明日死ぬかもしれないから、今日一日が全力なんです。「またあした」で気づいた大人になると忘れてしまうこと。超ロングインタビューで新曲を紐解く──斉藤朱夏1stアルバムインタビュー【後編】
「またあした」って良い言葉だなって。
──9曲目「またあした」はスタイリッシュな曲で、アルバムの中でも異色の雰囲気ですね。
斉藤:そうなんです、打ち込みの曲で。「この曲の歌詞どうしようか」ってケイさんとの作戦会議の中で生まれた曲なんです。何かのプリプロのあとだったと思うんですけど……「またあしたって大人になってから言いましたか?」って話をしたら、ケイさんが「またあしたって良い言葉だね」って話になって、それをテーマにした曲にしようかって。
──確かに「またあした」って大人になると言わなくなりますね。子供のころはよく言いますけど。
斉藤:そうなんですよね。「またあした」じゃなくて「お疲れ様でした!」って言ってるわ!って(笑)。たまたま歩いていたときに、小学生がすごい勢いよく「またあしたね!」って言ってる姿を見たんですよね。「ああ、良いなぁ。中学生のときは毎日言ってたなぁ」って。小さいころに言ってたシンプルな言葉って大切なものが多いなって。大人になればなるほど言わなくなる言葉ってあるなぁと思ったんです。私の場合は仕事をする方が毎日違うので「お疲れさまでした」「ありがとうございました」になっちゃうんですけど、「またあした」って言える関係性ってすごく大事だなって思いました。このタイミングで気づけて良かったなって。
──朱夏さんはいつも次の約束を大事にされていますし。
斉藤:次があることが幸せなことっていうのは、コロナ禍で痛感して。約束がなくなった寂しさって消えないんですよね。だからZeppツアーはリベンジすることができて心が躍ってるんですけど、あの時あの瞬間はすごく寂しかったし、「約束を破ってしまった」という申し訳なさですっごく落ち込んで。だから「またあした」って良いなって。そういう話をしている中で「明日もしかしたら死ぬかもしれないじゃないですか」と言ったらケイさんには「重い」と言われました(笑)。でも私、常に思っていて。明日死ぬかもしれないから、今日一日が全力なんです。だからインタビューも毎回マシンガンで話しちゃうんです。記事にするのはかなり大変だと思うので申し訳ないなと思いながら。
──そんなことないですよ。毎回楽しいです。
斉藤:ありがとうございます(笑)。明日死ぬかもしれないからと思うと、今日のうちにその言葉を残しておきたいなって。