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MAPPAスタッフインタビュー|『進撃の巨人』『呪術廻戦』人気作品を作り続けられる理由【アニメスタジオの今と未来】

【アニメスタジオの今と未来】MAPPAスタッフインタビュー|『進撃の巨人 The Final Season』『呪術廻戦』『ユーリ!!! on ICE』人気作品を作り続けられる理由とは?【連載第2回】

大事なのはスピード感

ーーMAPPAの作品作りの基準やポイントを教えてください。

大塚:「これがヒットする」という方程式はないんですよね。でもヒットするのに必要不可欠な事はわかっていて、まずは最低限のクオリティが必要です。

もうひとつは、例えば平松さんが参加した時、平松さんが一番良いクオリティを出せるか。こちらはどちらかというと僕らの勝負になっています。

これらが上手くいった作品が良い結果に繋がっているんですが、それってスタッフの相性だったり、不運に見舞われて駄目になる事がどうしてもあって。皆の仲が悪くて、やる気もなかったけど何故かヒットした、という事って一切ないんですよ。最後の最後までクオリティを諦めず、チーム一丸となってやりきった物の方がヒットしていますね。

平松:制作管理の部署を含めて、良くも悪くも無理をする事が嫌じゃないといいますか(笑)、そういう関係性を築ける作品は上手くいっている気がしますね。

木村:悔やむことは結果いろいろあるんですけど、自分たちでできる事を一生懸命やりきったと言えるか、その作品をやる時にこの作品ならそういう未来にいけるかな?という部分を判断基準として大事にしています。

平松:マーケティングの発想として、「原作が○○部売れてるから手堅いね」というのもひとつの目安にはなるとしても、だからといってアニメにして上手くいくとは限らないですからね。

あと僕ら絵を描く人間や演出する人間としては、やっぱり原作を好きになれないと心が入らないですし、そういうのはお客さんにもバレてしまうんですよ。無理をいとわない程度に頑張れるチームを作る事ができると上手くいっているのかもしれませんね。

大塚:『呪術廻戦』も引き受けた時は、人気ではあったのですがまだ今ほどというわけではなかったんです。

木村:「アニメをどこが作るんだ?」なんて話題に上がっておりまして変なハードルが上がってましたね

一同:(笑)。

ーーズバリ、MAPPAの強みはどんな所でしょうか?

大塚:物事の判断スピードが早い事ですね。基本的に僕が考えてOKだった事は通すんですけど、その自由度とスピード感なんじゃないかと思います。細かい所ではいろいろあるんですけど、例えば「仙台にスタジオを作ろう」と思ったらすぐに作ったりですね。

平松:フリー時代が長かったので、この会社だからどうこうというのはあまり考えない方なんですけど、それでもMAPPAは楽に感じて。つまらない所でつまずいた事がまだないんですよね。

大塚:大きくなって面倒な会社になるかもしれませんよ(笑)。

一同:(笑)。

平松:(笑)。スタッフが楽に仕事ができて、思うようにやらせてもらえるのが強みだと思います。

木村:僕としてもやっぱり社長の判断が早いのはすごく助かりますね。タイミングを逃すとダメになる事ってたくさんあるので。あと、ビジネス的な営業をする立場からすると、作品数が多いというのも強さにもつながっていると思います。番組販売や催事を始めとした色々な展開も数があることでやれることはたくさんあります。ビジネス的な展開も作品を堅実に作るための一助になればと思ってやっています。

ーーお話を聞いていると、そのスピード感は、つまり社長の手腕だと思いましたが。

大塚:メインで働いているスタッフはほとんど20代なのでアクセルをすぐ踏みがちなんです(笑)。そこも良いのかなと思います。

ーー他のスタジオと比べて明確な違いはありますか?

大塚:ライン数が多いのが違いだと思います。だからといって戦力が分散しているわけでもなく、作品単位でチーム作りをしているので、そこは特徴的だと思います。

ーー制作ラインは徐々に増えていったのでしょうか?

大塚:そうですね。1ラインだったのが、2014年で2ライン、3ラインと増えていって。MAPPAの方針として「早く成長したかった」というのがあったんです。。普通は20年、25年かけて改正点が出来上がると思うんですけど、僕は働く人が希望みたいなものを持てる環境を早く作りたくて。

焦ると失敗するという所もわかっていましたが、そこを作らないとアニメって成長できないと思って。なのでどんどん作っていこうという体制にしています。

平松:いくら理想的な完成形があっても描かないと意味がないですからね。最初は理想と程遠いものしか描けませんが、描いているうちに追いつきますし、自分の中でその理想がさらに高まっていくので、やっぱり描き続けるのは大事ですね。

大塚:MAPPAは特に若い人が多いですからね。

平松:制作体制うんぬんは会社によって色があるし、どこが正解かはわかりません。MAPPAの良い所は他の会社から見たら悪い所かもしれませんし。僕からするともう少し引き締めていいんじゃないか? と思う事もありますけど(笑)、そういう所も良い所なのではないでしょうか。

ーーなるほど。皆さんそれぞれが働いていて良かったと思う部分を教えてください。

大塚:客観的に見て、自分が20代の頃に辛かった事、不満だった事を解消できていればいいなと思っています。演出家だったり、デスクになるチャンスがしっかり用意されていたり。頑張れば自分の力で実現できるという環境作りを心掛けています。なので、それを皆が「いいな」と思ってくれていると嬉しいです。

平松:僕自身は楽に仕事ができる事がMAPPAの良い所だと思いますが、若い人も同じ考えなのかわからないんですよね。自分が年長に近い……最年長かな?

大塚:最年長は会長がいますね。

平松:なので、現場にいる身としてあまり意識していませんが、楽なのは自分より先輩がいないからなのでは? という気もしたり(笑)。でも、皆が作品作りに一生懸命だから「頑張ってやれよ」とか言わなくて良いので楽ですね。ざっくり言うと気が楽です。

木村:アニメを取り巻く環境は現在目まぐるしく日々変化しているので、スタジオの中でスピード感を持って色々と新しいチャレンジができることはとても楽しいです。日々の反省や発見と共に新しい経験が自分の中に蓄積されていくことはMAPPAで仕事ができてとてもよかった点ですね。

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