさんが、子どもたちに豆知識を教えるために着ぐるみを着て頑張って高い声を出しているキャラクター」って言われたんですよ。まあまあピンポイントで来たな、と(笑)。

一同:(笑)。

ムロ:だからこそ上手いお芝居ではない、キャラクター然としていない「ちょっと無理してるおじさん」という裏設定を活かした「高い声が出るか分からないけど、高い声で無理してキャラクターをやっている人」という風にしました。DAXAくんの声は地に足が付いていない感じですが、それはすべて計算通りということはお伝えしておきたいです(笑)。

 

 

——リクエストを受ける前に想定していたお芝居や方向性はあったのでしょうか? ナレーションとの兼ね合いも考えられていたと思います。

ムロ:ナレーションとの違いがあったほうがいいのか、それともナレーションとまったく同じほうが面白いのかは考えましたね。正直どうやって分けようかな、と思っていたんです。

ありがたいことにナレーションのお仕事はNHKさんのドキュメンタリーなどでやらせていただいていて。そこでディレクターさんに褒められた経験もあったので、ちょっとした自信を持って臨んだんですけど、ナレーションも「上手くやらないでください」と言われました(笑)。

とにかく「なんちゃってナレーション」の“なんちゃって”という部分が大事なので、上手くやらないでほしい、肩の力を抜いてほしいと言われて。なので最初の収録では家で準備してきたものがまったく通用しなかったんです。

でも、それだけ設定がはっきりしていたので、演じ分けがどうこうではあまり悩みませんでした。むしろその“なんちゃって”感を出すのが難しかったですね。ナレーションのお仕事を経験してしまったがゆえにどうしてもちゃんとしてしまうというか、“肩の力を抜いた風”にしかならなくて。

「今までの経験を捨てながらも、内容は伝える」という加減が難しかったです。“なんちゃって感”が強すぎると計算している、狙ってやっている雰囲気になってしまいますし。

どちらかというとDAXAくんの方が「おじさんがちょっと無理して高い声でやっている」という設定をもらっていた分、思う存分できましたね。ただ、力を入れてふざけると「ちょっとそれはやりすぎです」と怒られることは多々あるんですけれど(笑)。

——多々あるんですか。

ムロ:4話以降で飽きてきたんでしょうね。力を入れたら、1話のときの音声を聞かされて「この辺でやってください」と(笑)。「ハイ、すみませんでした」って。

——(笑)。正しい形は1話なんですね。

ムロ:そうです。あのくらい押さえてやるのが正しいです。4話くらいで一回ムロになっちゃったんですよ。設定を忘れて「高い声でしゃべるムロ」になってました(笑)。

——ムロさんはこれまでもアニメや吹替えで声のお仕事も経験されています。ふだんの俳優と声のお仕事で、入り方や気持ちの作り方に違いを感じますか?

ムロ:やっぱり難しさを感じますね。アプローチや考え方もまったく違うと思います。僕は19歳から20年ちょっと、人前に立ってお芝居をすることがほとんどだったので、当然喋っている姿を見てもらう、佇まいも情報として入っている世界が当たり前なんです。

あるお芝居の考え方に「台詞に意味を持たせるな」というものがあって。演劇論にもよりますが、立ち姿、向き、視線などで入ってくる情報を大事にしなきゃいけないときがある。棒読みとは言わないけど、台詞に意味を持たせないで淡々と喋ることがいいとされる場所や演劇、お芝居の種類もあるんです。

でも、それを声のお仕事でやってしまったらまったく伝わらない。そういった経験値を増やしてしまったがために、それをすぐに捨てられない自分もいるんですよね。そこまで器用じゃないですし、声のお仕事への切り替えがすぐにできるわけじゃないので、やっぱり難しいですね。

 

 
どうしてもまだ、アニメのキャラクターの口に合わせて台詞を言うことができたとしても、みなさんに伝えなきゃいけない情報量に足りてないな、と思うことが多々あります。声優の方の演技を聴くといろんな情報が入っているんですよね。

そのときの悔しい、悲しいという感情に加えて、バックボーンのことが入っていたり。それが課題でもありますし、逆に俳優だからこそ伝わっていることも、もしかしたらあるのかな、とも思いながら今はいろんなやり方を試しているところです。

ただ、今回の『こてつくん』に関してはそれが一切いらない。なぜなら「なんちゃってナレーション」と「ちょっと無理して高い声で喋るおじさん」という、今までの声のお仕事とはまったく違う場所にあるので(笑)。

一同:(笑)。

 

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