謎のストップモーション長編アニメ『JUNKHEAD』とは? アニメファンも満足の娯楽作? パペットアニメが今熱い!
狂気の可愛らしさとユーモア
僕の考えた最強アニメ・『JUNKHEAD』。最強である所以はその「可愛らしさ」にあります。ハードな世界観とマッチしたデザインであることは前述しましたが、動かしてみるとまた凄い。なんとも言えない愛くるしさがあります。
人工生命体「マリガン」たちは地下で独特の生活圏を構成しており、『ファイナルファンタジー7』の村人のように階層に別れて住んでいます。
階ごとにマリガンの見た目が少し変化していたり、幼体のマリガンである子どもたちがいたり、謎の美少女マリガンがいるなど多様です。人に限りなく近い、デフォルメされたマリガンたちの言動がなんとも可愛らしい。『ポプテピピック』や『メイドインアビス』のように可愛らしさの中に、狂気をはらんだ不思議な魅力があります。
ギャグシーンも特徴的で、ドタバタとした古典的なものから、カルト映画らしいブラックな笑いまでたくさん散りばめられていました。
ユーモアを感じさせるには良いセリフ回しが重要ですが、『JUNKHEAD』の制作では堀貴秀監督が殆どの作業を担当しているため、日本語を使い多くのキャラクターを演じきるのは難しく、そこで発明されたのが『JUNKHEAD』の世界独自の言語でした。それにより字幕で多くを語ることを可能にしました。
これに関しては、賛否がありますが筆者は、他のパペットアニメとの差別化や、表現の幅をより広くできた点で良かったと思います。言葉を使ったユーモアをも取り入れられており楽しみやすくなっています。
音声は監督自身が一部を除き担当しているため、エンドロール時のキャスト欄では「堀貴秀」の文字が羅列していました。
堀貴秀監督の原始的な創造力に感動!
監督の「楽しいものを作りたい!」という熱量がダイレクトに伝わる作品です。上記の宣伝文句がなくとも映像を見ればすぐに分かります。
キャラクターデザインと設定、セリフやシナリオ、アクションシーンの動きやカメラのアングルまで様々なところにこだわりがあり、私達がどこかで観たり感じたことのあるドキドキやワクワクが見事に表現されています。
監督のピュアなエンターテインメントへの感情がそのまま映像に現れている。それは監督自身の強い気持ちでコツコツと作り続けた作品である証拠です。たくさんの「楽しい」や「興奮」をギュッと凝縮されたアニメーションになっています。
「変わり者が作った、一風変わったアニメがあるらしい」と思って見ていたはずが、いつの間にかジャンルに囚われることなく楽しみ、いつの間にか監督の情熱に突き動かされていました。堀監督の剥き出しの創造力に素直に感動しました。
次回作も製作中? 今後も目が離せない『JUNKHEAD』
公開から約一ヶ月が経過した今も、ジワジワと話題を呼び朝のテレビ番組でも特集が組まれた本作ですが、実は現在公開されている『JUNKHEAD』だけでは物語が完結しません。未だ数多くの謎を残したままエンドロールを迎えています。
『JUNKHEAD』は3部構成で構想されており、今後も時間をかけてこの世界の完成に向けて制作することが決定しているようです。「いつか劇場で観たことが自慢になるアニメ」と語る意見も多く見られ、伝説になること間違い無しの『JUNKHEAD』。みなさんもぜひ劇場で存分に味わってみてください!
[文/ヨウイチロウ]