劇場版『Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 後編Paladin; Agateram』川澄綾子さんインタビュー|獅子王は、アルトリアからもっとも遠いキャラクター
千子村正の実装タイミングは、川澄さんも知らなかった!?
ーー第六章をゲームでプレイされた時というのはいかがでしたか?
川澄:やっぱりボスじゃない通常のエネミーも強くなって、難しくなったというのは感じました。けれど、それ以上に「こんなお話を書いてもらえるなんて」という印象の方が強く残っていますね。『Fate/stay night』で、セイバーが聖杯を破壊したからこそ繋がってくるあのシーンを、こういう形で蘇らせていただいた。奈須さんへの感謝の気持ちでいっぱいでした。
ーー奈須先生が書かれるシナリオの魅力とは、どんなところだと感じられていますか?
川澄:『Fate』シリーズって、ちょっと暗かったり重たいという話が多いと思われがちですけど、それでも最後は「幸せになっていいんだよ」と言ってくれている物語なのかなと感じています。[HF]ルートはとくにそれが顕著で、第六章や七章にも言えることですけど、どんな絶望があっても、最終的には強く前を向いて、明るい気持ちにさせてくれるというのが、いろいろな奈須さんの作品に共通しているところかなと思います。
あとは敵側として登場するキャラクターたちも、決して憎しみをぶつける対象ではなくて、いろんな視点をもつと、物語が全く違って見えるようにもなったり。どういう風に物事を見ているのか一度奈須さんの視点になってみたいくらい、とにかく視界が広いのが奈須先生のすごさなのかなと思っています。
ーー『FGO』といえば、今年の正月にはついに千子村正も実装されましたが、知った瞬間というのはいかがでしか?
川澄:杉山さんにも会うたびに「村正が実装されたら教えて下さい」と言っていたんですけど、ちょうど[HF]も終わって、収録がないタイミングだったので杉山さんが教えてくれてなくて(笑)、年末に放送されたFate大晦日スペシャルの台本が来た時に初めて知ったんですよ。
村正は士郎の疑似サーヴァントで、人気もすごくあるので、変なタイミングには出せないだろうなと思っていたので、お正月というタイミングには納得できました。新年を祝うお年玉としては、これ以上ない人選でしょうから(笑)。召喚できた後はすぐにレベルを上げて、概念礼装も「リミテッド・ゼロオーバー」にして、セットで使ったりしています。
ーー最後に、劇場版後編を楽しみにされているファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
川澄:キャメロットは円卓の物語としての要素は強いのですが、その円卓とカルデア、エジプトという登場する3つの勢力がただ戦うのではなく、それぞれが戦うことにしっかりと意味を感じられるとても熱い展開になっています。彼らが何を思ってあの世界を生きていたのか、是非とも注目していただきたいです。そして迎えるベディヴィエールの旅の終わりを、私自身も皆さんと一緒に見届けられればと思っています。
ーーありがとうございました。
[取材/石橋悠・米澤崇史 文/米澤崇史]
作品情報
『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-』前編 Wandering; Agateram/後編 Paladin; Agateram
■公開情報
後編 Paladin; Agateram
2021年5月15日(土)公開
■INTRODUCTION
2004年にTYPE-MOONが発売したPCゲーム「Fate/stay night」を発端に、
壮大なスケールの世界観と重厚な物語が呼ぶ感動がファンを増やし続けてきた「Fate」シリーズ。
そこから2015年に生まれたゲーム「Fate/Grand Order」は、今や全世界で5900万ダウンロードを突破。
現在進行形でさらなる世界の広がりを見せている。
そんなゲームの中で、全体構成を担当する奈須きのこが自らシナリオを担当し、
プレイユーザーの中でも人気のエピソード・第六特異点が「Fate/Grand Order」初の劇場アニメーション化。
2020年12月に公開された『前編 Wandering; Agateram』では、かつて仕えた王を討つべく彷徨う遍歴の騎士・ベディヴィエールが、ともに戦う仲間たちと出会い、運命に翻弄されながらも進み続ける姿を、主人公の心情に寄り添い丁寧に描き出した。
そしていよいよクライマックスを迎える『後編 Paladin; Agateram』では気鋭の演出家・荒井和人が監督を務め、キャラクターデザインは前編に続き細居美恵子、黄瀬和哉、温泉中也らが名を連ねる。
アニメーション制作は「攻殻機動隊」シリーズや「PSYCHO-PASSサイコパス」などを手掛けるProduction I.Gが担当。
物語の結末を壮大なアクションと世界観、繊細なキャラクター表現により、美しく、悲壮に描く。
ひとりの騎士が辿り着く、旅の終わりとは―――
■後編「Paladin; Agateram」 STORY
「私は今度こそ、この手で、我が王を殺すのだ――」
遍歴の騎士・ベディヴィエールとカルデア一行が足を踏み入れた特異点――西暦1273年のエルサレム。
そこは民たちが住処を追われ、三つの勢力が対峙する不毛の地であった。
白亜の城を築き、民を殺戮する獅子王と「円卓の騎士」を討つべく、ベディヴィエールらは「山の民」と協力し立ち向かう。
大切な仲間をも喪う死闘を終えた彼らは、強大な力を持つ「太陽王・オジマンディアス」に同盟を持ち掛ける。
しかしオジマンディアスは獅子王の計画を明かし、自らの民を守るためにその提案を一蹴する。
獅子王の真意を知り慄くベディヴィエールたちだったが、仲間たちとともに、その目的を阻止すべく、聖都・キャメロットへの進撃を決意するのだった。
そしてついに、聖都決戦の日を迎える。
冷酷非道に成り果てた獅子王の真の狙いとは。
滅びの約束された世界で、人類を救済する方法とは。
赦されぬ罪を背負い続けたベディヴィエールの迎える結末とは。
―――最も哀しく、美しいFate、ここに完結
■後編「Paladin; Agateram」 STAFF
原作:奈須きのこ/TYPE-MOON
リードキャラクターデザイナー:武内崇
監督:荒井和人
構成:小太刀右京
脚本:小太刀右京・荒井和人
キャラクターデザイン:細居美恵子・黄瀬和哉・温泉中也
サブキャラクターデザイン:乘田拓茂・山本彩・原由知
総作画監督:椛島洋介
プロップデザイン:吉田大洋・原由知・岩永悦宜
美術設定:小木斉之・イノセユキエ・伊井蔵・吉田大洋
コンセプトアートデザイン:竹内敦志・coralie nagel
美術監督:野村正信
色彩設計:上野詠美子
撮影監督:荒幡和也
3Dディレクター:名倉晋作
3DCG:I.G3D・directrain
モーショングラフィックス:大城丈宗
編集:濱宇津妙子
音楽:芳賀敬太・深澤秀行
音響監督:明田川仁
アニメーション制作:Production I.G
配給:アニプレックス
主題歌:宮野真守「透明」(キングレコード)
■後編 Paladin; Agateram CAST
ベディヴィエール:宮野真守
藤丸立香:島﨑信長
マシュ・キリエライト:高橋李依
レオナルド・ダ・ヴィンチ:坂本真綾
獅子王:川澄綾子
ガウェイン:水島大宙
モードレッド:沢城みゆき
ランスロット 置鮎龍太郎
トリスタン 内山昂輝
アグラヴェイン:安元洋貴
オジマンディアス:子安武人
ニトクリス:田中美海
玄奘三蔵:小松未可子
呪腕のハサン:稲田徹
静謐のハサン:千本木彩花
ロマニ・アーキマン:鈴村健一