
漫画『王室教師ハイネ』最終巻発売記念!原作者・赤井ヒガサ先生インタビュー|過去作の経験を詰めた集大成。泣きながら描いた最終回前のシーンとは?
今まで描いてきた漫画の集大成
——カイ王子、ブルーノ王子、レオンハルト王子、リヒト王子、それぞれとても個性が強い王子たちの教育に奮闘しながら共に成長していくハイネが印象的でした。赤井先生自身が振り回された、奮闘したと感じる王子はいますか? また、強く成長を感じた人物は誰でしょう?
みんな成長したと思いますが、その中でも奮闘したのはやはりレオンハルトかなと思います。主にお勉強面が……。
ブルーノは精神面で強くなりましたし、カイは本来持っていた良い所を外へ表現できるようになったりとそれぞれかなり成長したと思います。
振り回されたといいますか、ちょっと意外な方向へ行ったのはリヒトでした。国王を目指すのか街で暮らすのか、ここまで二転三転する予定ではありませんでした。
多分他の兄弟だとあまり自分の考えがブレることがないのですが、リヒトは末っ子で普通の子なので良い意味でどんどん変わっていって人間らしいなと思います。
理不尽な悪事に対してどうすることもできないという決着の仕方は全く想定していなかったのですが、リヒトが大きく成長するきっかけになったと思います。
——これまでのストーリーの中で、特に思い出に残っている話やお気に入りのシーンがあればその理由と共に教えてください。
お話としてはハイネと王子たち4人がそろっている日常話が好きです。描くのは人数的に大変だったのですが……。
19話の絵画の授業や、27話の動物園へ行く話、35話のハイネの部屋を掃除する話など。その中でも気に入っているのは44話のハイネと王子がゲーム対決する話です。ハイネと対決する話はずっと描いてみたかったので張り切りました!
あとは最終回前の4人の王子たちとアインスが分かり合うシーン、ハイネが王子たちの演説に涙するシーンは感慨深くて、お恥ずかしい話ちょっと泣きながら描きました。
——ハイネと4人の王子たちだけでなく、ヴィクトールやアインス、エルンストといった周りのキャラクターたちも存在感がありました。ほかのキャラクターの個性はどのように作り上げていったのでしょうか?
コミックス1巻から登場するアデル、おばあ様、シャドウ、ルートヴィヒとマクシミリアンは連載前から性格をかなりしっかり決めていました。それと比べると、それ以外キャラは描きながら固めていった部分が大きかったように思います。
ヴィクトールとアインスの細かい性格部分は登場直前まで担当さんと打ち合わせしていた覚えがあります。
エルンストことローゼンベルク伯爵は前作(『葬儀屋リドル』)の主人公を参考に作りました。ハイネと対決する立場なので、主人公VS主人公だったら面白くなるんじゃないかと(笑)。でも彼の目的や子供の時はやんちゃだった等の個性は登場時から決めていました。
カフェのオーナーとその幼馴染ヘルマンは初連載作(『キューカンバー×サンドイッチ』)の主人公とその同居人を参考に作りました。関係の深いリヒトも元々その作品に登場する主人公の弟を参考に作ったキャラでした。
過去作のキャラを気に入ってるからそうしたのはもちろんなのですが、この『王室教師ハイネ』は今まで描いてきた漫画の経験を詰めた集大成にしたいと描き始めたので、過去作モチーフのキャラを出すことで自分なりに気合を入れる意味もありました。