「お仕事もの」「サスペンス」「恋愛もの」……さまざまなジャンルの要素を内包した、今一番押さえておきたい漫画『【推しの子】』のあらすじや魅力を紹介!【ネタバレあり】
『【推しの子】』の魅力【第4巻(第40話)までのネタバレあり】
その1:お仕事ものとサスペンスが絶妙なバランスで展開
本作の魅力としてまず第一に挙げられるのはストーリーの面白さ、そして構成の巧みさです。「漫画原作の深夜ドラマの撮影」や「恋愛リアリティショー」、「アイドルフェス」などさまざまな芸能界のお仕事を裏側、表側両面から描きつつ、同時進行で自身の目的を果たすため考えを巡らせるアクアの心情が描かれていきます。
予算やスポンサーとの関係、さらには芸能人の給料の仕組みなど、かなり生々しい部分まで描かれており、普段我々が見ている芸能の世界がいかにして作られているか知ることができ、ためになる一方で、一歩進んだと思いきや、また新たな謎が現れるサスペンスが同時展開していきます。「次はどんな現場が舞台になるんだろう?(どんな裏事情が知られるんだろう)」と「次はどんな謎が明らかになるんだろう?」というふたつのワクワクによって、ページをめくる手が止まらなくなるはずです。
その2:主人公・アクアがとにかくカッコいい!
もちろん、登場人物も本作の魅力として外せません。とりわけ、主人公・アクアの存在感がとにかくすごい。天性のアイドル性、吸い込まれるような瞳の表現として、アイの目には星のようなマークが描かれており、双子は遺伝で片方ずつ受け継いでいるのですが、この瞳が輝く瞬間が最高にカッコいいのです。
めったに笑わず、復讐のために静かに思考を巡らせ、現実的な発言も多いアクアは一見冷たい人間に映りますが、実際はとても優しく、他者のために怒りを燃やすシーンが何度かあります。汚い大人の事情に巻き込まれたり、理不尽な目にあった人のために動くとき、彼の瞳はギラつき、持ち前の頭脳で状況を打破していくさまは強く印象に残るはずです。
「恋愛リアリティショー編」では、とあるアクシデントから世間の容赦ないバッシングにさらされ、自殺未遂するほど追い込まれた共演者・黒川あかねを救うために行動していく姿が描かれます。当初は目的のため「番組が終わるまで安全圏でやり過ごす」つもりだったアクアが他者のために感情をあらわにしていくさまは、彼の本質を雄弁に語った名シーン。思わず顔をしかめたくなるような、リアルなSNSの描写もあり、作品そのものの本質を描いている名エピソードにもなっています。
その3:「有馬かな」がいじらしくて愛らしい
魅力的なヒロインが多数登場するのも本作のポイント。中でも通称「重曹」こと、元天才子役にして、アクアたちの先輩でもある「有馬かな」は一際強い存在感を放ちます。
「10秒で泣ける天才子役」としてもてはやされ調子に乗っていた彼女は、かつて子役時代のアクアと共演。その際の彼の演技にプライドをズタズタにされたと同時に、目を覚まさせてくれたことから深い恩義を感じていました。
その後、しばらく出会わなかったふたりでしたが高校にて再会(この際、ルビーに「重曹を舐める天才子役?」と言われたことで通称が定着)。ずっと心のどこかで意識していたこともあり、再会をきっかけに尊敬と恋愛感情がないまぜになったような複雑な思いを抱くようになります。
そんなアクアからお願いされ、ずっと続けてきた女優業と並行し、ルビーとともにアイドルとしても活動することに。アクアと話す際の、口が悪く、ついつい本音を隠してしまいがちな彼女の姿はいじらしく、思わずニヤけてしまうこと間違いなし。本作でもとりわけ表情豊かなキャラクターで、コメディリリーフ的な場面も多く、一層印象に残るはずです。
大きくスポットが当たった4巻の発売に際し、彼女の魅力にフィーチャーした特設サイト「有馬かな元気かな」も開設されるなど、多くの読者を虜にしていることがうかがえます。
その4:アクアを巡る恋愛模様にも注目
「恋愛リアリティショー編」から登場した女優・黒川あかねも魅力的なヒロインのひとり。前述したように深く傷ついた自分を率先して救ってくれたアクアに感謝するとともに、淡い恋心も抱くようになります。絶対的な演技の才能・実力を持ちながらも、普段はやや気弱でおとなしいというギャップが愛らしいキャラクターとなっています。
第5巻~第8巻にかけて展開される「2.5次元舞台編」では、なんと有馬とあかね、そしてアクアが(劇中作での)3角関係の役どころに。舞台の役としてアクアを奪い合うことで、図らずもリアルのほうでもアピールしていくことになるという絶妙な構成となっています。
ヒロインというよりはW主人公に近いポジションではありますが、ルビーの存在ももちろん忘れられません。いつ、お互いの前世を知ってしまうのか、知ったときにどうなるのか、間違いなく本作の大きな注目ポイントと言えるでしょう。さりなにとってゴローは初恋の相手だったことが明らかになっており、なおさら重要な事柄となっています。
と、アクアの周りには魅力的なヒロインが多数登場するわけですが、肝心のアクアは一切恋愛感情を抱いていないというところがまたニクい。精神年齢の高さや、復讐という目標しか頭にないゆえなのですが、そういった部分が今後変化していくのか、それともしないのか、という点も本作のキーポイントのひとつとして、見逃せない部分になっています。