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『るろうに剣心 最終章 The Beginning』江口洋介インタビュー

人斬りであった頃の剣心を描く『るろうに剣心 最終章 The Beginning』公開記念 江口洋介さんインタビュー|撮影で一番苦しかったことは斎藤一のトレードマークに関係が!?

ついに明かされた十字傷の謎。そして、2021年6月4日から公開の『るろうに剣心 最終章 The Beginning』では、秘められ続けてきた人斬りであった剣心の姿が描かれます。和月伸宏先生による漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』を原作に、漫画の魅力はそのままに映画ならではの描写が魅力的な本作。

本作では主人公・緋村剣心の人斬り時代“人斬り抜刀斎”としての姿が描かれており、そこには新撰組の隊士たちの姿も。中でも注目なのは、『るろうに剣心』シリーズにて圧倒的な存在感と印象的な必殺技を持つ斎藤一。

特徴的な構えから放たれる強烈な突き、“牙突”のポーズを真似したことがある、という読者の方も少なくないはず。

今回は、映画にて斎藤一を演じる江口洋介さんにインタビューを実施! 撮影が決まった時やアクションシーンにおいて意識したこと、さらに牙突についてもお聞きしました!

 

 

斎藤一のトレードマークは原作に忠実に。

——まずは『The Beginning』の撮影が決まったときの心境をお聞かせください。

江口洋介さん(以下、江口):『The Final』のオファーが来たときに、斎藤一の新選組時代、剣心の人斬り抜刀斎時代のお話『The Beginning』もやるかもしれないという話もあったので、きっとやるであろうとそのときから覚悟はしていましたね。

1作目で、鳥羽・伏見の戦いはシリーズの一番最初に撮影していたので、そのときの衣装で行くのかな、と思っていたら、斎藤一のお決まりのオールバックではなく、シルバーっぽいロングヘアーで、服も着流しのような感じというまったく違うもので。実際に、その衣装を着たときにはスイッチが入りましたね。

 

 

——「全シーン喫煙シーンを入れる」など、江口さんから監督にご提案されたことも多いと過去のインタビューなどで拝見したのですが。

江口:2作目の『京都大火編』のオープニングのときかな、その場所が煙草吸っちゃいけない場所で。そこで監督が「斎藤から煙草を取ったらちょっと表現できない」とおっしゃったことがきっかけだったので、「どんどん吸ってください」って言ったのは監督だったと思います(笑)。

そこから「ここは吸わないんですか?」って訊いたら「じゃあ吸いますか!」となっていって。結果、全カットで吸うようになりました。原作でもそういうタイプですから、原作に忠実にやった、というだけです(笑)。

——今作ではなにか江口さんのほうから「こうしたい」といったご提案などはあったのでしょうか?

江口:映画の撮影などでは煙草はだいたい「ネオシーダー」を普通は吸うんですけど、僕が昔ヘビースモーカーだったのもあって煙の薄さが気になるんですよ。なので『るろうに剣心』では手巻きの煙草、本物のやつをこちらから提案していて。

そうやってこだわって、映画の撮影中、3ヶ月くらい吸ってるわけじゃないですか。そのあとの日常生活でも抜けないから吸っちゃうんですよね(笑)。そろそろ抜けたなって思うとまた撮影が始まって……というのを10年続けてきました。

この吸ったり吸わなかったりっていうのが一番苦しかったかもしれない(笑)。30代の頭まで吸っていて、ちょうどやめて10年目くらいでこの撮影がスタートしたのかな。

 

4作目で仕上がった斎藤一らしさを全て取っ払った『The Beginning』。

——映画『るろうに剣心』10周年ということで、改めて江口さんにとってこのシリーズはどんな作品でしょうか? 最初の印象などはいかがでしたか?

江口:正直、最初にこの話をいただいたときは僕はこの作品自体をあまり知らなくて。漫画の映画化って難しいんじゃないかというイメージだったんです。剣心の相手役というか、サブキャラクターとして人気がある、ある種ヒールじゃないですけど、敵対しながらもどこか同志のようでもあるキャラクターの立ち位置や設定を聞いて面白そうだ、と思いましたね。

最初は監督も含め、どこまで原作のイメージに寄せていくかみんな手探りだったんでしょうね。1作目では斎藤のみだれ髪ってないんですよ。「このみだれ髪は漫画っぽくて変じゃないか?」とかいろいろあって。僕の牙突も「ワイヤーで変に飛んでるけど大丈夫なのかな?」とか、いろいろ試行錯誤しながら1作目を撮っていたのを覚えていますね。

ただ、剣心は(佐藤)健くんがやるということは決まっていて、アクション時代劇ということで、周りのスタッフがガッチリ付いてずっとトレーニングしていて、「なにか面白いものになるな」とは思ったんです。正直なことを言うと、1作目では、僕は斎藤を作っていく中でなんとなくリアルな人間で描こうとしすぎたかもしれないですね。

1作目の公開がされるとすごく反響があって。この『るろうに剣心』のファンの熱さ、「これだけの人が求めてる作品なんだ」と感じました。そこから2、3作目をやるときに「これは少し寄せていかないと!」と一気に思いました。

じゃあ「前髪を3本くらい垂らしてみようか」とやってみたりして。で、今回の4作目で初めて原作と同じ4本にしてみました。4作目ということでね(笑)。2、3まではファンの人たちのイメージと、僕が思う斎藤のズレを寄せていく作業があったというか、けっこう苦労して作り上げていきましたね。

 

 
4でやっと仕上がってきて、現場に行ってなにも考えずスパっと斎藤一で入れるようになりました。

最後の『The Beginning』ではそれらを全部とっ払った、血生臭い、ある種人斬りだったときということで。衣装を見たときにこれはもう全部とっ払っていい題材だと思いましたし、そういった雰囲気でやらせてもらいました。

今考えると、それが一番面白かったですね。これまではどこかで『るろうに剣心』って型がある、スタイルがあるアクション映画だったので。それを全部外してスタートに戻ったときに“飢えた狼”のようなイメージが走っていったので、楽しかったです。

——初めはそこまで作品に詳しくはなかったものの、この映画が面白そうなものになる、という予感はあったんですね。

江口:スタッフたちの熱量がすごいんですよ。「剣心はこうだ、斎藤はこうだ」と。あまりにもみんなが熱くなると、僕は少し冷める性格があって(笑)。みんな熱くなると、冷静になるところがあったんです。

でも演じていく中で、ファンの人たちとのやりとりやスタッフたちの力があって斎藤一を作っていけたという感じですかね。

——そして気づけば10年の付き合いになった、というのはすごいですね。

江口:そうですね。最初は全然そんな風に思っていなかったんですけど、やっぱり漫画原作でこれだけ映画として認められて、ヒットし続けるってなかなかないと思うんです。でも、僕も漫画原作の『湘南爆走族』って作品でデビューしていることを気付かされましたけどね。

自分の中にあった概念を捨てていくと、斎藤一が乗り移ったかのような思いになりましたね。寄せていくような作業をせずとも、セットだったり、衣装だったり、部屋だったりに自分の身を入れると芝居が決まってくる、という。10年の歳月がそうさせてくれた感じがします。

 

 

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