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『竜とそばかすの姫』細田守監督インタビュー|大ヒット記念!

『竜とそばかすの姫』大ヒット記念! 細田守監督インタビュー|ベルのデザインの秘密は? 今後の海外展開は? 周囲の反響は? 映画公開後だから話せたあれやこれ

作り手が持っているものをごまかすことはできない

ーー若い人にも好まれるアイコンとしてベルが存在していたようにも感じます。

細田:ベルのあの美しさ、可愛らしさはほんとうに特別ですね。

ーーベルが映画の中の歌姫になっていくように、現実社会でも似たような盛り上がりがあったと思います。新曲が配信されるたびにランキング急上昇に上がったりして。映画の中の体験を現実でもしている気がして新しい感覚でした。

細田:僕らがベルを作っていく過程でも、愛おしさや美しさを感じながら作りました。ベルはインターネットの世界のなかで一番の「美女」ですが、実はデザインしているとき、「世界一の美女を描こう」と考えてデザインしたわけではないんです。

キャラクターデザイナーのジン・キムさんとも長く話したのですが、今の時代に「美女」というのはどういう存在なんだろう、って。単に外見が美しいとか、可愛いとか、モダンだとか、そういうことで美女だって言うのとは違うんじゃないかと。

それよりもベルは、魂としてどれだけ美しいのか、どれだけ信頼できる人なのか。高貴な魂みたいなものがあって、それをどういうふうにグローバルな価値観のなかで具体的に表現できるのかっていうことばかり話していました。ジンさんもシナリオの中からベルの人物像を理解してデザインしてくれて、結果的に生まれたのがベルなんです。

ベルだけでなく、主人公のすずに関しても、現実世界のキャラクターデザインの青山浩行さんと同じような話をしていましたね。

ーー内面からキャラクターをどんどん肉付けしていくんですね。

細田:アニメーションっていうのは絵なわけだから、作り手が持っているものをごまかすことはできないんです。表面だけの美しさでデザインしていくと底が割れるというか、最終的にうわべだけのキャラクターにしかならない。だからやっぱり内面を積み上げていかないと、外見にたどり着かないと思います。

ジンさんのデザインのあと、衣装の伊賀大介さんと相談して、このシーンは篠崎恵美さんの花の衣装にしようとか、ここは森永邦彦さんのビーズの衣装にしようって振り分けていった感じです。衣装が人物の華やかさを引き立てているので、人物の存在感と、その存在を受けて衣装の絢爛豪華さが合わさったのがベルです。

ーーアバターやキャラクターの衣装が変わるというのも珍しいと思います。

細田:着せ替えの楽しさを味わってほしくて。≪U≫のユーザーがいろんな服をベルに着せるシーンがあって、どういう服を着せるのが面白いかを伊賀さんと相談しました。特攻服やベースボールユニフォームを着せてみたり。

その点は変身魔法少女ものの要素があるかもしれません。昔テレビアニメの『ひみつのアッコちゃん』を作っていたことがあるのですが、アッコちゃんは毎回、さまざまな人物に変身します。衣装チェンジする楽しさというのは何度やっても楽しい。

ーー衣装の面で言うと、オンラインゲームでは自分のアバターの服やスキンを着せ替えする楽しみに近いと感じました。僕も1日自分のアバターを着せ替えたりして遊んでいます。

細田: 自分が可愛いと、可愛い服を着たくなるんじゃないかな(笑)。

ーーそうですね。現実ではやりにくいとしても、インターネットの世界だとできることもありますし。

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